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美容医療133施設の調査、年間施術件数「1~500件」最多 非外科的治療が多い、平均件数は「男性形成」「プチ整形(処置)」「医療脱毛(女性)」が上位、矢野経済研究所が調査の一部を公表

カレンダー2025.10.1 フォルダー 国内
美容医療を実施する病院やクリニック133施設の実施している施術とそれぞれの施術件数。(出典/矢野経済研究所)

美容医療を実施する病院やクリニック133施設の実施している施術とそれぞれの施術件数。(出典/矢野経済研究所)

 美容クリニックなどの施術件数の現状が明らかにされた。美容クリニックのトレンドは、大きく2つの道が考えられるのかもしれない。

 矢野経済研究所が2025年9月30日に、美容医療を実施する全国の病院・美容クリニック133施設を対象にしたアンケート結果の一部を公表した。

多い「フェイス関連のリジュビネーション(処置)」

美容施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

美容施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 調査概要 → 美容医療を標榜する133施設を対象に郵送アンケートを実施。医師がレーザー機器、痩身装置、紫外線治療装置などを用いて行う施術について、種類と年間施術件数を集計した。
  • 施術件数の分布と実施率 → 年間件数は「1~500件」が最多(26.3%)。施術別の実施率では「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション(処置)」が8割超で最多。
  • 年間平均件数の傾向 → 「男性形成」が749.1件で最多だが、一部の施設(年間1万件以上)が平均を押し上げている。次いで「プチ整形(処置)」680.1件、「医療脱毛(女性)」623.7件が多い。

 調査は、皮膚科や美容皮膚科、美容外科など美容医療を標榜する施設に対して行われた。回答を得た133施設では、各種レーザー機器や痩身装置、紫外線治療装置などを使用し、医師が施術を行っている。

 プレスリリースでは、2025年5~6月に行われた郵送アンケートに基づいて、施設で行われている美容施術の種類と、行われている場合の施術ごとの1施設当たりの年間施術件数の平均値が公表された。

 全施術の年間件数分布は「1~500件」35施設(26.3%)が最多。「501~1000件」25施設(18.8%)、「1001~2000件」13施設(9.8%)が続いた。

 同研究所によると、施術別の実施率では、最も多かったのは「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション(処置)」で8割超の施設が実施していた。これに「プチ整形(レーザー)」「プチ整形(処置)」「フェイス関連の美容治療(処置)」「医療脱毛(女性)」「医療脱毛(男性)」が続き、7割以上の施設で行われていた。

 なお、処置は「外科的、レーザー施術以外の注射などによる施術」を指している。

 各施術を実施している施設から年間施術件数の平均値を出したところ、「男性形成」が749.1件で最も多かった。ただし、この結果は年間1万件以上を実施している施設の回答が影響しており、施術を行っている施設数自体は少ないという。

 次いで「プチ整形(処置)」が680.1件、「医療脱毛(女性)」が623.7件、「フェイス関連のリジュビネーション(処置)」が508.5件、「プチ整形(レーザー)」が456.1件と続いた。

  一方で、「鼻・フェイスライン(外科的)」は36.6件、「豊胸術(外科的)」32.7件、「豊胸術(処置)」30.6件など、外科的施術を中心に年間件数が低水準にとどまった。

レーザーと処置の「内訳」の想定と傾向は?

レーザー施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

レーザー施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 分類の特徴 → 「プチ整形」「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション」「フェイス関連の美容治療」が、処置系とレーザー系に分けられて集計されている。
  • 施術件数の傾向 → 鼻形成や豊胸といった外科手術よりも、注入系やレーザー系の低侵襲施術の件数が圧倒的に多いことが確認された。
  • クリニックの方向性 → 多数の美容皮膚科的施術を行う施設と、包茎治療など特定の手術に特化して突出した件数を行う施設という、2つのタイプのクリニックが存在感を増す可能性がある。

 今回の分類では「レーザー施術」と「処置」が、それぞれ「プチ整形」「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション」「フェイス関連の美容治療」という3つに分けて集計されており、プレスリリースでは、内訳を示していない。

 まず「プチ整形(処置)」「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション(処置)」「フェイス関連の美容治療(処置)」については、想定される例としては以下が挙げられる(推測)。

 「プチ整形」が形を変えたり、元からあるものを減らしたりなくしたりするものととらえると、ヒアルロン酸注入やボツリヌス療法により輪郭や鼻など形を変える施術が浮かぶ。

 また、「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション」は、老化に伴う変化を元に戻す施術が当てはまると考え、たるみやシワに対するHIFU(高強度焦点式超音波治療、ハイフ)や高周波(RF)の照射やスキンブースターやヒアルロン酸などの注入系の治療がある。「フェイス関連の美容治療」は、形を変えたり老化したりすることと関係ないものの中で、見た目に関わる特徴を変化させる施術と考え、ニキビ痕に対する照射系や注射系の治療が近いと考える。

 一方で、「プチ整形(レーザー)」「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション(レーザー)」「フェイス関連の美容治療(レーザー)」についても、典型例としては「プチ整形(レーザー)」はホクロやいぼの除去、「フェイス関連の美容皮膚/リジュビネーション」は老化と関連する肝斑や老人性色素斑、色むらといった症状の治療、「フェイス関連の美容治療(レーザー)」はそばかす(雀卵斑)の治療が考えられる。

 いずれにしても、鼻形成や豊胸といった外科的手術よりも、低侵襲の注入系やレーザー系の実施件数が大幅に多い傾向が確認された。一方で、「男性形成」は、自由診療の包茎治療などが考えられるが、特定の施術に特化したクリニックは、突出して多い施術件数をこなす状況も考えられた。

 美容皮膚科系の非外科的治療で多くの施術をこなすクリニック、専門性を高めて特化した施術で突出した件数の美容外科手術を行うクリニックという、大きく2つのタイプの施設が存在感を高めていく可能性がある。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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