「細川亙 現代美容医療を殿が斬る」では、日本形成外科学会理事長をはじめ、多くの要職を歴任し、米国形成外科学会名誉会員でもある細川亙氏が、現代美容医療が抱える様々な問題に鋭い視点で問題提起する。「殿」というのは、細川氏が細川ガラシャの子孫だから。その源流は明智光秀に通じる。そんな歴史的背景を持つ細川氏が現代に舞台を移して美容医療の分野で一刀を振るう。激動の美容医療の世界をどう治めるのか。
第11回テーマ「タトゥーメイクに関する厚労省との面談」
厚生労働省が「アートメイク」が医療行為であると通知を出した一方で、刺青は医療行為ではないという最高裁判所の判決が出ていることから、その扱いをどうすべきかが問題になっている。「アートメイク」や「タトゥーメイク」の認識が混乱し、自治体や警察が厚労省の通知などに基づいて取り締まろうとするも結局不問とされるケースが出ている。細川氏は、この問題に注目している。
厚労省との面談と通知の問題
前回の「殿が切る」でも述べたように、9月11日、私は梅村聡衆議院議員とともに厚労省医政局数名の課員と衆議院議員会館で面談した。実は梅村議員とともに厚労省官僚とタトゥーメイクに関する話し合いをしたのは今回が初めてではない。昨年の12月4日にやはり衆議院議員会館(私だけはWEB参加であったが)で面談し、2020年の最高裁決定(最決令2・9・16刑集74巻6号581頁)に従って「医行為」の解釈をすべきであると、梅村議員、国際タトゥーアーティスト協会宮本恵介理事長らとともに強く申し入れたのである。
しかしその時の厚労省側に法令に詳しい官僚がいなかったのが原因か、あるいは梅村議員が1野党議員にすぎない立場であったからか、事実上この申し入れは放置されていた。それどころか今年8月には「いかなる名称を使おうとも化粧に代替しうる装飾を描く行為は、医行為に該当する」という医政局長通知(令7・8・15医政発0815第21号、以下「2025年通知」)が新たに発出された。国会議員から問題提起されている最中に、これまでよりもさらに違法性の強い通知を出すという暴挙に厚労省は出たのであるから大変驚いて9月11日の面談になったわけである。
「アートメイク」か「タトゥー」か
今回の厚労省側参加者には法曹資格を持つ官僚が加わっており、厚労省が出した医政局医事課長通知(令5・7・3医政医発0703第5号、以下「2023年通知」)と2025年通知の違法性を彼なら認識してくれるのではないかと淡い期待も持っている。
今回の面談の中で厚労省は、2025年通知において医行為とした「いかなる名称を使おうとも化粧に代替しうる装飾を描く行為」が、2023年通知において医行為とした「アートメイクをする行為」と同じであると述べた。
つまり2023年通知と2025年通知とで、厚労省が医行為と認定する行為の範囲は変化していないと言ったのである。「いかなる名称を使おうとも化粧に代替しうる装飾を描く行為」という表現はタトゥー一般を指し示すというのが、通常の日本語を使う人たちの理解であろう。厚労省の官僚用語は日本語の常識を逸脱している。
また、千葉県匝瑳市の美容師によるタトゥーメイクに対する保健所の指導で、千葉県が厚労省見解を採用しなかったことを、厚労省はこの面談時まで把握していなかった。今後、千葉県を含めた全国の都道府県に対して2025年通知の徹底を求める姿勢で厚労省が臨むのか、あるいは通知を撤回する方向で動くのか注目される。
さらにこの10月政権与党の一員となった梅村議員(日本維新の会所属)の申し入れに対して、昨年12月に1野党議員として申し入れをした際と同様な態度で厚労省が対応するのかどうかも大変興味の湧くところである。梅村議員は私自身が卒業し教授も務めていた大阪大学医学部を卒業した大変優秀な後輩である。当然ながら医療に関する造詣が深く、与党議員となった今、厚労省に正しい行政を行うように大いに指導してくれるものと期待している。
