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美容医療の中で女性ホルモンの治療は次なる潮流に?肌ツヤやシワ改善などに期待、AMWC Japan 2025が産婦人科系の講演にスポットライト

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AMWC Japanが2025年11月に開催。(写真/編集部)

AMWC Japanが2025年11月に開催。(写真/編集部)

 美容医療の国際的な学会、AMWC Japanが2025年11月8日、9日に開催された。

 フィラー注入や照射系の非外科的な施術の講演が注目されていたが、今年のAMWCの特徴の一つはホルモン治療をはじめ産婦人科に関連した講演が複数行われていたこと。今後、美容医療でホルモン治療が注目されることがあっても不思議ないかもしれない。

肌のツヤやシワを改善する効果

AMWC Japanの会場。(写真/編集部)

AMWC Japanの会場。(写真/編集部)

  • 産婦人科分野の講演 → 産婦人科系セッションが実施。美容学会では貴重な構成。
  • 高松潔氏の講演 → 「ホルモンを制するものが美容を制する」として、エストロゲンの美容効果を解説。ホルモン補充療法によるシワ・ツヤ改善を紹介。
  • 美容的意義 → HRTは肌の弾力・厚み・コラーゲン量を増加させ、ハリ改善やシワ軽減が期待できる。フィラー・照射治療と並ぶ新たな美容領域となる可能性。

 AMWC Japanは、後援団体として、日本美容外科学会(JSAPSとJSAS)、日本抗加齢医学会、日本美容皮膚科学会、見た目のアンチエイジング研究会が後援団体になっている。日本抗加齢医学会の理事の一人として、東京大学産婦人科前教授の大須賀穣氏が務めている。そのこともあり、今回、産婦人科系の講演が行われたようだった。

 美容医療の学会ではフィラー注入や照射系の施術に注目が集まりがちだが、今回のように産婦人科分野の講演が行われる機会は貴重だ。特に、ホルモン療法の効果は美容に直結するものであり、その点は注目された。

 2日目にあった基調講演で、東京歯科大学市川総合病院産婦人科教授を2024年まで務めた、つくばみらい遠藤レディースクリニックの高松潔氏が「ホルモンを制するものが美容を制する」として、エストロゲンの美容への効果を説明した。

 ホルモン治療は、女性であれば、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)やホルモン補充療法(HRT)といった治療が有名だ。

 日本では、合成女性ホルモンの発がん性が1960~1970年代に大きく注目されたり、2000年代に入ってもホルモン補充療法の子宮体がんや乳がんのリスクについて報告されたりして、女性ホルモンへの抵抗が強い状態がある。

 今回、高松氏は自分自身が行った治療の写真を見せながら、ホルモン補充療法による肌のツヤをよくする効果や、シワを改善する効果など、美容面の影響を示した。肌の状態が改善し、シワが目立たなくなるような効果がある。フィラー注入や照射系の施術によりシワやたるみを改善しようとしていることを考えると、ホルモン治療で同じような効果を導けることは軽視できず、これは今後の注目領域となる可能性がある。

 実際には、ホルモン補充療法の肌への若返り効果を裏付ける論文も存在する。具体的には、肌の弾力性、厚み、コラーゲン量を増加させることが示されている。これが肌のハリを高めたり、シワ改善につながったりすると考えられる。

ホルモン療法にあらためて注目か

AMWC Japanのプログラム掲示。(写真/編集部)

AMWC Japanのプログラム掲示。(写真/編集部)

  • ホルモン治療のリスク認識 → 女性ホルモン治療は血栓症やがんのリスクが指摘されるが、高松氏は「他の生活要因と比較して過度に高いリスクではない」と説明。
  • 適応制限 → 乳がん・子宮がんの経験者はホルモン補充療法を行えないなどの制限はある。
  • 美容医療との関係 → HRTによりフィラー注入や照射治療と同等の美容効果を得られることもあり、今後再注目される可能性。

 女性ホルモンは、血栓症やがんのリスクが問題になることがあるが、高松氏は、女性ホルモンの論文に基づいて、確かにLEPやホルモン補充療法によるリスクはあるが、妊娠や出産による血栓症のリスク上昇や、アルコールを飲むことによるがんリスクと比べて、決して大きなリスクではないと説明した。

 例えば、論文を確認すると、血栓症のリスクが通常は1万人当たり1~5人程度の頻度なのが、LEPを使うと5~10人程度に高まるが、妊娠や出産を経験するとリスクは妊娠だと1万人当たり5~20、出産後は40~50人程度まで上昇する。

 がんのリスクについては、ホルモン補充療法だと乳がんのリスクが1.26倍に上昇するという報告があるが、ビールを1日1本大瓶飲むとがんの種類にもよるが、1.2倍以上の上昇が認められる。

 これらの結果を見ると、適切な管理のもとで行うことで、ホルモン補充療法はフィラー注入や照射系の施術にも匹敵する美容的効果をもたらす可能性があるといえる。一方で、乳がんや子宮がんの既往がある場合には実施できないなど、適応には明確な制限があり、慎重な判断も求められる。

 美容医療が多様化するなかで、これまでリスクの面から敬遠されてきたホルモン治療が、エビデンスに基づく新たな選択肢として再び注目される可能性もある。

参考文献

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Jun S, Park H, Kim UJ, Choi EJ, Lee HA, Park B, Lee SY, Jee SH, Park H. Cancer risk based on alcohol consumption levels: a comprehensive systematic review and meta-analysis. Epidemiol Health. 2023;45:e2023092. doi: 10.4178/epih.e2023092. Epub 2023 Oct 16. PMID: 37905315; PMCID: PMC10867516.
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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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