
AMWC Japanが2025年11月に開催。(写真/編集部)
AMWC Japan 2025が2025年11月8、9日の2日間、都内で開催された。
韓国の医師が「hADM」と呼ばれる製剤の効果を紹介していたが、これは人由来の注入製剤だ。
日本でも一部で使用されているが、今後注目される可能性がある。ただし、その安全性には注意も必要だろう。
2020年代に美容への応用が模索

AMWC Japanの会場。(写真/編集部)
- hADMとは → 「human acellular dermal matrix(無細胞同種真皮)」の略で、人の皮膚から細胞を除去し、基質部分(真皮マトリックス)のみを残したもの。
- 背景技術 → PLLAやPDLLAなどのコラーゲン生成ブースター製剤が普及する中、細胞外マトリクスを補う新たな製剤として研究が進行。
- 美容領域での応用 → 韓国では2020年代に入り、美容用途での応用研究が進行。乳房外科や膣の柔軟性改善などで利用報告あり。
「2026年美容医療テクノロジー:次なる10年の展望」と題したプログラムの中で、韓国HEAL Dermatologic Clinicのパク・ジュヒュク氏は、注入製剤を比較する中で、hADMを紹介していた。
hADMは、human acellular dermal matrix/matricesの略語となる。直訳すると、人の細胞を含まない皮膚の基質。真皮マトリクスなどとも呼ばれている。「無細胞同種真皮」などと言われることもある。
最近、PLLA(ポリ-L-乳酸)やPDLLA(ポリ-DL-乳酸)などのコラーゲンの生成を促すブースターが数々登場している。これらの注入製剤は、真皮のコラーゲン作りを促すのが目的となる。
こうした中で、細胞外マトリクスを補充するという観点から、さまざまな製剤の研究が進んでいる。
ブタなどから作られ、アレルギーを引き起こす物質を除いたアテロコラーゲンなどはその一つと見られるが、人由来製剤の活用も模索されているとされる。
人由来製剤はどのような経緯で活用されるに至ったのか。
論文を探ると、そもそも人の皮膚の移植が行われてきた歴史がある中で、2002年にイスラエルの研究グループが細胞除去の処理をされた細胞外マトリクスを歯ぐきの再生に使うなどの動きが確認できた。
その後もさまざまな研究論文が見られるが、注入製剤としての応用は、比較的最近になって報告され始めていると見られる。
2021年にスペインの研究グループが、5人の人の死体ドナーから研究目的で皮膚を取り、そこから細胞を取り除いてhADMを作り出したという研究報告が見られる。
2020年代に入り韓国の研究グループが美容用途での活用について研究報告をしているが、乳房の外科で利用が進んでいると紹介している。このほか膣の柔軟性を高める効果を検証した論文も見られる。報告数は限定的であり、100本未満と推定される。
公的情報での承認状況の確認が求められる

AMWC Japanのプログラム掲示。(写真/編集部)
- 利点 → 人の皮膚由来であるため、生体親和性が高く、馴染みやすい特性を持つ。
- リスク → HIVやHCVなどの感染症リスクが懸念され、安全性の課題が存在。
- 透明性の重要性 → 有効性・安全性のデータ公開と、製造プロセスの明示が不可欠。
AMWCの講演を参考にすると、今後、hADMはニキビ痕や傷跡の治療などから、用途を広げる可能性はある。皮膚の凹んだところを埋めることで盛り上げて目立たなくするといった効果は分かりやすいところで、人の皮膚に馴染みやすいのは利点になると考えられる。
一方で、hADMは人から取られたものであるために感染症の可能性はあるようだ。人免疫不全ウイルス(HIV)やHCV(慢性C型肝炎ウイルス)などが考えられる。
製品の安全性については慎重さが求められる。これらが承認されているかどうかは分かりづらい。韓国では、Elravie Re2Oという製品などがあり、延世大学での臨床試験の情報、人組織バンク設立許可が確認できる。一方で、検索できる限り、公的情報で承認情報が明らかではない。
有効性や安全性の分かりやすい情報公開は必須だろう。製品がどのようなプロセスで生産されているかも課題になるだろう。
課題は残るものの、胎盤由来のプラセンタ製剤が普及した経緯と重ねて見ることも可能だ。hADMにおいても、安全性への配慮と透明性を確保した上で、美容医療の現場で慎重に導入を検討する動きが出てくる可能性がある。
