
AMWC Japanのプログラム掲示。(写真/編集部)
AI(人工知能)が美容クリニックでどのように使われるのか。
2025年11月8、9日の2日にわたって開催されたAMWC Japanでは、「AIテクノロジーで進化する美容医療の最前線」ということで、AIの利用についても語られていた。
施術の方針をAIで微調整

AMWC Japanの会場。(写真/編集部)
- 台湾・ワン氏の見解 → 患者がAIで得た情報をもとにクリニックを訪れる時代が到来。AIが施術方針の微調整にも活用される。
- 米国・Kay Durairaj氏の見解 → AIを使って施術効果を事前に予測・最適化する取り組みを紹介。美容医療の可視化、高度化。
- 日本・古山登隆氏の見解 → AIを再生医療プロトコールの設計に活用。人間では難しい細かい条件設定を可能にする。
AIと美容医療というと、検索の代わりのような使い方を思い浮かべるかもしれない。
例えば、シワやたるみの改善方法を検索サイトで調べる代わりに、AIに質問するという使い方が想定される。
台湾Libereal Vigorクリニックのワン・チャオチン氏は、美容クリニックにやってきた人が、AIで見た回答を持ってきて美容クリニックにやってくる風景が当たり前になる未来を示した。
ただ、これはあくまで序の口。美容クリニックでのAIの活用は、単純に施術方針を決めるといったレベルにはとどまらないようだ。
ワン氏が話していたのは、顔の筋肉を細かくAIで分析し、それらに対してどのように施術すると最大の効果を得られるかを決めることができるということ。
現在でも、医師は顔の施術の方針を細かく決めているが、AIを活用することで、さらに細かく方針を微調整することが可能になるという考え方を示していた。
米国のKay Durairaj氏は、AIを活用して、美容医療の効果を事前に予測して最適化することができるということを映像を見せながら説明していた。プレゼンテーションが基本的に動画で、それ自体はAIではなかったものの、今後は美容の説明も高度になる可能性を感じられた。
日本からは、自由が丘クリニックの古山登隆氏が、やはりAIを使うことで、美容医療のパーソナライズに使われるという見方を示していた。再生医療のプロトコールを決めるためにAIが使われるという話をしていた。AIを使うことで、人の力で考えられる以上の細かい設定を決められるようになることがメリットだと考えられた。
講演を参考にすると、AIの活用によって美容医療の内容をより精密に設計できるという流れが明確になった。今後、AIを導入しない選択肢は少なくなるだろう。AIで施術が細かく調整できるとしたら、AIを使う場合と使わない場合の差は小さくないように見えるためだ。
化粧品をAIで作り出す

AMWC Japanが2025年11月に開催。(写真/編集部)
- 研究対象 → 肌の色素沈着に関与する酵素「チロシナーゼ」を抑制する薬剤のAI設計。
- 新しい薬剤 → AI設計による「KT-939」が開発中で、従来薬より高い有効性を示すと報告。
- 効果・安全性 → 強力なチロシナーゼ抑制作用に加え、抗酸化・抗炎症効果を持ち、細胞毒性が低いことが確認された。
AIの活用法という点で、このほかにも興味深かったのは、ワン氏が話していた、薬剤の開発にAIが活用されるという話だ。
肌の色素沈着の原因の一つである、メラニンを生成する酵素の一つがチロシナーゼ。このため美白治療のためには、チロシナーゼの働きを抑える薬剤が使われている。ビタミンC誘導体、ハイドロキノン、コウジ酸、トラネキサム酸などが当てはまる。
それに対して、ワン氏によると、AIを用いて効果の高い薬剤を計算的に設計することが可能になっているという。具体的には、KT-939という薬が研究途中であり、従来の薬剤と比べて高い有効性が確認されている。
論文によると、チロシナーゼの強力な抑制効果のほか、抗酸化作用や炎症を抑える効果が確認され、細胞への有毒性も小さいことが確認された。AIで作られた薬が美容医療にも影響する可能性がある。
美容利用の分野でもAIの利用は進む可能性は高い。
