
自然派・オーガニック化粧品の国内市場規模推移と予測。(出典/矢野経済研究所)
自然派(ナチュラル)、オーガニックの化粧品が人気となっている。ポイントは、ナチュラルでありながら高い機能性を備えているという点にあるようだ。
2025年12月に矢野経済研究所が最新の調査結果を発表した。
エイジングケア、美白、UVケアなどプラス

自然派、オーガニック化粧品は人気続く。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 自然派・オーガニック市場は3.1%増の1835億円に拡大 → 環境配慮・サステナブル志向の高まりを背景に、依然として高い人気を維持している。
- 「自然由来+機能性」が重視される時代へ → 単なる安心感ではなく、エイジングケア・美白・UVケアなどの実用的な効果も求められ、高機能ラインが拡大。
- ブランドストーリーと品質で差別化が進む一方、市場競争は激化 → 原料の背景や開発理念を打ち出すブランドが増加する一方で、売上減少に直面する企業も多く、競争環境は厳しい。
矢野経済研究所によると、2024年度の国内市場は前年から3.1%増の1835億円と推計され、人気が続いている。
背景には、環境配慮やサステナブル志向の高まりがある。「自然派」「オーガニック」「無添加」などの価値に対する理解や共感が広がっている。
さらに、自然由来でありながら機能もしっかり伴うという進歩もあるという。最近では、「自然由来だから安心」だけでは選ばれず、エイジングケア・美白・UVケアといった機能性も求められている。
結果として、ブランドのプレミアムラインや高機能ラインの開発が進む。乾燥肌や敏感肌に特化したシリーズを揃えるブランドも多く、使用感や効果の実感を訴えている。従来の基礎化粧品と併用されるケースも増えているという。
さらに、ブランド理念や原料の背景、開発ストーリーを打ち出すコミュニケーションも重視されている。
一方で、参入ブランドの中には売上が減少傾向にある企業も少なくなく、市場環境は厳しさを増しているという。
美容はリアルで選択

実際に手に取って選ぶ流れ。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- DTCブランドの台頭が市場を牽引 → コロナ禍を背景に、自社ECやSNSを活用した直販型ブランドが急成長し、100億円規模に達する事例も登場。
- 「体験型直販」への移行が加速 → 行動制限の緩和後、ブランドはリアル店舗で香り・テクスチャー・世界観を体験できる空間を重視し、オンラインとオフラインの融合が進む。
- 美容のトレンドは「リアルな接点」へ → SNS発信の重要性は続くものの、顧客が直接医師やブランドと関わる体験価値が重視される傾向に。美容医療でもリアルイベントのニーズが高まると予測される。
ヒフコNEWSでは、2023年の報告についても記事として伝えている。2022年度は、コロナ禍の最中から回復期の時期で、特徴的だったのは、「DTC(Direct to Consumer)」と呼ばれる自社EC直販型ブランドの台頭だった。
新興ブランドが自社サイトやSNSを軸に自然派・オーガニック処方のスキンケアを訴求し、100億円規模まで成長した例もあると報告された。
その後、行動制限が緩和されると、人気ブランドがリアルの直営店を展開し、店頭でテクスチャーや香り、世界観を体験できる「体験型直販」へと移行した。
それから2年間を経て、自然派・オーガニックの化粧品に機能が求められているのは、必然的な流れといえるかもしれない。
また、美容においてSNSの力よりも実店舗でのコミュニケーションが必要になっているというのは、美容との接点の変化につながっている側面がある可能性がある。
美容医療でも、SNSでの情報提供は重要ではあるものの、リアルな接点を求める側面はある。ヒフコNEWSでは、アラガン・エステティックスの「お肌見Salon」というイベントを伝えているが、今後、より多くの人が美容医師と直接触れ合える機会をクリニック外にも求めるようになると予測される。
