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ロレアル、ガルデルマの株式をさらに10%拡大 化粧品企業の美容医療分野への接近が加速 日本でも化粧品と医療との連携が進展

カレンダー2025.12.11 フォルダー 海外
ロレアルが発表。(写真/Adobe Stock)

ロレアルが発表。(写真/Adobe Stock)

 フランスのロレアルが、皮膚科領域に強みを持つガルデルマへの投資を拡大し、美容医療との距離をさらに縮めている。

 化粧品と医療とのつながりが強まっている状況を象徴する動きだ。

メディカルコスメから注入剤まで

仏ロレアルグループが美容医療に関連が深いガルデルマの10%の株式を取得。(写真/ロレアルグループのホームページ)

仏ロレアルグループが美容医療に関連が深いガルデルマとの連携強める。(写真/ロレアルグループのホームページ)

  • ロレアル、ガルデルマ株を20%に拡大 → 2025年12月、追加出資10%を発表。
  • ガルデルマは「レスチレン」など展開 → ヒアルロン酸注入剤やボツリヌス製剤、バイオスティミュレーターを擁し、皮膚科・美容医療の両領域で影響力を持つ。
  • ドクターズコスメから医療製剤まで一体化へ → ロレアルの動きは、化粧品・メディカルコスメ・注入製剤の垣根を越えた統合戦略と捉えられる。

 ロレアルは2025年12月、ガルデルマ株式の追加10%を取得し、合計20%の出資比率となる見通しであることを発表した。

 ガルデルマは、ヒアルロン酸注入剤「レスチレン」や各種ボツリヌス製剤、バイオスティミュレーターなどを展開し、皮膚科領域に幅広い製品を持つ企業で、世界的に美容医療分野で存在感が大きい。

 今回の発表でロレアルは、美容医療を「コア美容領域に隣接する成長分野」と位置づけ、科学的な連携をさらに高める姿勢を示した。

 一方ガルデルマも、ロレアルを「長期的なパートナー」と評価し、提携強化を歓迎している。

 なおヒフコNEWSでは前回の記事で、化粧品企業が「ドクターズコスメ」を強化している流れを伝えた。この呼び名は医師監修の市販化粧品を指す場合もあれば、医療機関専売品を指す場合もある。一方で、医療機関専売品を「メディカルコスメ」と呼ぶ傾向もある。

 今回の提携を踏まえると、ドクターズコスメからメディカルコスメ、さらには注入製剤まで、幅広い製品群に影響を与える可能性が考えられる。

 ロレアルの動きは、医療機関専用製品への本格的な接近と見ることができる。

美容医療に化粧品が関わり

佐賀大学はコスメティック学環を設置。(出典/佐賀大学)

佐賀大学はコスメティック学環を設置。(出典/佐賀大学)

  • 化粧品企業×美容医療の融合が加速 → 韓国のファーマリサーチはPN製剤「リジュラン」と化粧品ラインを両立。
  • 日本でも医療連携が拡大 → ポーラ・オルビスHDやロート製薬が医療機関との協働を強化。佐賀大学も化粧品分野を創設。
  • 複合治療の広がりも? → 注入剤・エネルギーデバイスとの併用治療の需要が増える中、治療の幅が広がる可能性も。

 ヒフコNEWSで伝えているように、化粧品企業が美容医療との関係を深める動きは国内外で広がっている。

 韓国では、核酸製剤の一つであるPN(ポリヌクレオチド)製剤「リジュラン」を開発したファーマリサーチが、化粧品ラインと医療向け製剤の両方を展開しており、領域横断的なビジネスが進んでいる。

 化粧品と美容医療が接近するのは、どちらも美容成分・製剤の研究開発を行うという共通点があるため、自然な流れだといえる。日本でもポーラ・オルビスHD、ロート製薬などが医療機関との連携を強めている。佐賀大学は化粧品の部門を作り、医療とのつながりも想定している。

 ロレアルは、日本国内でメディカルコスメ「スキンシューティカルズ」の展開を本格化させたところだが、今後は美容クリニックで化粧品メーカーの新製品を見る機会がさらに増える可能性がある。

 また、注入剤やエネルギーデバイスを併用する複合治療の人気も高まっており、化粧品企業の参入が治療の幅を広げる可能性もある。

 美容医療で使用される製剤は、国ごとに承認状況が異なるケースも多い。安全で有効な製品がより使いやすい形で流通することが望まれており、化粧品企業との連携がその改善に寄与することが期待されている。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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