
スキンケアのアプローチは?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
スキンケアは「塗る」だけでなく「飲む」ことによって行うという考え方が注目されている。
日本のカネカの研究チームが2025年12月に、日本人女性を対象に加熱処理した乳酸菌由来の「ポストバイオティクス」を8週間摂取してもらう研究の結果を美容皮膚科誌で発表した。
生きた菌ではなく「加熱処理菌」を摂取する試み

腸内環境は肌にも影響。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 今回の研究対象→ 加熱処理した乳酸菌(ポストバイオティクス)を使用
- ポストバイオティクスとは→ 加熱処理で死滅した菌でも、菌体成分や代謝産物が生理作用をもたらすとされる
- 試験の概要→ 30〜49歳の健康な日本人女性60人を対象に、菌体100億個分またはプラセボを8週間摂取
ヒフコNEWSでは飲むことでスキンケアにつながるアプローチが関心を集めている状況について既に伝えている。12月に、セラミドなどを飲む効果についての研究を紹介したほか、国内のサプリメント市場で、コラーゲンやヒアルロン酸などが売り上げを伸ばしていることを示した。
今回、論文で報告されたのは、加熱処理をした乳酸菌で、研究チームは「ポストバイオティクス」と呼んでいる。一般的に、「プロバイオティクス」は、乳酸菌やビフィズス菌などの体に良い効果をもたらす細菌などを摂取することで、「プレバイオティクス」は、オリゴ糖のように乳酸菌などのエサになる栄養素を摂取することを指す。これに対して、細菌そのものは加熱処理され生存していないが、菌体成分や代謝産物による生理作用が期待されるものを「ポストバイオティクス」と呼ぶ。
研究で用いられたのは、東アジアの漬物由来のラクトバチルス・サケイ(Latilactobacillus sakei KABP-065)。これを加熱処理して使っている。
研究チームによれば、生菌とは異なり、腸内で増殖することはないものの、免疫調整作用などの生理的な働きは保たれるとされる。
今回、研究チームは、30〜49歳の健康な日本人女性60人を対象に、このポストバイオティクスを1日当たり菌体100億個分、または菌体を含まないプラセボのいずれかをランダムに8週間摂取してもらった。その上で肌状態を比べている。
評価は主観的な評価だけではなく、コルネオメーター(皮膚水分が分かる)、テヴァメーター(経皮水分蒸散量が分かる)、キュートメーター(肌弾力が分かる)といった専門機器を用いて行われた。
全体では弾力、40代では水分量も改善

腸内環境は重要。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 主な結果→ ポストバイオティクス摂取グループで肌の弾力が改善
- 年齢別の効果→ 40代では頬の角質水分量がプラセボ群より大きく改善
- 安全性→ 胃腸症状の悪化や重篤な副作用は確認されなかった
その結果、肌の弾力がポストバイオティクスを摂取したグループで改善したことが分かった。また、年齢別に比べると、40代では、頬の角質水分量について、プラセボ群より大きな改善が示された。
主観的な評価でも、「顔のくすみ」「毛穴の目立ち」「唇の色」などが改善する傾向が見られ、特に40代では毛穴の評価がプラセボより良好だった。
試験期間中、おなかが痛くなるなど胃腸症状の悪化や重い副作用は確認されなかった。
論文によれば、40代女性で効果が強く現れた背景として、エストロゲン低下と皮膚バリア機能の変化との関係が指摘されている。更年期前後に始まるホルモン変動が、腸と皮膚の相互作用(腸―脳―皮膚軸)に影響している可能性があるという。
今回の研究は企業によるものではあるが、無作為化二重盲検試験という厳密な手法が用いられている。腸内環境と肌状態の関係はこれまでも関心を集めてきたが、今回の研究は「肌の状態を良くする」という観点から菌体を飲むことによる腸内環境の改善が注目される可能性を示している。
