
薬などで若返りを目指す。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
2025年は、美容内科の分野に注目が集まり始めた年だった。
美容医療というと女性の関心分野という印象が強いが、この年は男性も含めたアンチエイジングを重視する動きが目立った。
大阪・関西万博と「アンチエイジング」

人気を集めた「ミャクミャク」。動脈と静脈はモチーフの一つ。(写真/Adobe Stock)
2025年は大阪・関西万博が開催され、多くの人が「生物学的年齢」という考え方に触れた年でもあった。大阪府市が設置したパビリオンでは、「REBORN」をテーマに、見た目の年齢と身体年齢を比較する企画が行われ、延べ553万人が来場した。
近畿大学アンチエイジングセンターの山田秀和氏は、「この1年で、世界では『Longevity Clinic(ロンジェビティ・クリニック、長寿医療クリニック)』が存在感を高め、標準化の動きも始まりました。アンチエイジング医学には大規模な投資が進み、まさに夜明けの段階にある」とヒフコNEWSにコメントを寄せた。
大阪・関西万博が示した美容医療の現在地、アンチエイジング時代の到来、大阪ヘルスケアパビリオン最多入場と「REBORN」、未来志向のLongevity Clinicなど注目へ
https://biyouhifuko.com/news/japan/14937/
課題は多いものの、「オゼンピック」や「マンジャロ」などと呼ばれるGLP-1受容体作動薬の登場により、薬によって体の状態を変えられるという事実が、多くの人に認識された点も大きい。
一方で、ダイエット目的での使用は危険だという考え方も広まりつつあり、日本肥満学会は「FUS」という概念を提唱している。
若年女性の「やせすぎ」は病気、日本肥満学会が新たに「FUS」提唱、低体重や低栄養がもたらす月経異常や貧血などを症候群として定義、「痩せ=美」の圧力、健康問題に対策迫られる
https://biyouhifuko.com/news/japan/13005/
そのような薬でなくとも、「エピジェネティッククロック」と呼ばれる方法で生物学的年齢を測定するというアプローチは実用化されている。さらに栄養学的なアプローチで、「オーソモレキュラー療法」と呼ばれるアプローチも可能になっている。山田氏のいう「ロンジェビティ・クリニック」が今後広がる可能性はある。
【2025年美しさとは】美容医療はライフスタイルに根ざして、健康美を目指す新時代に、2025年は「ロンジェビティ(Longevity)」に注目、BIANCA CLINICの堀田和亮理事長に聞く 前半
https://biyouhifuko.com/news/interview/10958/
研究の分野を見ると、着実に若返りの研究は進展している。老化細胞除去を可能とする薬の開発が進んでおり、実用化も近づいている。
セノリシスの時代、老化コントロール可能とする意外な薬、30年の細胞老化研究が応用段階に、順天堂大学教授の南野徹氏が第2回再生医療加齢医学会学術集会で講演
https://biyouhifuko.com/news/japan/12419/
従来、ホルモン療法が存在しているが、その関心も今後高まる可能性もある。
美容医療の中で女性ホルモンの治療は次なる潮流に?肌ツヤやシワ改善などに期待、AMWC Japan 2025が産婦人科系の講演にスポットライト
https://biyouhifuko.com/news/japan/15290/
再生医療で死者の報道も

XPRIZE Healthspan。(出展/XPRIZEウェブサイト)
海外では、老化を遅らせる研究が、「XPRIZE Healthspan」と呼ばれる国際的なコンペティションの形で進められ、約150億円規模の資金をめぐって世界各国の研究チームがアイデアを競っている。最終的には、薬の実用化を目指す動きだ。こうした世界の動きが、日本に影響を与える可能性もある。また、日本から参加している研究チームが勝ち残っている点も注目される。
アンチエイジング医療、実用化にハードル、ルールが欠かせない、保険医療との関係など複雑、XPRIZE Healthspanで日本勢健闘、技術はどう生かす?【編集長コラム】
https://biyouhifuko.com/news/column/13401/
一方で、アンチエイジングという観点から注目されている再生医療では、都内のクリニックで外国からの利用者が亡くなる事故も起きた。再生医療を提供するクリニックの経営実態が外から見えづらく、安全性に懸念が生じている。こうした課題は解決する必要がある。
再生医療で死亡事故、足を運んでみて分かったこと、「事故が起こってもどこか不明」お粗末な日本の再生医療運営、情報公開の不備と医療と美容を分けるルールの限界【編集長コラム】
https://biyouhifuko.com/news/column/14235/
こうした美容内科への関心の背景には、2024年に美容医療のトラブルが相次いで報道され、非外科的施術を含む「手軽な美容医療」に対して、冷静な視線が向けられるようになったことも関係していると見られる。
若年層に無理な施術を勧める動きは減った可能性があり、女性に限らず男性も含め、老化に伴う見た目の変化を穏やかに改善するアンチエイジング施術への関心が高まった。その流れの中で、美容内科のアプローチにも自然と注目が集まったと考えられる。
2026年は、法制度の整備が進んだことを背景に、美容医療はより安全性と質を重視する方向へ変化していくと考えられる。海外でもルール作りが進んでおり、日本への影響も想定される。引き続き、こうした動きに注目していきたい。
