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オーストラリアで、無資格看護師に厳しい処分が下る 資格なしでボツリヌス注射、虚偽記録も発覚 当局トップ「2025年9月のガイドラインが求められる理由」

カレンダー2026.1.12 フォルダー 海外
オーストラリア。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

オーストラリア。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 美容医療の安全性をめぐり、世界的に規制強化の動きが進んでいる。

 その中でも先行的な対応を取ってきたオーストラリアで、無資格の美容注射を行った看護師に厳しい処分が下された。同国では取り締まりも強化されている可能性がある。

医師の関与なしに美容注射、停止中も施術継続

ブリスベン。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ブリスベン。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 違反内容→看護師が医師の指示や処方箋なしでボツリヌス製剤を注射し、虚偽の記録作成や捜査非協力の働きかけも行っていた。
  • 悪質性→看護師登録が条件付き・停止中であった期間にも美容注射を継続しており、資格管理と安全確保の両面で重大な問題があった。
  • 処分結果→民事行政裁判所は「職業上の重大な不正行為」と認定し、登録取消と2027年9月までの再登録禁止、全医療行為の停止を命じた。

 オーストラリア・クイーンズランド州で、看護師が医師の指示や処方を受けずに美容目的の注射を行っていたとして、看護師登録の取消処分を受けた。登録は2027年9月まで再申請できず、それまで美容注射を含むすべての医療行為が禁止される。

 オーストラリア医療従事者規制庁(Ahpra)によると、この問題は2019年に始まった。看護師は、美容医療に関する施術内容について虚偽の記録を作成し、調査に対して誤解を招く情報や書類を複数回提出していたとされる。

 こうした状況を受け、看護助産師委員会は2019年9月に看護師登録に条件を付けた。さらに2020年2月には登録を停止した。しかしその後も、看護師は登録が停止されたまま、2020年から2021年にかけて複数回、美容注射を行っていたことが明らかになった。

 さらに2021年には、警察が進めていた捜査について、施術を受けた患者に協力しないよう働きかけたと認定された。

 刑事面でも問題とされ、2022年、ブリスベンの裁判所で、規制薬物を所持する資格がなかったこと、またそれを他人に投与したことについて有罪と認めた。

 これら一連の行為について、州の民事行政裁判所は、すべての違反を認定し、「職業上の重大な不正行為」に当たると判断。裁判所は、規制当局の調査や処分を軽視する行為は看過できず、同様の行為を防ぐためにも厳しい判断が必要だと指摘。同裁判所が今回の処分を行った。

 今回の決定を受け、Ahpraのトップは、美容注射をめぐる問題が長年指摘されてきたとした上で、施術を受ける人たちの安全確保を目的にルールを強化してきた意義を示す事例とコメントした。

 看護助産師委員会も、施術を受ける前に医療従事者が現在も登録されているか、条件や停止措置を受けていないかを確認することが重要だと、一般に注意を呼びかけている。

規制強化が進む豪州で示された「厳格な姿勢」

ブリスベン。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

ブリスベン。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 規制強化の流れ→オーストラリアでは美容医療の安全性確保を目的に規制が段階的に強化され、2025年9月からは医師・看護師に追加の専門研修や教育が義務化された。
  • 利用者保護→未成年への施術では、初回カウンセリング後に7日間のクーリング・オフ期間を設け、無条件で施術を取り消せる制度を導入。SNSインフルエンサーによる安易な広告表現も制限されている。
  • 今回の処分の意味→Ahpraは今回の事例を「新ガイドラインが必要だった理由を示すもの」と位置づけ、今後もルールに基づいた取り締まりを通じて美容医療の安全性を一層高める姿勢を示した。

 オーストラリアではかねて美容医療の規制強化が段階的に進められてきた。

 例えば、2025年9月からは、医師や看護師が美容医療に関与する場合、追加の専門研修や教育を受けることが義務化されている。

 未成年への施術については、初回カウンセリングから7日間のクーリング・オフ期間を設け、無条件で施術を取り消せる制度も導入された。SNSインフルエンサーによる安易な広告表現も制限されるなど、「気軽に受けられる美容医療」へのブレーキがかかっている。

 Ahpra最高経営責任者(CEO)は今回の処分について「2025年9月のガイドラインが必要だった理由を示す事例だ」と述べ、美容医療の安全性を一層高めていく姿勢を強調した。

 オーストラリアは、ルールを作り、それらに基づいて着実に取り締まりを強化していく方向。美容医療の安全性が、より強く求められている。

参考文献

 Cosmetic injecting nurse banned
https://www.ahpra.gov.au/News/2026-01-07-Cosmetic-injecting-nurse-banned.aspx

 オーストラリアでフェイスリフト失敗の美容外科医が医師免許剥奪、無認可クリニックでの初手術で大量出血事故、規制強化進む同国だが、日本でも他人事ではない
https://biyouhifuko.com/news/world/13608/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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