ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

再生医療関連施設を運営するコージンバイオ、厚労省が杜撰な管理に改善命令 クリニックは事件直後に名称変更し、その後廃止届出 施設の製造環境で菌が基準超えても対応せず

カレンダー2026.1.26 フォルダー 国内
厚生労働省がコージンバイオに改善命令を出した。(出典/厚生労働省)

厚生労働省がコージンバイオに改善命令を出した。(出典/厚生労働省)

 厚生労働省は2026年1月23日、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(安確法)」に基づき、コージンバイオの「埼玉細胞加工センター」(埼玉県坂戸市)に改善命令を出した。

 この改善命令は2025年8月、東京都中央区で発生した再生医療治療後の死亡ケースを受けたもの。同社は同8月にも行政処分を受けており、再度処分を受けた形になる。

 厚労省は衛生管理の不備があれば「提供を受ける者の命を危険に晒す」などと説明し、改善を求めた。

死亡事案の報告前に法人名とクリニック名変更も

行政処分。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

行政処分。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 今回の端緒は、東京都中央区に所在する「ティーエスクリニック」が実施した再生医療等提供計画「慢性疼痛に対する自己脂肪由来間葉系幹細胞による治療」で、1人が2025年8月20日に投与中に急変。心停止に至り、死亡が確認されたケース。

 関連した「疾病等報告」が8月27日に行われた。

 公表資料によれば、死亡を引き起こしたのは、一般社団法人THが運営するティーエスクリニックだったが、報告前に、法人名を一般社団法人日本医師医学会に、医療機関の名前も東京サイエンスクリニックに変更したという。

 厚労省は報告を受け、2025年8月29日に、該当する治療の提供一時停止などを医療機関側に、製造の一時停止などを製造施設側に命じる「緊急命令」を出した。

品質管理に関わる複数の法令違反

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

 厚労省は2025年9月2日、3日の立入検査で、コージンバイオの特定細胞加工物等製造施設に複数の法令違反を確認。今回の改善命令に至った。

 品質管理に関わる複数の法令違反が確認された。

 その中でも、製造環境に、管理基準を超える菌が検出されていたにもかかわらず、そのような逸脱が認められた際の対応が行われていなかった。

 このほか品質管理に関わる文書記録などで不備が確認されていた。

 厚労省は改善命令で、過去に基準値を上回っていた期間をさかのぼり、逸脱への対応を行うこと、提供先での問題発生の確認、外部専門家からの評価、教育訓練などを求めた。

再生医療の安全が脅かされている

コージンバイオの行政処分に当たって衛生管理を疎かにすることは「再生医療等の提供を受ける者の命を危険に晒す」と指摘。(出典/厚生労働省)

コージンバイオの行政処分に当たって衛生管理を疎かにすることは「再生医療等の提供を受ける者の命を危険に晒す」と指摘。(出典/厚生労働省)

 再生医療のための細胞供給の安全性が脅かされる状態が継続していた。

 この事件を見るに、再生医療の運用には根本的な問題が確認できる。

 死亡事案を起こした一般社団法人と、クリニックが直ちに名称変更し、安全性に重大な問題を抱えている施設が、一般の人から判断できないようになることは、新たな被害者を起こす恐れがあると考えられる。

 なお、厚労省がクリニックにも行政調査をしていたが、同クリニックについては11月に医療機関の廃止届出が出された。その後も死亡原因の調査が続いている。

 細胞を提供している施設が、安全性に関わる対応に欠けていたのは、当然ながら、再生医療の利用を検討している人には認知される必要がある。命を奪われる可能性があるためだ。

 厚労省はコージンバイオに対して次のように命令を出している。

 「本事業者は、衛生管理が特定細胞加工物等の安全性の確保における根幹であり、それを疎かにすることは再生医療等の提供を受ける者の命を危険に晒すこと、衛生管理は特定細胞加工物等製造事業者が果たすべき責務であること及び清浄度管理区域内において管理基準値を超えた菌量が頻繁に検出されるような事態は特定細胞加工物等の安全性の観点で重大な懸念があることを深く認識し、以下に掲げる対応を早急に実施すること。」

 2025年8月の時点でヒフコNEWS編集長コラムでも、公開情報を頼りに現地確認を試みていたが、名称変更や検索上の断絶で、医院や連絡先に辿り着きにくい実態を指摘していた。また、慢性疼痛への治療が行われたというが、実質的に美容やアンチエイジング目的として運用され得る曖昧な構造など、事故対応だけでなく、問題発生以前の制度の不備についても考察した。

 今回、杜撰な状況を受けて、再生医療を促してきた制度自体にも厳しい目が注がれることは避けられない。

参考文献

再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく改善命令について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69163.html

再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62642.html

再生医療で死亡事故、足を運んでみて分かったこと、「事故が起こってもどこか不明」お粗末な日本の再生医療運営、情報公開の不備と医療と美容を分けるルールの限界【編集長コラム】
https://biyouhifuko.com/news/column/14235/

行政処分に関するお知らせと今後の対応について
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20260123537685/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。