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新しい美容技術は「全国一斉」か「限定展開」か、約150院を擁する中での発想法、複数のブランドを展開する背景とは、湘南美容クリニック皮膚科全体統括の西川礼華氏に聞く Vol.3

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/編集部)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/編集部)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括

  • 導入規模の判断→約150院展開のSBCブランドと、新トレンドに柔軟なNEOスキンクリニック等で役割を分担。
  • 標準化の徹底→どの拠点・施術者でも同水準の治療ができるよう、メンテナンス体制や教育難易度を考慮。
  • マルチブランド戦略→「王道」から「サブスペシャリティ」まで、顧客ニーズの多様化に合わせブランドを枝分かれ。

──新しい治療はどこのクリニックから入れていく?

西川氏: 新治療の導入に当たっては、湘南美容クリニックの特定の院、例えば新宿本院から入れていくなど、考え方があります。

 湘南美容クリニックのブランドとして導入するとなると、導入規模は一気に大きくなります。課題となるのは、約150台規模になるため、その台数のメンテナンスに対応可能なメーカーも限られてくることです。

 ですが、数院に入れるのであれば良い、と考えられる製品もあります。そうした制約がある中で、グループ内に2025年から展開し始めたNEOスキンクリニックは、韓国などで出てくる新しいトレンドの治療にも対応していく役割があります。そうすると、中小の製品も導入可能としていけます。

 また、どのクリニック、どの施術者でも同じ水準の治療が行われるよう標準化に対応する必要があります。その観点で言うと、湘南美容クリニックの約150院で治療の標準化を進めるには難易度が高いケースもあります。しかし、NEOスキンクリニックのように少ない人数の中で、特定の施術者に限定すれば、標準化を進められる治療もあります。そうした場合にはNEOスキンクリニックに入れる判断があります。

──メンテナンスや標準化の難易度で決まってくる。

西川氏: 入れるからには誰がやってもある程度できる状態を作らないといけません。標準化が難しいものは、SBCブランドの範囲でスタートするのか、NEOスキンクリニックからスタートするのか、あるいは特定院からなのか、グループ内で判断しています。

──複数のブランドを作ることが必要。

西川氏: 今、お客さまニーズが多様化していて、男性のお客さまがいたり、トレンドをもっと追い求める層が出てきたり、層の厚みが増えていると考えています。SBCグループ全体のマルチブランドとしてニーズに応えられるようにしたいと考えています。

 例えば、メンズに特化したところは男性専門のゴリラクリニックで見ましょうなどという対応です。

  • 役割の明確化→信頼と品質を保つ「王道」のSBCブランドと、特化型の「サブスペシャリティ」ブランドで役割を分担。
  • マルチブランド展開→ニーズの多様化に合わせ、メンズ・若返り・専門医などターゲットごとにブランドを枝分かれさせ利便性を向上。
  • 技術導入の段階設計→トレンドの速い新治療は限定拠点で先行導入し、標準化の道筋が見えた段階でグループ全体へ展開。

──湘南美容のブランドだけを増やすのではない。

西川氏: SBCのブランドだけで幅を広くしていくと、メニューが横に広がり、お客さまが分からない、ということが起こる。イメージとしては、湘南美容のブランドは王道の美容皮膚科の施術を、どこの店舗に行ってもある程度信頼されるだけの品質で提供できる。支払っていただく価格以上の価値を確実に提供し、万全かつ効果的に満足いただくというところが軸になると考えています。

 一方で、メンズに特化、若返りに特化、デバイスに特化など、「サブスペシャリティ」の色をつけて、湘南美容の中でもさらにマルチブランドになっていくイメージです。

──来院した人が選びやすくしていく。

西川氏: 例えば、皮膚科専門医の先生に診てもらいたい方もいれば、保険皮膚科を入口にした方が通いやすい層もいる。湘南美容クリニックの看板の中で全部できないかもしれないので、枝分かれさせます。

 もっとも美容皮膚科はトレンドが速いので、湘南美容で行う「王道」の治療も3年後には変わってくると思います。今でこそ「サーモン注射」は多くの方に認知されているかと思いますが、私たちのグループが2018年に入れた当時は導入しているクリニックはほとんどありませんでした。「何のために入れるの?」と言われる状況でした。王道も数年単位で変わっていく。だから、王道を磨きながら、次の王道を見極めていく必要があります。

──新しい技術を展開していく医院を分けることで、ニーズを早めにつかめる。

西川氏: 全国で標準化するためのハードルが高い治療を、SBCのブランドで広げるのは現実的ではない場合があります。限定的な場所に導入し、標準化の道筋が見えた段階で、王道の治療として取り込めるなら取り込む。そのような設計が必要だと思っています。(続く)

プロフィール

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括
2013年横浜市立大学医学部医学科卒業。2015年国立病院機構東京医療センターで臨床研修修了後、湘南美容クリニックに入職。2018年湘南美容クリニック皮膚科全体統括。2023年SBC東京医療大学客員教授。日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS、JSAPS)、日本再生医療学会、日本先進医療医師会、日本抗加齢医学会、日本医学脱毛学会、日本レーザー医学会、ASLMS(米国レーザー医学会)など所属。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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