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アートや文化活動に参加する人は生物学的に老化が遅い?運動と同程度の関連、英国の研究グループが発表、英国3566人解析

カレンダー2026.5.17 フォルダー最新研究
文化に触れることと老化に関連。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

文化に触れることと老化に関連。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 音楽や美術、博物館などに親しむことが、運動と同じくらい、生物学的な老化の遅さに関わる可能性が示された。

 英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究グループが2026年5月に発表した。老化の進み方に関わる研究として、美容の観点からも注目されそうだ。

芸術文化活動も運動も、老化の遅さと関連

美術も関連。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

美術も関連。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

  • 文化活動と老化の関係→ 音楽や美術館、博物館などに親しむ人ほど、生物学的な老化が遅い傾向が見られた。
  • 運動と同程度の関連→ 文化活動への参加は、運動と同じくらい老化の遅さと関係していた。
  • 老化指標で確認→ フェノエイジなど、健康状態を反映しやすい老化時計で差が示された。

 研究では、英国の大規模調査に参加した3556人のデータを分析した。

 対象は2010~2012年時点で成人だった人たちで、音楽、美術館や博物館、歴史的な場所を訪れることなどの文化活動への参加、運動の習慣と、「DNAメチル化」から算出した7種類のエピジェネティック・クロックとの関係を調べている。

 エピジェネティック・クロックは、実年齢とは別に、生物学的な老化の進み方を推定する指標として使われる。「DNAメチル化」は、遺伝子の働きを調整するスイッチのようなもので、その状態が老化と関係するとして注目されている。

 その結果、文化活動への参加が多い人ほど、生物学的な老化が遅い傾向が見られた。文化活動の効果の大きさは、運動とおおむね同じくらいだった。

 エピジェネティック・クロックの種類の一つ、「フェノエイジ(PhenoAge)」では、年に1~2回以下の人を基準にすると、月1回参加する人は0.8歳、週1回参加する人は1.02歳、若い値を示した。

 老化の進む速さを見る「デュニーデン・ポーム(DunedinPoAm)」では、年3回以上、月1回、週1回のいずれでも、1年あたりの生物学的な老化の進み方が0.01~0.02遅かった。

 「デュニーデン・ペース(DunedinPACE)」では、年3回以上で0.02、月1回で0.04、週1回で0.03、老化の進み方が遅い値を示した。数字だけ見ると小さく見えるが、1年ごとの老化のスピードが、その分だけゆるやかだったことを意味する。

活動の種類が多い人ほど、関連はよりはっきり

音楽も影響?画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

音楽も影響?画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

  • 活動の幅も重要→ 頻度だけでなく、さまざまな文化活動に親しむ人ほど老化が遅い傾向があった。
  • 40歳以上でより明確→ 年齢が高い層では、文化活動や運動との関連がよりはっきり見られた。
  • 生活習慣の一つに→ 文化活動は、運動と並んで健康的な老化を支える可能性がある。

 今回の研究では、どれくらい頻繁に参加しているかだけでなく、どれだけ多様な活動に親しんでいるかも調べている。

 文化活動では、活動の種類が最も多い群で、フェノエイジが0.96歳低い値を示した。老化の進む速さを見る指標でも、活動の種類が多い人ほど、老化の進み方が遅い傾向が見られた。研究グループは、頻度だけでなく、活動の幅広さも重要な可能性があるとみている。

 運動でも、ほぼ同じ方向の結果が出た。週1回運動する人では、フェノエイジが0.59歳低かった。デュニーデン・ポームでは月1回で0.01、週1回で0.02、老化の進み方が遅かった。デュニーデン・ペースでは、運動頻度や運動の種類、自分で評価した活動性が高いほど、老化の進み方が0.02~0.05遅かった。

 こうした関連は40歳以上でよりはっきりしていた。BMI、喫煙、学歴、収入などを考慮した後も、おおむね同じ傾向が残った。

 ただし、この関連が見られたのは、すべての老化時計ではなかった。フェノエイジ、デュニーデン・ポーム、デュニーデン・ペースでは関連が見られた一方、より古いタイプの老化時計では、はっきりした関係は見られなかった。研究グループは、今回関連が見られた時計のほうが、加齢に伴う体の変化をとらえやすい可能性があるとしている。

 もっとも、この研究は観察研究で、文化活動そのものが老化を遅らせると断定できるわけではない。活動内容は自己申告で、DNAメチル化も血液データに基づいていた。それでも研究グループは、文化活動への参加が、運動と並んで健康的な老化を支える生活習慣の一つになり得るとしている。

 研究グループは、ストレスの軽減や炎症の抑制、心血管リスクの改善などが背景にある可能性も挙げている。

 老化の進み方を考える上で、参考になる研究といえそうだ。

参考文献

Engaging with arts linked to slower pace of ageing
https://www.ucl.ac.uk/news/2026/may/engaging-arts-linked-slower-pace-ageing

Fancourt D, Masebo L, Finn S, Mak HW, Bu F. Does frequency or diversity of leisure activity matter more for epigenetic ageing? Analyses of arts engagement and physical activity. medRxiv [Preprint]. 2025 Sep 16:2024.11.01.24316559. doi: 10.1101/2024.11.01.24316559. PMID: 41001505; PMCID: PMC12458519.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41001505/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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