将来的に不要な脂肪を減らす薬が?ごく初期の試験で安全性を確認、米国
ポイント
- 「STP705」と呼ばれる薬候補が、不要な脂肪を減らす効果を持つのか検証されている
- 現在進行中の臨床試験では手術前の注射の安全性が調べられている
- ごく初期段階の中間結果では最低限の安全性が確認されたと報告された
不要な脂肪を減らす可能性のある新薬が、将来的に登場するかもしれない。このたび米国で試験中の薬候補がごく初期の試験で最低限の安全性が確認されたと報告された。
「siRNA」というタイプの薬
2023年6月5日に、新たに報告されたのは「STP705」と呼ばれる薬候補についてだ。STP705は、米国と中国に拠点を置く製薬企業シルナオミクス社が開発しているもの。
開発されているのは「siRNA」と呼ばれる種類の薬である。これまでにSTP705は脂肪を減らすことに有望である可能性が示されていた。そこで22年に美容医療での使用のための臨床試験が開始された。
※siRNAは、遺伝子からタンパク質が作られるプロセスを邪魔することで細胞の機能をコントロールする薬。このタイプに属するSTP705は、これまでにがんの一種に対する検証が先に進んでいる。
現在進行中の試験は最初のフェーズで、「タミータック」として知られる腹部脂肪切除の手術を受ける人を対象として、STP705、またはプラセボ(生理食塩水)のいずれかを脂肪に注射する試験になる。
主な試験目的は安全性を確かめること。腫れなど注射した場所の反応と、これらの症状の程度が評価される。観察は約98日間にわたって行われるが、今回、第1段階の試験の中間結果が報告された。
脂肪組織の変化も確認
こうして分かったのは、中間結果としてはSTP705に問題は確認されなかったこと。さらに、注射された組織の分析により、STP705を注射した場合に脂肪組織が変化したことも確認された。今後の試験結果次第では、この薬候補は、手術前に脂肪を減らす効果が期待できる可能性もある。
もっとも薬の臨床試験では、最終的に有効性が確認できない場合や、重い副作用が発見される場合があるが、美容医療の一つのトピックスとして注目してよいかもしれない。
参考文献
Sirnaomics Reports Interim Results of STP705 Phase I Clinical Study for Medical Aesthetics Treatment in Adults Undergoing Abdominoplasty
https://www.prnewswire.com/apac/news-releases/sirnaomics-reports-interim-results-of-stp705-phase-i-clinical-study-for-medical-aesthetics-treatment-in-adults-undergoing-abdominoplasty-301842203.html
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