紫外線によって進む「光老化」に対して、レーザーとマイクロニードルRFでは得意とする改善ポイントが異なることが報告された。
中国の病院などの研究グループが2026年8月に発表した。
紫外線によるシミやシワ、異なる仕組みで改善

シミやUVスポットなど色素の改善に用いられるレーザー治療。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 光老化を異なる仕組みで治療→ ピコ秒レーザーは色素を主な標的とし、マイクロニードルRFは真皮に熱を加えてコラーゲン再構築を促す。
- 51人を対象に比較→ 顔の光老化に対し、22人が755nmピコ秒レーザー、29人がマイクロニードルRFを1回受けた。
- VISIAなどで8項目を評価→ シミ、シワ、毛穴、UVスポット、赤みなどを画像解析し、医師による見た目の評価も行った。
肌の老化には、加齢に伴う体内の変化に加えて、紫外線など外部環境によって進む「光老化」がある。光老化では、シミ、シワ、毛穴の目立ち、肌の質感の乱れ、たるみなどが現れる。例えば、紫外線によって活性酸素が増えると、皮膚のDNA損傷や炎症が起こるほか、コラーゲンなど細胞外マトリックスの分解も進む。
美容医療ではこうした変化に対して、レーザー、光治療、高周波治療などが用いられている。
その一つが、755nmピコ秒アレキサンドライトレーザーに「回折レンズアレイ(DLA)」を組み合わせた治療。回折レンズアレイは、レーザーの光を細かな点状に分けて皮膚へ届けるための特殊なレンズ。非常に短い時間でレーザーを照射し、シミなどの原因となる色素に作用するとともに、皮膚の内部に微細な刺激を与えることで、コラーゲンの再構築を促すと考えられている。
一方、フラクショナルマイクロニードルRFは、細い針を皮膚に刺し、真皮に高周波エネルギーを届ける治療。熱作用などによってコラーゲンやエラスチンの再構築を促すため、毛穴、シワ、肌のゆるみなどへの効果が期待されている。レーザーとは作用する仕組みが異なる。
研究グループは、2024年1月から2026年4月までに中国の病院で、顔の光老化に対する治療を受けた人を後ろ向きに調査した。最終的な分析対象は51人で、22人が755nmピコ秒レーザー、29人がマイクロニードルRFによる治療を1回受けていた。
平均年齢はピコ秒レーザー群で35.5歳、マイクロニードルRF群で36.9歳だった。全体の88%を女性が占め、肌タイプはフィッツパトリック分類のIIIまたはIVが大半だった。
治療の前後では、肌画像解析システム「VISIA」を用い、シミ、シワ、肌の質感、毛穴、UVスポット、茶色いシミ、赤み、ポルフィリンの8項目を評価した。さらに、2人の医師が写真を確認し、シワの程度や顔全体の見た目の改善度についても評価した。追跡期間はおおむね治療後3カ月以内だった。
ピコ秒レーザーはシミ、マイクロニードルRFは毛穴

マイクロニードルRFは、毛穴やシワなどの改善に用いられる治療の一つ。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- ピコ秒レーザーは色素に強み→ シミとUVスポットの改善で、マイクロニードルRFを有意に上回った。
- マイクロニードルRFは毛穴やシワ→ 毛穴の指標が改善し、医師評価でもシワの改善が確認された。
- 重い長期副作用は確認されず→ 赤みや腫れなどは見られたが、強い色素沈着、色素脱失、瘢痕は今回の対象では認められなかった。
分析の結果、ピコ秒レーザーのグループでは茶色いシミと赤みの指標が治療前より有意に改善した。一方、マイクロニードルRF群では毛穴の指標が有意に改善した。
治療前の肌状態や年齢、性別、肌タイプ、追跡期間などの違いを考慮して2つの治療を比較したところ、ピコ秒レーザーは「シミ」と「UVスポット」の改善でマイクロニードルRFを有意に上回った。
研究グループは、755nmピコ秒レーザーが色素に作用する仕組みが、こうした差につながった可能性を指摘している。これに対してマイクロニードルRFはメラニンを直接標的とするものではなく、深部の加熱によるコラーゲンの収縮や再構築が中心となる。そのため、両者では得意とする光老化の症状が異なる可能性がある。
マイクロニードルRF群では、医師が写真を見てシワの程度を評価する「修正版フィッツパトリックシワ尺度」でも、治療前と比べて有意な改善が確認された。ただし、シワの改善度をピコ秒レーザー群と直接比較すると、両群の間に統計学的な差はなかった。また、どちらの治療でも、治療前にシワが目立っていた人ほど改善幅が大きかった。
顔全体を見た医師による評価でも、多くの人で改善が確認された。「改善」または「大きく改善」と評価された人は、ピコ秒レーザー群で68.18%、マイクロニードルRF群で72.41%だった。両群の間に統計学的な差は認められなかった。
一方、注意すべき結果もあった。マイクロニードルRF群では、画像解析装置「VISIA」で測定したシミの指標が、治療前より有意に悪化していた。研究グループは、治療後に一時的な炎症が起きたり、皮膚のバリア機能が乱れたりしたことが影響した可能性を挙げている。ただし、この結果はこれまでの研究と必ずしも一致しておらず、今回の研究だけでマイクロニードルRFがシミを悪化させると結論づけることはできない。
安全性では、両治療とも赤みや腫れ、ヒリヒリ感などが主な反応だった。マイクロニードルRFでは一時的な点状出血も見られたが、多くは短期間で改善した。治療後の強い色素沈着、色素脱失、瘢痕といった重い長期的な副作用は、今回の対象では確認されなかった。
今回の結果からは、シミやUVスポットなど色素の問題ではピコ秒レーザーに強みが見られ、マイクロニードルRFでは毛穴やシワの改善が確認された。こうした特徴を踏まえ、光老化の現れ方に応じて治療を選ぶ考え方が浮かび上がる。
光老化はシミ、シワ、毛穴、赤みなど複数の変化が重なって現れる。何を改善したいのかによって治療法を選び分けることの重要性を示す結果と言えそうだ。
参考文献
Wu X, Qiu H, Chen J, Zhu Y, Xu J, Chen X, Wu Y, Wang F, Zhong P, Lin Q, Li F, Chen J, Chen H, Xu T. Comparison of the efficacy and safety of 755-nm picosecond alexandrite laser with diffractive lens array vs. fractional microneedle radiofrequency for the treatment of facial photoaging: a retrospective study. Front Med. 2026;13:1913396. doi:10.3389/fmed.2026.1913396.
https://www.frontiersin.org/journals/medicine/articles/10.3389/fmed.2026.1913396/full
