物価高で化粧品の買い方が慎重になる中でも、国内のメイクアップ化粧品市場は拡大を続ける見通しだ。美容医療の普及が化粧品のトレンドに影響を与えている可能性がある。
富士経済が2026年8月28日に発表した調査で明らかになった。
スキンケア発想がメイクにも、高機能ベースメイクの需要続く

ベースメイクでは、ファンデーションや化粧下地などにスキンケア効果を備えた高機能商品への需要が続いている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- メイクにもスキンケア発想→ ファンデーションや化粧下地で、美容液やスキンケア効果を打ち出す高機能商品が増えている。
- ベースメイクは自然な肌づくりへ→ 化粧下地では血色感を補うイエロー系が増え、クッションファンデーションではメッシュタイプが伸びている。
- ファンデーション市場は2114億円→ 2026年は前年比1.2%増の見込みで、高価格帯需要が続く一方、値上げでベーシックラインへ移る動きも見られる。
富士経済は今回、メイクアップベース、ファンデーション、フェイスパウダーなどのベースメイク3品目、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、チークカラー、リップカラー、ネイルカラー・ネイルケアのポイントメイク7品目に加え、フレグランス4品目について国内市場を調べた。
メイクアップ化粧品全体のトレンドとしては、スキンケア化粧品の成分やケアの考え方を取り入れる「スキニフィケーション」が広がっている。同社の調査によれば、ファンデーションや化粧下地などでも、「美容液」や「スキンケア効果」を打ち出した商品が増えている。
背景には、肌そのものをきれいに見せたいという意識の高まりがある。美容医療の普及などもあり、メイクで肌悩みを隠すだけでなく、仕上がりの美しさや肌へのケア効果まで重視する傾向が強まっているという。
2026年のベースメイクでは、化粧下地の色にも変化が見られる。2025年まではパープルやブルーなど透明感を演出する寒色系が人気だったが、2026年は自然に肌をカバーしながら血色感を出すイエロー系の商品投入が相次いでいる。
ファンデーションでは、クッションタイプの中でも「メッシュタイプ」が伸びている。従来のスポンジ型よりも乾燥しにくく、メッシュを通してファンデーションを均一に塗りやすい点などが評価されている。2026年には、クッションファンデーションがファンデーション市場全体の2割を占めると見られている。
ファンデーション市場は2026年に2114億円と、2025年比1.2%増の見込み。高価格帯商品の需要は根強い一方、度重なる値上げを背景に、最上位ラインからベーシックラインへ移る動きも一部で見られる。
リップは953億円、プランパーやライナーで「口元をデザイン」
- リップは「多工程化」→ プランパーやリップライナーを組み合わせ、色をのせるだけでなく口元全体をデザインする流れが広がっている。
- 2026年のリップ市場は953億円→ 前年比1.8%増の見込みで、ミニサイズ商品が試し買い需要を取り込んでいる。
- ポイントメイクも高機能化→ チークでも毛穴補正や皮脂吸着、スキンケア成分を備えた商品が増え、肌を美しく見せる役割が強まっている。
ポイントメイクの中で特に伸びているのがリップカラーだ。2026年の国内市場は953億円と、2025年比1.8%増が見込まれている。
背景にあるのが、リップメイクの「多工程化」だ。唇にボリューム感を演出するリッププランパーや、輪郭を整えるリップライナーを組み合わせる人が増え、単に唇へ色をのせるだけでなく、口元全体の形や印象を作るメイクへと変化している。
ただし、リップ市場にも価格面で変化が出ている。2025年ごろから韓国ブランドなどを中心にミニサイズの商品が増え、通常サイズより手頃な価格で試せることから、試し買いの需要を取り込んでいる。一方、ミニサイズの購入者が通常サイズへ移行する動きは進みにくく、平均単価の低下につながる可能性もあるという。今後は複数色の購入を促す商品展開などが課題になりそうだ。
チークカラーも好調だ。2026年の市場は218億円で、2025年比2.3%増の見込み。「多幸感」を意識したメイクが人気となっているほか、毛穴を目立ちにくくする効果や皮脂吸着成分、スキンケア成分などを備えた商品が増えている。チークが単なる色付けではなく、肌を美しく見せるベースメイクに近い役割を持ち始めている。
一方で、ポイントメイクでも、商品単価の下落や複数色購入の減少などから、市場の伸びが鈍化するという予想も示されている。
フレグランス市場は拡大している。2026年は2025年比4.8%増の636億円となる見込みで、今回示された市場の中でも伸びが目立つ。若い世代を中心に、香りを身だしなみだけでなくファッションや自己表現の一つとして捉える人が増え、人とかぶりにくい香りを求めて高価格帯のニッチフレグランスやメゾンフレグランスを選ぶ動きが広がっている。
今後も、スキンケア効果を備えた商品や、複数アイテムを組み合わせる新しいメイクの提案が、市場を支える要素になりそうだ。
参考文献
メイクアップ化粧品とフレグランスの国内市場を調査
https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=26096
