ポイント
- 名古屋市の美容皮膚科しらゆきクリニックという医院が経営破たんし、混乱が続いている
- 施術代を支払っていながら1回も施術を受けられない人など被害者は約1500人とされる
- 脱毛業界の厳しい状況の中、前払い制度のトラブルに巻き込まれないよう注意を表する
名古屋市で美容医療を提供していた医院が2023年12月に破産手続の開始を通知され、現在に至っても混乱が続いている。
医院の名前は「美容皮膚科しらゆきクリニック」といい、名古屋市熱田区の金山駅前で運営されていた。
1回も施術を受けられずクリニック閉鎖
同クリニックは23年12月7日、名古屋地方裁判所から破算手続を開始するとの通知を受け、それを公表した。この通知を受けて、クリニックは予告なく閉鎖となり、多くの通院していた人たちが路頭に迷う事態に陥った。
同クリニックの公式ウェブサイトやSNSの情報はすべて削除され、具体的なクリニックの詳細は不明だが、医療脱毛を中心として施術を提供するクリニックだったと見られる。外部の医院紹介サイトの情報によると、ダーマペンのキャンペーンを展開しているなど、一般的な美容皮膚科で提供されるような施術も手掛けていたことがうかがえる。
破算管財人によるウェブサイトの最終更新日が24年2月7日であり、「1月末になっても裁判所から通知が届かない」という問い合わせに対する回答が掲載されている。破産後の被害者とのコミュニケーションが適切に行われておらず、問題が解決していない状況が読み取れる。
この3月12日には債権者集会が非公開で開催されたが、3月15日のテレビ愛知の報道によると、参加者からの返金を求める声に対して、返金は難しいなどの説明がなされているようだ。施術代だけ支払って、1回も施術を受けられていない人も存在。被害者は約1500人に上り、負債総額も3億3700万円程度に上るという。
美容医療も厳しい状況が始まっている可能性
23年はエステ脱毛や医療脱毛の経営破たんが社会問題になり、医療脱毛では男性専門の医療脱毛クリニックであるウルフクリニックの突然閉鎖が大きく注目された。これは脱毛業界の厳しい状況が背景にあると受け止められた。
そうした中で、今回の美容皮膚科しらゆきクリニックのように医療脱毛を手掛けるクリニックがほかにも破たんに至った。競争が激しくなる中で、選ばれるクリニックと選ばれないクリニックの選別が進む可能性がある。エステ脱毛のように破たんするところが出ないともいえない。
脱毛業界の突然の破たんでは、返金や施術を受けられないトラブルが表面化した。前払い制度が要因の一つになっており、施術を検討するときには前払いには慎重になる必要があるかもしれない。都度払い制度を整えるクリニックが出てきており、今後施術の受け方の流れも変わってくる可能性もある。