2023年度はエステサロンの倒産が美容領域では特に大きな問題として注目されたが、エステサロンの倒産が急増している実態があるようだ。調査会社である東京商工リサーチが23年度の最新の倒産件数の最新データを報告している。倒産件数は急増したという。
コロナ後の変化とエステ業界の現状
ヒフコNEWSも伝えているが、2023年12月の脱毛エステ「銀座カラー」の運営会社倒産は衝撃的だった。全国に47店舗を展開し、10万人を超える利用者が倒産により施術を受けられなくなり、返金も受けられない状況に陥った。
エステ同業や美容医療のクリニックまでが銀座カラー閉店の被害者を救済する動きが出てくるほどだった。
東京商工リサーチによると、23年度のエステサロンの倒産は前年度から1.7倍の95件となり、19年度の76件を上回り過去20年間で最多となった。
このような銀座カラーの状況は、他のエステサロンでも共通していたようだ。コロナ禍で影響を受けた店舗は公的な支援を受けられていたが、それが終了し、利用者が戻ってくると思いきや、意外と利用者の数がコロナ禍前のように回復しなかったようだ。
同社によれば、コロナ禍中に自宅でのセルフエステに目を向けるようになり、その傾向が続いているとの分析がある。いわゆる「おうち美容」の広がりが、エステに暗い影を落としている。結果として、23年度、特に脱毛や痩身を目的としたサロンの倒産が増えて、多くのサロンが苦境に陥ったという。倒産の原因のほとんどは「販売不振」によるもの。
エステ倒産は規模によらず発生し、「変化した美容に対する価値観や行動パターンが、エステ業界に大きな影響を与えている」と東京商工リサーチは分析している。
エステ業界への影響と将来への展望
エステサロンは競争が激しくなり、宣伝や採用のためのコストがかかり、施術の低価格化も進み、利益を出しにくい状況になっていた。そうした中で、前払い金でやりくりしていたが、利用者が減少したことで行き詰まった。前払いしたお金は返金に回せない状況で、このビジネスモデルも問題視されている。
美容医療でも脱毛のクリニックの倒産が報告されている。コロナ禍に続いて起きた状況は、エステも美容医療も共通していると考えられるので、美容医療の利用でも運営がどのようになっているのか気を付けておくと良いかもしれない。