ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

酒さの治療、メトロニダゾールとミノサイクリンとの併用効果とは?

カレンダー2023.4.11 フォルダー最新研究

ポイント

  • 酒さは、顔の赤み、腫れ、吹き出物などを引き起こし、顔ダニも原因とされる
  • 抗生物質が顔ダニの減少や再発防止に日本でも使われることがある
  • メトロニダゾールとミノサイクリンの併用がミノサイクリン単独よりも症状や再発を抑えた
酒さの症状は顔の赤みや腫れなど。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 酒さはいわゆる赤ら顔で、顔の中心部に赤みが続く症状を言う。腫れたり、吹き出物が出たりしてなかなか治らないことが問題になる。その原因はよく分かっていない部分も多いが、原因の一つとして顔ダニの影響が知られている。このためメトロニダゾールなどの寄生虫に効果を持つ薬が使われることがある。今回、メトロニダゾール(商品名フラジールなど)とミノサイクリン(商品名ミノサイクリン、ミノマイシンなど)という2つの薬を組み合わせたときの効果が確かめられている。

酒さに対するメトロニダゾールを加える効果とは?

酒さの症状は顔の赤みや腫れなど。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

酒さの症状は顔の赤みや腫れなど。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 酒さは、顔の中心部に赤み、腫れ、吹き出物などを生じる皮膚の病気。日光やストレス、顔に寄生する小さな顔ダニなど、さまざまな要因で引き起こされる。ニキビができやすく、肌荒れも続くので、不快な症状に悩まされている人は日本国内でも少なくない。

 日本国内でも医療機関で、酒さに対する薬を使った治療がよく行われている。その代表的なものが、テトラサイクリンやミノサイクリンなどの抗生物質を使った治療だ。しかし、これらの治療は一般的であるものの再発することも少なくない。それに対して寄生虫に効果を持つメトロニダゾールという飲み薬を使うと、顔ダニを減らし再発を予防する効果が考えられている。

今回、韓国の蔚山大学を中心とした研究グループは、メトロニダゾールとミノサイクリンを併用することで、安全でありながら酒さの症状や再発を抑えることができるかどうかを調査した。この研究成果は、2022年12月に皮膚科の医学誌であるアナルズ・オブ・ダーマトロジーに掲載された。

併用により皮膚の赤みと炎症の改善が早い

酒さの治療。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

酒さの治療。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 こうして分かったのは、ミノサイクリンとメトロニダゾールを併用した人は、ミノサイクリンのみを飲んだ人と比べて、皮膚の赤みと炎症の改善が早いことだ。また、併用療法を受けた人の約半数が24週間以内に症状の再発を認めず、これはミノサイクリン経口剤のみを投与された人よりも良好だった。

 論文の要点は以上の通り。前述の通り、国内の皮膚科でも一般的に行われる治療でもあるので、今回の韓国での研究結果は参考になりそうだ。

参考文献

Kim JS, Seo BH, Cha DR, Suh HS, Choi YS. Maintenance of Remission after Oral Metronidazole Add-on Therapy in Rosacea Treatment: A Retrospective, Comparative Study. Ann Dermatol. 2022 Dec;34(6):451-460. doi: 10.5021/ad.22.093. PMID: 36478427; PMCID: PMC9763916.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36478427/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。