さまざまな領域で人工知能(AI)の導入が進んでいるが、美容皮膚科の分野も例外ではない。
特にフィラー注入の分野で、AIが治療の精度を向上させ、施術を受ける本人の満足度を高める可能性がある。2024年7月に美容皮膚科の専門医学誌でAIのメリットが報告されている。
AI+フィラー治療が現実に
美容目的で広く行われるフィラー注入は、効果を最大限に引き出しながら安全性も確保することが欠かせない。そのため顔の輪郭を正しく評価し、適切な注入部位を特定し、フィラーの量も最適にする必要がある。これらを医師の知識と経験によってこなす必要があるものの、精度を高めるためにはまだまだ改善の余地があると見られている。
そこでフィラー治療でのAIの活用が期待されている。例えば、「ARTAS」と呼ばれるシステムでは、ロボット注射器により高精度な注射を可能にする。AIを使用したソフトウェアが顔の3Dスキャンを分析し、フィラー治療の効果が期待できる部位を特定する詳しい「マップ」を作り出す。これにより医師が最適な注入部位と注入量を計画し、画像で見ながら治療が可能となる。
施術前に結果をシミュレーションするための技術として、「ModiFace」や「Revieve AI」と呼ばれるシステムも登場している。治療後の状態をプレビューし、顔の分析に基づいて最適な注入部位を示すことで、より正確な治療を実現する。これにより医師と施術を受ける本人とのコミュニケーションをスムーズにし、本人の施術による満足度を高める。
リアルタイムに注入部位を指示
このようにAIは、顔の特徴を正確に分析して最適な注入部位や予想される結果を見えるようにして、フィラーの結果の改善につながることが考えられている。顔の造りや肌のタイプ、本人の希望などを考慮した個別の治療計画を作成することも可能にする。
また、AI技術はフィラー注入中にリアルタイムにガイダンスを提供することが可能だ。ライブのビデオにデジタルのマーカーを重ね、正確な注入部位や深さを示す。医師がより高い精度と自信を持って注入できるようになる。これにより治療効果を高め、合併症のリスクを減らす。
ヒフコNEWSではこれまでもにも、AIがロボットに搭載され注射がより的確になるという米国形成外科学会の予想を紹介している。AIは多くの面で注目されているが、美容医療の分野でもその活用が広がると予想される。