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女性型脱毛症にi-PRF+注射が効果示す、髪のボリューム改善、美容医療系の医学誌で発表、英国ロンドン大学の研究グループが報告

カレンダー2024.7.28 フォルダー最新研究
専用の機器でi-PRF+を肌に注入する。(出典/J Cosmet Laser Ther. 2024 Jul 11:1-9. doi: 10.1080/14764172.2024.2374858. Epub ahead of print.)

専用の機器でi-PRF+を肌に注入する。(出典/J Cosmet Laser Ther. 2024 Jul 11:1-9. doi: 10.1080/14764172.2024.2374858. Epub ahead of print.)

 自分の血液を利用して頭皮に注射する治療である血小板リッチフィブリン注射(i-PRF+)が、女性型脱毛症(FPHL)に効果的であることが示された。

 英国ロンドン大学の研究グループが2024年7月に美容医療系の医学誌で報告している。

女性型脱毛症に「多血小板フィブリン」

自分自身の血液から多血小板フィブリンを抽出する。(出典/J Cosmet Laser Ther. 2024 Jul 11:1-9. doi: 10.1080/14764172.2024.2374858. Epub ahead of print.)

自分自身の血液から多血小板フィブリンを抽出する。(出典/J Cosmet Laser Ther. 2024 Jul 11:1-9. doi: 10.1080/14764172.2024.2374858. Epub ahead of print.)

 今回の論文によると、女性型脱毛症は、成人女性の40%が70歳までに経験する最も一般的な脱毛症。その特徴は、前頭部と頭頂部の髪の密度が徐々に減っていくもの。従来、ミノキシジルと呼ばれる塗り薬やスピロノラクトンという飲み薬が使用されているが、効果には限界があり、副作用や費用が治療を受ける本人の負担となることがあった。

 新たな治療法としてi-PRF+が注目されている。i-PRF+は、自分自身の血液を遠心分離器で分離し、赤血球などを除いたもの。美容医療で使われる多血小板血漿(PRP)と名前が似ているが、研究グループでは、血液が固まりにくくなる抗凝固剤を使用しない点が異なると説明している。

 これを頭皮に注射することで、髪の再生を促す治療となる。

 研究では、11人の健康な女性(平均年齢45.1歳)を対象に、i-PRF+を用いた治療が行われた。3回のi-PRF+が実施され、セッション後の3カ月と6ヶ月で毛髪の量や抜け毛の程度、自己申告による全体のボリュームについての評価が行われた。

毛髪のボリュームが向上したと実感

治療開始、治療開始から12週間(3回の注射から1カ月後)、24週間。徐々に毛髪が増えている。(出典/J Cosmet Laser Ther. 2024 Jul 11:1-9. doi: 10.1080/14764172.2024.2374858. Epub ahead of print.)

治療開始、治療開始から12週間(3回の注射から1カ月後)、24週間。徐々に毛髪が増えている。(出典/J Cosmet Laser Ther. 2024 Jul 11:1-9. doi: 10.1080/14764172.2024.2374858. Epub ahead of print.)

 結果として、毛髪の量が増えて、髪のボリュームが実感できることが確認された。

 具体的には、デジタル顕微鏡を用いた分析で、治療前と比較して毛髪を含む毛穴の数が増えていた。さらに、髪の抜け毛が減り、治療を受けた本人の自己申告によって髪のボリュームと厚みの向上が確認された。

 安全性に関しては、全ての参加者が注射時に一時的な痛みを経験したが、これは平均的な痛みで耐えられるものであった。その他の軽い副作用として、治療後の頭痛や軽い腫れが見られたが、いずれも数日以内に解消した。

 女性の脱毛症も一般的で、その解決方法も発達している。今回のi-PRF+治療は、薬と比べて新たな選択肢になる可能性がある。自分自身の血液を使用するため、拒絶反応が少ないなど安全面でも有利であると考えられる。今後、さらに研究が必要であるものの、脱毛症の治療は発展していく可能性が高い。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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