美容医療でも薄毛治療が盛んに行われているが、そうした治療が実際に効いているのか、効果が目に見えるようになれば理想的だろう。
そうした中で、発毛に使用されている薬であるミノキシジルが発毛を促した痕跡が毛髪の内部に残っていることが明らかになった。発毛の痕跡が目に見えるようになったのは世界で初めてだという。
大正製薬が2024年8月8日に報告している。
発毛効果の「見える化」を実現
ヒフコNEWSでも伝えている通り、抜け毛は、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)などにより起こり、男女ともに共通の問題になっている。そうした脱毛症の治療の代表的な薬にミノキシジルがある。これは血圧を低下させる薬と同じ種類の薬で、血管を広げる作用があることから、それを発毛に応用したものとなる。
今回、研究を報告した大正製薬は、これまでにミノキシジルが毛細血管の数を増やすことによって、発毛を促すメカニズムを報告している。今回、研究グループは、毛髪は毛母細胞から作られるため、毛髪内部に発毛の痕跡が残っている可能性を想定した。
そこでAGAの男性を対象として1日2回5%ミノキシジルを使ってもらった上で、ミノキシジルが使用された前後の髪の変化を最先端の分析技術を用いて研究した。この技術により髪の内部の約6万5000のデータを取得。発毛に寄与する要素がどのように変動したかを解析した。
BMP7など毛髪を成長させた証拠
結果として、ミノコシジルが効果を発揮した証拠が確認された。
具体的にはミノキシジル使用前後の髪を比較することで、毛髪内部でBMP7といった発毛に関与するタンパク質の量が変動していることが確認された。この変動は、ミノキシジルが毛髪の成長を促進した証拠として捉えられ、ミノキシジルの効果を「見える化」することに成功したといえる。研究グループは、BMP7などを変動させることで、薄毛改善効果を発揮する可能性があると説明している。
ミノキシジルの作用メカニズムを明確にすることで、より有効で安全性の高い治療が可能になる。美容皮膚科においても一般的に使われる薬の一つであり、より良い美容医療にもつながる研究成果となる。