ポーラ化成工業と美容医療関連のクリニックであるALOOP CLINIC&LAB(東京都中央区)の共同研究により、美容医療施術と特定の製剤を併用することで、肌の美容効果が向上することが明らかにされた。
この研究では、2つの有効成分を使用し、それぞれの役割を最大限に引き出すことで、メラニン生成の抑制や皮膚弾力性の改善が実現された。
メラニン抑制効果や皮膚弾力性を強化
今回、研究グループは2つの研究を行っている。
一つは、製剤とレーザートーニング施術の組み合わせにより、メラニン生成の抑制効果を強化することを示した研究。
※レーザートーニングとは、弱いレーザーを均一に照射することで、メラニン色素を少しずつ壊して肌の色素を薄くしていく施術のこと。
48人の被験者を対象に、レーザートーニング施術単独群と、朝晩製剤を使用する複合ケア群で比較した結果、複合ケア群ではメラニン量の減少がより顕著に減少し、早期に効果が現れることが確認された。
この研究結果は、製剤の作用とレーザートーニング施術によるメラニン破壊作用の相乗効果が見られ、より効果的なシミや肝斑ケアが可能であることを示した。
さらに、別の製剤とHIFU(高密度焦点式超音波)施術の併用により、皮膚の弾力性改善効果が大幅に向上することが確認された。以前、シワの改善について研究を報告しているが、今回は皮膚の弾力性に注目した研究が行われた。
23人の被験者に対し、HIFU施術後、片方の顔にプラセボ製剤を、もう片方には製剤を塗布する試験を行った。その結果、製剤を使用した側が、皮膚弾力性が顕著に改善され、頬の引き上がりやボリュームアップが確認された。
これは、製剤が皮膚を支える支持組織の分解を抑制することで、HIFU施術によるコラーゲン新生を促進したためと説明されている。
※使われた製剤はメラニン抑制では、4-n-ブチルレゾルシノール(商品名ルシノール)、皮膚を支える組織の保護では、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム(同ニールワン)
相乗効果に注目されるドクターズコスメ
美容医療市場の拡大とともに、ドクターズコスメの注目が急速に高まっている。
矢野経済研究所の調査によれば、日本の美容医療市場は2023年に5940億円に達し、前年比108.8%の成長を遂げた。この急成長の背景として、オンライン診療の普及や、SNSを活用したマーケティング、そしてドクターズコスメの市場拡大が挙げられる。
消費者は美容医療施術だけでなく、自宅でのケアにも高い関心を寄せており、これが市場のさらなる拡大を支えている。
今回の研究で明らかになった製剤も、こうしたドクターズコスメの一環として位置づけられ、医療機関での施術後のケアとして有効性が確認されたことになる。美容医療施術との相乗効果は、ドクターズコスメが持つ潜在的な価値を再確認させるものだ。
美容医療市場の成長に伴い、ドクターズコスメが消費者にとってより身近な存在となる可能性がある。