フィリピンとタイで、違法な美容医療行為が相次いで摘発された。
2024年8月、フィリピン国家捜査局(NBI)がタイ国籍を持つ女を逮捕。一方でタイ中央捜査局(CIB)も8月に国内で5人の容疑者を同時期に逮捕した。
東南アジアで違法な美容医療が摘発されるケースは以前から報告されており、この地域の国で運営されている美容医療の安全には十分する必要がある。
無資格で注射による施術
フィリピンでは、8月27日にNBIによるタイ国籍の女の逮捕が発表された。
この人物はマニラ市マラテ地区にある「GMEDウェルネス・ビューティーセンター」という施設で、フィリピン国内の医療資格を持たずに、鼻を高くするフィラー注射やボツリヌス療法、脂肪溶解注射などの施術を提供していた。
摘発はNBIによるおとり捜査により行われ、腕に対するボツリヌス療法の施術を予約した上で、逮捕に至ったという。違法行為の証拠となる医療器具も押収された。
同じ8月、タイ国内でも同様の取り締まりが行われ、同国中央捜査局(CIB)は14日から22日にかけて5人の容疑者を逮捕した。容疑者は美容クリニックや美容関連施設で未承認の製剤を使用し、無資格でビタミン点滴や美容注射などを行っていた。
4人はバンコクの南に位置するラヨン県、1人は同国の島であるブーケット県でそれぞれ摘発され、総額28万バーツ(日本円で120万円)相当の違法な製剤や医療器具が押収された。
違法な美容施術は世界的に問題
東南アジアでは、無資格での美容施術はこれまでも摘発が続いていた。最近でも、24年7月には、タイ警察中央捜査局が6人の偽医師を逮捕。29種類の医薬品や医療機器を押収した。
24年8月にはタイで本来塗るための化粧品として登録されていた製剤が、美容クリニックで注射薬として使用されていた。警察は製造者を摘発し、2500万バーツ(日本円で1億円以上)相当の製品を押収した。
今回の摘発を受けて、フィリピンとタイの当局は、違法な美容医療行為に対して厳格な取り締まりを続ける意向を示している。
無資格者による美容医療は、東南アジアだけではなく、米国でも問題になっている。メドスパ、あるいはメディカルスパと呼ばれる施設で、無資格者による美容医療が横行していることが問題になっている。このほか関連した問題として、偽造のボツリヌス製剤が健康被害を出し、7月に報告された。
日本国内でも無資格の美容医療を行った外国籍の人物が逮捕されるケースも少なくない。偽造製剤についても日本で発見された。非外科的治療が手軽に実施できることで人気が高まる中で、偽医師や偽造製剤の存在は世界的な問題になりつつあり注意が必要だ。