美容医療機関を展開する湘南美容クリニックと関連する、医療機関の経営支援企業であるSBCメディカル・グループ・ホールディングス(以下、SBC)が2024年9月18日に、米国ナスダック上場承認を取得し、取引が開始された。
上場直後の株価は一時的に下落している。
世界的に美容医療の規制が強化される傾向があり、市場環境に影響を与える可能性が考えられる。
売上高と利益が大幅に拡大
SBCは23年2月に、ナスダックに上場する特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて、ナスダックに上場する方針を発表した。SPACとの合併を通じた上場は、スムーズに株式上場する手段として一般的な方法だ。
SBCの発表によると、上場の目的は、グローバルブランドとしての認知度を高めて国際展開をすること、資金調達手段の多様化によって新規クリニックの開設などを進めること、他の企業との連携を進めやすくすることなどがある。
SBCは国内外で展開されているクリニックの経営支援を事業としている。同グループによると、国内外220院を対象とし、不動産や店舗の内装、スタッフ採用や教育研修、マーケティングなどのバックオフィス機能や各種サポート業務を提供し、コンサルティング手数料を得ている。医療脱毛を手掛けるリゼクリニックとゴリラクリニックを除くと166院が対象になるという。
直近の公開資料によると、同グループの売上高、利益ともに大幅に増加した。売上高は、24年6月30日までの6カ月間で、前年同期比29%増の1億791万ドル(1ドル143円とした場合、日本円で約154億円、以下同)。同期間の営業利益は94%増の5175万ドル(同約74億円)となっている。同期間の販売費および一般管理費が3343万ドル(同47億円)から2718万ドル(同約38億円)に削減されるなど、コスト削減や事業拡大が寄与している。
世界で安全で品質の高い医療が求められる
上場直後の株価は一時的に半値近くまで下落している。
ナスダックでの取引開始前日までの株価は終値で11ドルだったが、18日の取引開始時は14%低い9.50ドルを付け、その後、同日の終値は前日終値より30%低い7.66ドル。その後連日株価は下落傾向にあり、20日の終値は17日の終値の半値に当たる5.5445ドルとなっている。
株価を決める要因はさまざまで、一つに絞ることは難しいが、株価の推移から、投資家がSBCの事業に対して慎重な姿勢を示している可能性があると考えられる。
慎重な見方が生じる背景はいくつか想定されるが、美容医療の規制が世界的に厳しくなっていることは一つに考えられる。ヒフコNEWSで伝えているように、欧米、中南米、豪、アジアの全域で美容医療に関連した事故やトラブルが報じられ、社会問題として認識されている。日本国内でも美容医療のトラブルが問題になっており、厚生労働省が検討会を開いている。現状では、美容医療の事業としての展開を考えたときに、安全を最優先にすることが重要になっており、美容医療業界では、安全性を最優先に考慮した慎重な事業展開が求められている。
世界的に美容医療の規制が強化される傾向があり、市場環境に影響を与える可能性がある。