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トイトイトイクリニック、ウルフやアリシアとの違い、この破たんは転機か、競争激化やコスト増加の荒波が医療脱毛にも押し寄せる、予想の難しかった営業停止である可能性【編集長コラム】

脱毛サロンの倒産。過去最多を更新。(出典/東京商工リサーチ)

脱毛サロンの倒産。過去最多を更新。(出典/東京商工リサーチ)

 医療脱毛トイトイトイクリニックの営業停止が2月1日に報じられたが、これは24年12月にアリシアクリニックが経営破たんした時と事情が異なるようにも見える。

 今後も起こる可能性がある突然のサロン倒産の被害を避けるためにも、今回はその違いについて考える。

エステ脱毛と医療脱毛に共通する厳しい状況

2024年12月10日、アリシアクリニックは破産手続開始決定を受けたと発表した。(写真/編集部)

2024年12月10日、アリシアクリニックは破産手続開始決定を受けたと発表した。(写真/編集部)

 トイトイトイクリニックは、都内の新宿、池袋、原宿で医療脱毛を手掛けていた医院で、小規模なグループで運営されていた。詳細は分からないが、営業停止に至った背景には利益が出なくなったことがあるとされる。エステ脱毛や医療脱毛のサロンやクリニックが増加する中で、競争が激しくなり、人手不足になる中で採用費や賃貸費用、広告費などが上昇していた。他のエステ脱毛の倒産時も、このような状態で利益が出ずに破たんに至っていた。

 さらによく言われるように、脱毛希望者にはコース料金で契約してもらい、コース料金を前受金で受け取ることが一般に行われている。この前受金はあくまで預かったお金ではあるものの、競争が激しくなる中で、広告費などに費やされてしまい、倒産した場合には既に返金するためのお金も残されていないというのが共通した状況となっていた。

 このような状況については、2月に営業停止が報じられたトイトイトイクリニックも、12月に経営破たんしたアリシアクリニックも同じだと見られている。エステ脱毛の大型倒産が22年くらいから続いており、それらも状況は同じようなものだった。

 ヒフコNEWSで何度も伝えているが、複数回の脱毛を割安だからといってコース契約するのは、このご時世では注意した方がよいのではないかと思える。万が一、そのサロンやクリニックが経営破たんした場合には、施術を受けられなくなるばかりか、支払った前受金を返してもらえなくなる恐れもあるからだ。

ウルフやアリシアとの違い

安すぎて怪しい?と不安に応えようとしていたが閉院の事態に陥った。出典/ウルフクリニックホームページ

安すぎて怪しい?と不安に応えようとしていたが閉院の事態に陥った。出典/ウルフクリニックホームページ

 もう一つ、気になるのは、アリシアクリニックの時と、今回のトイトイトイクリニックの置かれた状況がやや異なることだ。

 12月にアリシアクリニックが経営破たんしたときには、9万人を超える被害者が出た可能性があるとして、全国的な注目を集めたが、この倒産の予想が本当に難しかったのかといえば、心配される部分があった。アリシアクリニックは全国に40施設以上も展開しており、大手の一角として認識されていた。一方で、アリシアクリニックは、23年12月に経営破たんした銀座カラーの系列であるとされていた。本部の所在地が同じビルであったり、創業者一族が双方に関わっていたりするなどの共通点が指摘されていたからだ。銀座カラーが倒産した影響はアリシアクリニックには及ばないとされていたが、もしかすると経営に悪影響が及ぶことを予想することはできる。そのリスクを考えてアリシアクリニックから距離を置く判断も可能だった。

 同じ医療脱毛では、23年にウルフクリニックという男性専門の医療脱毛クリニックが破たんしたことがあり、この時も混乱が生じたが、このクリニックを実質的に経営していたのは株式会社だった。この企業については、SNSで経営の実態についての悪評が流されるような状況もあった。

 これまで医療脱毛はつぶれる心配がないというイメージがあった中で、ウルフクリニックやアリシアクリニックが経営破たんしたのだが、いずれにしても経営の状況について心配のタネがあったのではないかと見える。

 一方で、トイトイトイクリニックは、他の経営が破たんしたエステやクリニックなどの系列ではないと見られ、医療法人社団が経営するクリニックでもあり、特にその経営の体制についての心配の声が目立っていたわけではなかったとうかがえる。そうした状況での経営破たんは予想しづらいのではないかと考える。

 このトイトイトイクリニックの倒産は一つの転機になった可能性があると考えている。エステ脱毛ばかりではなく、医療脱毛も厳しい競争の荒波にもまれ、決して安泰ではない状況になっている可能性がある。脱毛を検討している人は一層慎重に施術を受ける場所を選ぶのが賢明ではないだろうか。

参考文献

トイトイトイクリニック、営業停止で救済の動き、複数の施設が提案、一部のクリニックが都度支払いや施術の割引のプラン、過去のエステ脱毛大型倒産時と状況は変化
https://biyouhifuko.com/news/japan/11149/

脱毛業界が正念場、エステ脱毛が医療脱毛を支援、業界団体が協力要請、ミュゼプラチナムがアリシア会員救済の動き、一方でミュゼには給料遅配の報告【編集長コラム】
https://biyouhifuko.com/news/column/10479/

男性専門医療脱毛「ウルフクリニック」経営関与の会社TBIが破産開始決定
https://biyouhifuko.com/news/japan/3289/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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