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自由診療の再生医療はどこへ向かうのか、エビデンスなき時代は終わり?「YOKOHAMA宣言」のインパクトと科学的評価の本格化、第68回日本形成外科学会総会・学術集会【編集長コラム】

カレンダー2025.4.19 フォルダー連載・コラム

 今年3月、日本再生医療学会は自由診療で行われる未承認の再生医療を「検証型診療」と「無検証診療」に区分する「YOKOHAMA宣言2025」を公表した。学会の宣言は法律ではないものの、自由診療を含む再生医療に「エビデンスの有無」という物差しが持ち込まれることが増えそうだ。

再生医療の評価が本格化

 2025年4月18日、第68回日本形成外科学会総会・学術集会では「すでに患者に届いている再生医療の課題と未来」をテーマに、次の5つのケースが報告されていた。

  • 糖尿病性足潰瘍に対する脂肪幹細胞による治療(琉球大学)
  • 皮膚がん切除後の顔の皮膚欠損に対する脂肪パッチによる再建(東京医科大学)
  • 乳がん後の乳房再建のための脂肪幹細胞を含む脂肪移植(Lala ブレスト・リコンストラクション・クリニック横浜)
  • 白斑に対する自家培養表皮移植(名古屋市立大学)
  • 慢性難治性皮膚潰瘍に対するPRP(多血小板血漿)療法(関西医科大学)

 いずれの講演でも、安全性や有効性の検証プロセスが詳しく解説されていた。

 日本国内では再生医療が国の承認を受けなくても、実施することが可能となっているが、本来であれば、それらの治療が本当に安全なのか、また有効なのかを確かめることは重要だ。

 一方で、国内では、自由診療として行われている再生医療には科学的根拠が乏しいとの指摘や、関連する事故・トラブルが問題となっている。

 そうした中で冒頭の通り、日本再生医療学会が宣言を出した。その分類は次の通りだ。

日本再生医療学会「YOKOHAMA宣言2025」では、自由診療の再生医療を「検証型診療」と「無検証診療」に分類。(出典/日本再生医療学会)

日本再生医療学会「YOKOHAMA宣言2025」では、自由診療の再生医療を「検証型診療」と「無検証診療」に分類。(出典/日本再生医療学会)

 今回の学会で発表された5つの再生医療については、日本再生医療学会が示した表に基づいて考えると、「第三者疾患レジストリ」と呼ばれる仕組みが未整備であるところを除けば、おおむね条件を満たしているのではないだろうか。

 今後は自由診療として行われる再生医療全般も、YOKOHAMA宣言を機に科学的評価が求められる方向へ進むと見られる。「無検証診療」と認定されたものは抑制される可能性が高い。

自由診療の質向上に向けた動き

第68回日本形成外科学会総会・学術集会。(写真/編集部)

第68回日本形成外科学会総会・学術集会。(写真/編集部)

 日本国内では、幹細胞培養上清、エクソソーム、間葉系幹細胞を使った塗布や点滴などによる施術が自由診療として行われている。それらの安全性や有効性を明確にすることは、高額な費用を支払って施術を受ける人々にとって重要だ。

 今回、最後に壇上に立った順天堂大学形成外科教授の田中里佳氏は、2027年に第26回日本再生医療学会総会の会長を務めることが決まっている。田中氏は自身も「単核球」という細胞による血管再生の再生医療に取り組んでいる。その中では自由診療としての応用も検討する。田中氏は、美容医療と密接な関係のある形成外科と再生医療の両方の視点から、自由診療として行われる再生医療の評価をどう行うかという部分で中心的な役割を果たせる立場にある。田中氏が総会の会長を務める今後2年間くらいで、検証型診療における自由診療の形も定まっていく可能性がある。

 いずれにせよ、YOKOHAMA宣言を大きなきっかけとして、自由診療とエビデンスの有無は大きなテーマになってくるだろう。

参考文献

日本再生医療学会が「検証型診療」と「無検証診療」を宣言、“無検証”抑制の方向示す、「YOKOHAMA宣言2025」を発表、自由診療での再生医療に影響の可能性
https://biyouhifuko.com/news/japan/11855/

「乳歯歯髄幹細胞培養上清」「MSC-QQC細胞」応用広がる、第111回日本美容外科学会(JSAS)
https://biyouhifuko.com/news/japan/1408/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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