
都内で開催された第48回日本美容外科学会総会・第154回学術集会。(写真/編集部)
2025年9月25日、26日の2日間にわたって都内で第48回日本美容外科学会総会・第154回学術集会(JSAPS)が開催された。今年の学会では、美容外科のテーマに加え、機器治療やレーザー治療、フィラーなども含めた幅広い分野のシンポジウムの充実が印象的だった。総合的なアプローチが求められる美容医療を象徴しているようにも感じられた。
アジア人の鼻や骨格に合わせた国際学会も

第48回日本美容外科学会総会・第154回学術集会のポスター。(写真/JSAPS)
- 学会長 → 帝京大学の小室裕造教授が会長を務め、専門家同士の情報交換の場づくりを重視。
- シンポジウムの拡充 → 「上眼瞼」「中顔面」「毛髪医療」など10テーマが開催され、過去3年に比べて倍増。専門性を深く掘り下げた発表が増加。
- 国際連携 → 同会場でアジアの鼻手術に関連した学会も併催され、日本の美容外科医にとって国際的な学びと技術向上の機会となった。
学会には、1080人の美容医療関係者が参加した。ここにさらに招待者も加わる。会長を務めたのは帝京大学医学部形成・口腔顎顔面外科学講座教授の小室裕造氏。1月にヒフコNEWSで公開したインタビューに小室氏は、学会の目標として専門家同士が十分に情報交換できる場を作ることポイントとして挙げていた。領域が細分化され、一口に美容医療といっても専門が分かれる流れがある。同じ情報交換をするにしても、講演ごとの専門性を高めて深掘りした話し合いをすることの価値が高まっているということだろう。
そうした中で、今年の学会では、10のシンポジウムが開かれ、「上眼瞼」「中顔面の顔面輪郭形成」「医療機器の複合的アプローチ」「下眼瞼」「シミのレーザー治療」「乳房」「切開リフトとスレッドリフト」「クマと頬に対する注入治療」「毛髪医療」「鼻の形」と、幅広いテーマで専門の医師が多数登壇。小室氏が述べていた通り専門性の幅広さを感じられるプログラム構成であるように見えた。
最近3年間の日本美容外科学会(JSAPS)の学会と比較すると、シンポジウムの数が倍増していることが分かった。 学会には「パネルディスカッション」や「教育講演」などさまざまな形式がある。パネルディスカッションは参加者同士の議論に時間を割く形式であり、教育講演は1人の講師が一貫して話を進める形式となる。これに対し、シンポジウムは複数の講演者が登壇し、比較的長めの持ち時間を確保できるのが特徴といえる。その結果、講演者が自身の課題や技術についてより深く掘り下げて話すことができ、技術や治療の背景、実際の臨床経験に踏み込んだ発表が増えていたように見えた。
さらに、9月26~27日には、鼻の手術をテーマにした国際学会「Rhinoplasty Society of Asia 2025」も同会場で開催されており、アジア人ならではの鼻の形や骨格にこだわったカスタマイズ治療を議論する機会も、特に27日を中心に設けられた。海外からの参加者も多く、日本の美容外科医の鼻の手術のレベルを高める上で重要な機会を提供していた。
美容皮膚科医も多数登壇
- 美容皮膚科の参加増 → シンポジウムに皮膚科専門医が多数登壇し、これまで以上に美容皮膚科との融合が進んだ。
- 協賛講演の拡充 → ランチョンやイブニングセミナーが14から17に増加し、テーマの広がりを後押し。
- 学会の意義 → 美容外科と美容皮膚科の専門性を組み合わせ、安全性と仕上がりを高める発展の場として期待される。
広い専門性をカバーしたところから、シミのレーザー治療、医療機器の複合アプローチ、スレッドリフト、注入治療といった、美容皮膚科とも重なり合う分野の講演のシンポジウムが人気を集めていたのは特徴的だろう。
学会と企業が共催するランチョンセミナーなどでは、美容外科の学会でも皮膚科医が登壇する場面はこれまでも見られた。しかし、今回はシンポジウムをはじめとした通常の講演で、美容皮膚科の分野に取り組む皮膚科専門医が多数参加しており、これまでとは少し異なる雰囲気を感じさせた。来年の第114回日本美容外科学会JSASで学会長を務める今泉明子氏(今泉スキンクリニック院長・東京都港区)や、ヒフコNEWSでインタビューに登場している竹井賢二郎氏(天神竹井皮膚科 美容皮膚科院長・福岡市中央区)といった顔ぶれも見られた。シンポジウムのテーマが幅広に設定されたことが、その背景にあったのかもしれない。
ランチョンセミナー、アフタヌーンセミナー、イブニングセミナーといった協賛講演も、昨年の14から17に増えており、講演のカバーするテーマの広がりにつながっていたように思う。
美容医療は、美容外科や美容皮膚科などの幅広い専門性を駆使して、より良い仕上がり、高い安全性を確保することが重要になってきている。
今回のような学会を通して、美容医療がより良く発展していくことが望まれる。
