
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)
厚生労働省が2025年8月に出した美容医療に関する通知について、これまで連載形式で紹介してきた。
今回は最終回として、警察への相談や告発を含む「違法行為への対応」などに焦点を当てる。
違法行為は警察への相談や告発を求める

警察。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 警察への対応 → 違法行為が確認された場合、行政指導にとどまらず、刑事事件としての対応を視野に入れるよう求めている。
- 無資格施術への対応 → エステなどで無資格者が医療行為を行った場合、医師法第17条違反として刑罰の対象になる。警察への告発・刑事手続きへの移行を求めている。
- 診療所の無届開設 → 臨床研修修了医師・歯科医師が診療所開設届を提出せず医業を行うケースに注意を促し、医療法第25条第2項に基づく立入検査を指導。
通知では、警察の対応についても触れている。美容医療の違法行為がある場合には、単なる行政指導にとどまらず、刑事事件としての対応も視野に入れて厳しい対応を促す内容だ。
これまで病院や診療所への立入検査、都道府県知事の対応を紹介してきたが、こうした対応の結果、医師法や保助看法(保健師助産師看護師法)に違反する行為や、医療法上の刑罰に該当する行為が確認された場合には、「刑事訴訟法第239条を踏まえて、警察などの捜査機関に相談または告発する」ことを求めている。
美容医療でも、違法行為がある場合には、警察が関与するケースが考えられるということだ。
通知はこれに加えて、病院以外の現場における問題への対応についても整理している。
通知は、エステなどで無資格者が医療行為を行った場合、医師法第17条に違反し、刑罰の対象となると明確に示した。警察への相談や告発を行い、刑事手続きに委ねることを求めている。
また、臨床研修を終えた医師や歯科医師が、診療所の開設届を出さずに医業を行っているケースも注意を促している。医療法第8条では、診療所を開設した場合、10日以内に所在地の都道府県へ届け出る義務がある。通知では、届出がないまま医業が行われている疑いがある場合、医療法第25条第2項に基づいて立入検査などの措置を講じるよう指導している。
契約の問題は消費生活センターと連携

契約。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 自治体連携の要請 → 保健所などの行政機関に対し、契約内容・解約条件などの消費者トラブルについて、各自治体の消費生活センターと連携するよう求めている。
- 対応フローの明確化 → 「立入検査 → 是正命令 → 告発 → 関係機関との連携」という一連の行政・法的対応を体系的に整理した。
- 今後の影響 → 美容医療で問題が発生した際、この通知が行政対応の基準や判断材料として参照される機会が増えると考えられる。
通知の最後では、保健所などの行政機関に対し、契約内容や解約条件など消費者トラブルに関する相談について、各自治体の消費生活センターなどと連携するよう求めている。美容医療やエステの現場では、医師法違反に加えて、高額契約や返金を巡るトラブルといった民事的な問題も数多く発生している。こうした背景を受けた項目となる。
今回の通知は違法な行為について明確にした上で、「立入検査→是正命令→告発→連携」という一連の対応フローを整理した。
美容医療をめぐる問題が起きた際には通知が参考にされる場面も増えることが予想される。
