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糸リフトの影響をどう扱うかがフェイスリフトの新テーマに 組織での変化が手術の難易度を左右、国内学会で専門家も話題に【編集長コラム】

カレンダー2025.12.10 フォルダー連載・コラム
たるみ治療の手段として糸リフトの存在感が高まっている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

たるみ治療の手段として糸リフトの存在感が高まっている。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 糸リフトの経験者が増える中、フェイスリフトを行う際には、その影響に対応する必要性が高まっている。

 国内の美容医療系学会でも、課題として取り上げられるようになってきている。

国内の学会でも課題に注目

糸リフトで使われるスレッドは挿入後の顔の組織を変化させる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

糸リフトで使われるスレッドは挿入後の顔の組織を変化させる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 吸収糸でも痕跡は残る → 学会では、吸収型スレッドであっても組織への影響が持続することが指摘され、フェイスリフト時の考慮が必要とされた。
  • 糸リフト経験を前提とした手術設計へ → 「糸リフトをしているからフェイスリフトができない」のではなく、その履歴を踏まえて安全に実施できる手術が求められている。
  • 国内学会でも共通課題に → 今後のフェイスリフト需要拡大に向けて、糸リフト経験への理解と対応が重要視されている。

 2025年9月に開催された第48回日本美容外科学会(JSAPS)総会のシンポジウムでは、「切開リフトとスレッドリフト:その住み分けを探る」と題して専門家が議論し、この中で吸収型スレッドを使用した場合でも組織に糸リフトの影響が残ることが指摘されていた。

 もっとも会場では、「糸リフトを受けたからといってフェイスリフトができない」という考えではなく、糸リフト経験のある状態を前提としてフェイスリフトを実施できるようにする必要があるという視点が示されていた。糸リフトは吸収性のスレッドを使っても、実施後に痕跡が残ることは従来指摘されていたが、それはフェイスリフトを実施するときには無視できないテーマになるだろう。

 2025年11月に開催された第43回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会のパネルディスカッション「最新のフェイスリフトの考え方」でも、フェイスリフトの進歩や最新技術が議論され、その中で糸リフトの影響にも触れられていた。

 日本国内でたるみ治療の関心が高まる中、糸リフトの施術は増加している。フェイスリフト手技が進化する中で、今後フェイスリフトの需要がさらに増える可能性があり、その際には糸リフト経験への配慮が不可欠になると考えられる。

糸リフト後のフェイスリフトに方針示される

たるみ治療としてフェイスリフトをいかに上手に行うか。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

たるみ治療としてフェイスリフトをいかに上手に行うか。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 糸リフト後6〜9カ月は影響期間 → 海外論文では、吸収性スレッドによる糸リフト後6〜9カ月以内ではフェイスリフトに影響する可能性があると報告された。
  • 適切な術前管理で手術は可能 → 非外科的施術歴があっても、注入剤や糸の位置・種類を把握し、適切に準備すればフェイスリフトは安全に実施できるとされている。
  • 国際的にも関心が高まるテーマ → 海外でも糸リフト後にフェイスリフトを希望する症例が増加。今後は国内外の知見を統合し、安全で効果的な施術設計が求められる。

 ヒフコNEWSでは、糸リフトを含む非外科的施術がフェイスリフトに与える影響を検証した海外論文も紹介している。

 吸収性スレッドを用いた糸リフトについては、施術から6~9カ月以内ではフェイスリフトに影響すると説明されていた。

 この論文でも、非外科的施術を受けた後であっても、術前管理を適切に行うことでフェイスリフトは十分実施可能であるという立場が示されている。

 海外でも糸リフト施術が増えており、その後にフェイスリフトを受けるケースも増加すると考えられる。そうした中で、より良い施術につながる知見も蓄積されていくだろう。

 この問題は新しい課題といえるもので、今後フェイスリフトを行う際には、国内外の最新の知識や経験を参考にしていく姿勢が求められる。

参考文献

フェイスリフトは過去の美容施術で難易度が変わる 糸リフトのほか、注入や照射系など過去の履歴を伝えるのが重要、米国専門家がガイドライン提案
https://biyouhifuko.com/news/research/15678/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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