
薬の使用に当たって警告表示はネガティブな印象になる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
ホルモン補充療法は、アンチエイジングやロンジェビティの観点から注目される動きがある。
そもそもこの治療は女性のホルモンの減少を補うことで、更年期の症状を減らす効果が認められていた。
ここにきて改めて注目される背景として、薬の乳がんなどのリスク情報について強調の仕方や掲載欄を見直す動きがあった点がある。
更年期治療の回避を招いた「強い警告」

薬の副作用情報は重要。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 強い警告が影響→ ホルモン補充療法は有効な治療法でも、強い警告表示で敬遠されやすかった。
- FDAが表示を見直し→ 米国では2025年に、乳がんなどのリスク情報の見せ方が変更された。
- 治療を考えやすく→ リスクだけでなく効果も含めて、バランスよく判断しやすくする影響がある。
更年期は、通常45歳から55歳にかけて訪れ、エストロゲンやプロゲステロンの減少により、ほてりや発汗、睡眠障害、膣の乾燥、骨密度低下など、生活の質に大きな影響を与える症状が現れる。
ホルモン補充療法には、全身投与型の併用療法やエストロゲン単独療法、局所的な膣用エストロゲンなど複数の種類があり、症状や既往歴に応じて選択される。ほてりや発汗、膣症状の改善に加え、骨粗しょう症のリスク低減にも寄与する可能性があるとされている。
ヒフコNEWSで伝える記事では、婦人科や美容内科といった分野から、ホルモン補充療法の効果を評価する考え方が示されていた。
米国食品医薬品局(FDA)は2025年に更年期ホルモン療法の表示見直しを進め、2026年2月にはその背景や内容を一般向けに解説する情報を公開した。
FDAによれば、ホルモン補充療法はこうした症状の有効な治療手段として承認されるが、従来、心血管疾患や乳がん、認知症などのリスクが「黒枠警告」として強調されてきた。黒枠警告は医薬品における最も強い警告表示で、薬を使う本人や医療関係者を使用に慎重にさせる影響をもたらしていた。FDAによると、こうした強い警告の影響で、多くの女性が治療を回避してきた可能性があるという。
2025年11月に、FDAは、エストロゲンやプロゲストゲンを含むホルモン療法について、以上のようなリスクに関連した「黒枠警告」の削除を製薬企業に要請した。
リスク自体が否定されたわけではなく、心血管疾患や乳がんなどの情報は引き続き「警告および注意事項」に記載される。なお、全身投与のエストロゲン単独製剤では子宮内膜がんに関する「黒枠警告」は維持される。
今回の見直しは強調されてきたリスクへの認識を改めるきっかけになり、その利用を検討する上でバランスの取れた判断をしやすくなると想定されている。
日本でも表示が変更

ホルモン補充療法は身近になる?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 日本でも改訂情報→ PMDAはリスク情報の扱いを改める改訂情報を示した。
- 過度な強調を見直し→ 日本でも米国でも、必要以上に不安を強めない伝え方に変わりつつある。
- 今後の注目点→ 更年期治療だけでなく、アンチエイジングの観点でも関心が高まる背景となる可能性。
日本でも、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2025年10月に、ホルモン補充療法に用いられる製剤の「使用上の注意」について、リスク情報を「その他の注意」に整理するのが適切とする改訂情報を出した。
日本では「黒枠警告」のような強調をされていたわけではないものの、「重要な基本的注意」という欄ではなく、それよりも後に示される「その他の注意」の中で解説する形が望ましいということになった。リスクを前面に強調するというより、医療を進める際の判断のために参照すべき情報として整理し直したものと読み取れる。
米国でも日本でも、ホルモン補充療法については、リスクだけを過度に押し出すのではなく、利益と副作用の双方を踏まえて判断しやすい形に情報を整理しようとする流れがみられる。
美容医療に関連して、アンチエイジングやロンジェビティの観点からホルモン補充療法に注目する動きがある。その背景には、リスク情報の伝え方が見直され、必要以上の抵抗感がやわらぐ可能性があることも関係しているかもしれない。今後、日本でももう少し身近になる可能性がある。
参考文献
Hormone Replacement Therapies Can Help Women with Bothersome Menopausal Symptoms
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/hormone-replacement-therapies-can-help-women-bothersome-menopausal-symptoms
閉経期女性のホルモン補充療法に用いられる製剤の 「使用上の注意」の改訂について
https://www.pmda.go.jp/files/000277624.pdf
美容医療の中で女性ホルモンの治療は次なる潮流に?肌ツヤやシワ改善などに期待、AMWC Japan 2025が産婦人科系の講演にスポットライト
https://biyouhifuko.com/news/japan/15290/
