ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

韓国美容医療はなぜ進んでいるのか?コスパだけで決めない視点、専門性と症例数が築く信頼、BBクリニック表参道院長 白夏林氏に聞く

カレンダー2025.5.28 フォルダーインタビュー

 日本と韓国の医師免許を保有し、日韓両国で美容医療に取り組む形成外科専門医、白夏林(ベク・ハリム)氏。日本では表参道のBBクリニック院長を務め、ヒアルロン酸注入や目元、鼻、豊胸といった幅広い美容施術を手がけている。日本と韓国それぞれの美容医療事情に精通する白氏に、韓国美容医療の強みやその背景について話を聞いた。(聞き手/ヒフコNEWS編集長 星 良孝)

BBクリニック表参道院長の白夏林氏。(写真/白夏林氏)

BBクリニック表参道院長の白夏林氏。(写真/白夏林氏)

  • 韓国美容医療の特長→ コストパフォーマンスの高さが魅力。ただし「玉石混淆」で、情報収集が不可欠。
  • 信頼できる情報源→ インフルエンサーの投稿は報酬が伴う場合があり、専門家や実体験の口コミを重視すべき。
  • 韓国の強み→ 骨切り、鼻再手術、豊胸などの外科的手術において、症例数の多さから技術力が高い。

──日本と韓国の両国で診療を続けている。

白氏: 私は韓国で医学部を卒業した後、韓国の医師免許を取得して韓国で研修を受けた後に日本でも医師免許を取得しました。その後、来日して札幌で初期研修を受け、東京の聖路加国際病院で後期研修を修了し、日本で形成外科専門医を取得しました。

 今は表参道のBBクリニックで院長を務めつつ、韓国ソウルでも最新の美容医療の知識を学んでいます。

 形成外科は以前から興味がありました。傷をきれいに治療したいと興味を持ちましたが、美容にも興味があり選択しました。得意な領域は注入系、目元、鼻、豊胸、脂肪です。

──韓国美容医療の長所とは。

白氏: 韓国の美容医療の良さは、やはり単刀直入に言えば「コストパフォーマンスの良さ」です。ただし、価格だけを鵜呑みにして安易に渡航すると、痛い目を見ることもあります。いわゆる「玉石混淆」という表現は、日本と同様、韓国の美容医療にも当てはまります。

 情報収集は、今も昔も難題です。インフルエンサーの投稿が美容施術のきっかけになること自体は否定しませんが、彼らは基本的に報酬を得て情報を発信している点に注意が必要です。情報がまったく得られない場合には、インフルエンサーの発信に頼ることもあるかもしれませんが、やはり専門家の意見や実際の施術経験者による口コミを重視する方が望ましいでしょう。これは日本にも共通しますが、予約が取りづらいクリニックは、施術の質が高く、信頼できる可能性が高いです。

──江南区には多くの施設があり選ぶのが難しい。

白氏: 例えば、アップグジョン(狎鴎亭)エリアには、形成外科専門医で40〜60代の医師が運営する、歴史あるクリニックが多く見られます。一方、より南側に位置する江南駅周辺では、30〜40代の比較的若い医師が運営するクリニックが多く見られるのが特徴です。江南駅の辺りは、専門医資格を持たない、いわゆる美容GP(一般医)の開設しているクリニックも多いです。日本で言う「直美」は韓国では美容GPと呼んでいます。ジェネラル・プラクティショナー(general practitioner)です。韓国では15年ほど前から、美容GPの数が増加していると考えています。職業選択の自由がある以上、美容GPとして開業することも一つの選択肢であると考えています。一方で、医師を選ぶ際には、専門医資格を持っているかどうかが一つの重要な判断基準になります。私自身としても、専門医資格の取得は強く推奨したいと考えています

──韓国の医師が得意な施術はある?

白氏: 日本と韓国のいずれにおいても、非外科的治療の人気が高い傾向は共通しています。施術全体のうち1〜2割が外科的手術で、残りの8〜9割は非外科的治療です。日常的に働く人々にとって、ダウンタイムの少ない施術が好まれるのは、万国共通の傾向といえるでしょう。

 韓国では、骨切りや鼻の再手術、豊胸といった大がかりな美容外科手術では、症例数の多さが医師の経験値を底上げし、技術力の高さにつながっていると考えています。一方で、日本では目元の手術技術が特に高いと感じています。「知られることなくきれいになりたい」、「ダウンタイムを極力短くしたい」といった考えがより強いためである可能性もあると思います。技術の成熟につながったと考えています。

 振り返ると、1990年代までは韓国の医師が日本の医師から多くを学んでいましたが、2000年代以降は韓国の技術が急速に向上しました。この時期に、海外から韓国を訪れる患者が増え、美容医療の件数も飛躍的に伸びたことで、韓国の医師の実績が大きく蓄積されたのだと思います。

江南区の一帯には美容医院が密集する。(写真/編集部)

江南区の一帯には美容医院が密集する。(写真/編集部)

  • 韓国美容医療の国際的評価→ 韓国は症例数の多さを背景に、美容医療の分野で国際的にも高く評価されている。特に中国などからの渡航患者も多く、技術の蓄積が進んでいる。
  • 日韓の制度と技術の違い→ 韓国は医師に限定された施術制度や学会参加資格など、安全性を重視した厳格な規制が特徴。
  • 日韓の技術を融合した臨床実践→ 日本と韓国それぞれの美容外科技術を学びながら美容医療を実践。

──韓国は美容外科先進国となった。

白氏: 韓国の医学部教授の間でも、韓国をはじめとしたアジアの美容医療は国際的に見て進んでいるという声を聞くことがあります。欧米では論文の発表が盛んで、先進的な印象がありますが、私自身はアジアの美容医療の進歩も非常に目覚ましいと感じています。

 中国などからも、コロナ禍以前は韓国に渡航して美容医療を受ける人が多く見られました。実際、韓国人よりも中国人の来院者の方が多いクリニックも存在していました。コロナ禍以降は自国で美容医療を提供するケースが増え、それに伴い各国での実績も増加しています。タイでは性別適合手術を専門とする医師が多く、国際的にも高い技術水準で評価されています。やはり、症例数の多さが技術向上に直結する重要な要素だと考えています。

──韓国は新しい技術が次々と登場している。

白氏: 韓国では、美容医療の新技術を取り上げた学会や勉強会が日々活発に開催されています。もっとも、新技術の多くはマイナーチェンジにとどまるため、基本的な知識があれば十分に対応できます。

 学会制度については、日韓で違いがあります。日本の日本美容外科学会(JSAS、JSAPS)では、専門医資格を持たない、いわゆる直美も参加可能ですが、韓国の大韓形成外科学会では専門医資格を持たないと参加できません。

 学会の門戸を広げ、専門医資格を持たない医師にも参加を認めた方が、医学の発展につながるという見方もあります。

 しかし、直美の医師が学会でビデオを視聴し、十分な訓練を受けないまま手術を試みた結果、施術ミスや安全性の問題が生じる懸念も指摘されることがあります。

 学会の参加資格を専門医に限定すれば、安全性は一定程度確保されますが、その一方で、知識や技術に関する議論の広がりが損なわれる可能性もあります。専門性と開かれた議論のバランスをどう取るかは、非常に難しい課題だと感じています。

 このほか日韓の違いとしては、韓国では、美容医療に関する規制が厳しく、施術は医師のみが行うことを許されています。日本ではレーザー施術などを看護師が担当することもありますが、韓国ではそれらも医師のみが実施可能であり、この点は大きな違いです。

──BBクリニックは日本と韓国の両国でクリニックを展開する。

白氏: 例えば現在は、傷跡が目立ちにくい目頭切開の方法に取り組んでいます。

 解剖学的な構造を踏まえながら、さまざまな手術法を検討しており、それぞれに長所と短所があるため、それらを比較しながら、より良い結果を目指しています。額挙上術では、日本では、額の皮膚を切開して縫い縮める手術が行われていますが、最近、韓国では額より上の生え際の毛の生えている部分を切開し、その部位を引き上げて縫合する方法も検討されています。そのような手術法の検討が継続的に進められています。

 日本と韓国それぞれの技術的特長を学びながら、常により良い手術の実践を目指しています。

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。