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たるみ治療の現在地 2026年を迎えて、総合的な若返りを目指す スレッドリフトが増える中でのフェイスリフト ドクタースパ・クリニック院長・鈴木芳郎氏に聞く Vol.1

カレンダー2026.1.13 フォルダーインタビュー
鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏
ドクタースパ・クリニック院長。

  • 美容医療の目的の変化→日本では、美容医療の中心が「パーツを変える施術」から、シミ・シワ・たるみを改善しながら若々しさを保つ「トータルな若返り」へと移行してきている。
  • 治療手段の進歩→レーザーやボツリヌストキシン製剤の発達により、シミやシワの治療が現実的な選択肢となり、次の課題として「たるみ治療」に関心が集まるようになった。
  • たるみ治療の多様化→従来のフェイスリフトに加え、高周波(RF)などのエネルギーデバイスやスレッドリフトが普及し、「切らずに改善する」「実感を補う」といった中間的な選択肢が広がっている。

──日本の美容医療は、ここ数年で変化している。

鈴木氏: 日本は世界的に見ても美容医療の市場規模が大きいと思います。その中で、目的自体が少しずつ変化してきたという実感があります。もともとは二重まぶたや隆鼻術のように「パーツを変える」「形を整える」施術が中心でしたが、近年はそれだけではなく、シミ、シワ、たるみを改善して「若返りながら綺麗になる」という流れが明確になってきています。

──背景には治療手段の進歩がある。

鈴木氏: そうですね。シミで言えばレーザー治療が発達して、選択肢が増え、治療として現実的に取りやすくなりました。シワも、ボツリヌストキシン製剤が普及して使い方が確立され、多くの人が一定の満足を得られる状況になっています。

 そうなると次に焦点になってくるのが「たるみ」です。たるみ治療も同じように、さまざまな試みが重ねられてきました。

──たるみ治療も手段が多く選ぶのが難しいほど。

鈴木氏: 現在のたるみ治療は大きく分けて、「切って引き上げる」方法と、「機械で引き締める」方法があります。昔は「切らなければたるみは取れない」という考え方が強かった。でも高周波=RFという、サーマクールに代表されるエネルギーデバイスが広がり、「切らなくても、ある程度たるみを改善できる」環境が整ってきた。常識が変わってきました。

──ご自身はフェイスリフトという外科的な手術に取り組んできた。

鈴木氏: フェイスリフトは、たるみ治療の中では大きな手術を伴う治療と位置づけられています。海外では100年以上前から歴史があり、日本でも数十年の蓄積がある。

 かつてはダウンタイムや傷、変化の大きさが理由で、「普通の人が受けるものではない」というイメージが強かった。芸能人など顔を表に出す人の治療、という印象もあったと思います。そこから時代とともに術式や周辺技術が進み、以前より受けやすい形に変わってきたのも事実です。

──機械で引き締める方法と、手術で引き上げるフェイスリフトの中間にあるのがスレッドリフト?

鈴木氏: はい。機械治療が普及してきた一方で、「引き上げの実感」が物足りないと感じる人もいます。そこで注目されたのがスレッドリフトです。ここ数年でスレッドリフトは急速に伸びていますが、特に日本で伸びている印象があります。

  • 日本人に合った治療特性→スレッドリフトは、機械治療よりも引き上げの実感が得られやすく、手術ほどの負担もないため、傷が目立ちにくくダウンタイムも比較的短い。「年1回程度のメンテナンスで維持できる」と捉える人も多く、生活に組み込みやすい点が日本での普及につながった。
  • 「若く見える」総合効果→引き上げ感に加え、コラーゲン増加などの作用が重なり、周囲に気づかれにくい形で全体的に若々しい印象を得やすい点が支持され、症例数の増加につながっている。
  • 未承認製品という課題と今後→糸の多くが国内未承認で、個人輸入に依存している現状には安全面の課題が残る。一方で製品改良や技術の進歩により使いやすさは向上しており、今後は国内承認と安全性の確保が普及拡大の鍵になる。

──なぜ、日本でスレッドリフトが伸びた?

鈴木氏: 日本人にとってちょうどいい治療になっているからだと思います。機械は切らずにできる一方で、どうしても引き上げ感が弱い場合がある。糸はその点、引き上げた実感が得られやすい。ただし、持続が数カ月で、定期的に行う必要はあります。

 ただ、例えば年に1回程度で維持できると考える人も多い。周囲に気づかれにくく、傷も残りにくく、ダウンタイムも比較的少ない。そういう意味で、生活の中に組み込みやすい治療になっています。

──「若く見える」変化が得られやすい、という語られ方もある。

鈴木氏: 糸については、肌の若返りやコラーゲン増加などが語られることもあります。

 ちょうどよい引き上げ感、ダウンタイムの少なさ、気付かれにくさ、コラーゲン増加などの複数の効果が重なり、総合的に「若く見える」変化を得やすい、という感覚を持つ人が増えていると思います。こうして今の日本ではスレッドリフトの症例数が増えている。私は、今後も糸リフトはさらに増えていくと見ています。

──スレッドリフトには課題もある。

鈴木氏: 増えていく一方で、課題はあります。糸の品質という点では、近年はやや不安を感じる場面もある。そもそも国内の承認品ではないケースが多く、韓国などからの個人輸入で使われている現状があります。美容医療では、医師の裁量と自己責任のもとで未承認品が使われることも少なくありません。その点は、常に一定の不安要素として残ります。

 ただ初期の頃は品質が不安定だと感じることもありましたが、改良が重ねられて品質が一定に安定し、使いやすくなってきた面もある。製品が良くなっただけでなく、使い方も多様化して工夫の余地が広がっている。そういう意味では、糸リフトはまだ伸びていく余地がある治療だと思います。

──本来は、国内で承認され、安心して使える環境が整うことが望ましい。

鈴木氏: そうですね。日本国内でも糸が正式に承認され、より安心して使える環境が整えば、さらに発展していくはずです。需要がこれだけある以上、患者側の理解と安全性の担保が、今後ますます重要になってくると思います。(続く)

プロフィール

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏
ドクタースパ・クリニック院長。

1957年生まれ。1983年東京医科大学医学部卒業。東京医科大学形成外科教室入局後、国立東京第二病院で研修・勤務。マイクロサージェリー(切断指再接着術など)を日常的に行うなど形成再建外科の技術を習得し、顔面外傷治療の経験を通じて顔面解剖・構造への理解を深めた。1990年日本形成外科学会認定医取得。1992年東京医科大学形成外科助手、1993年医学博士取得。1995年同講師。1996年海老名総合病院形成外科部長。米国など海外の著名医師に師事し美容外科の研鑽を積む。2001年サフォクリニック副院長。日本のスレッドリフト黎明期から糸による引き上げ治療に取り組み、中顔面若返り手術であるケーブルスーチャー法を国内で早期に導入した医師として知られる。2006年ドクタースパ・ クリニック新宿美容外科・歯科院長、2010年ドクタースパ・クリニック開業。2014年東京医科大学形成外科学分野 客員講師。日本糸リフト協会理事長、日本美容医療協会理事長、日本美容医療総合学会理事。千葉大学形成外科客員講師、滋賀医科大学形成外科客員講師。日本美容外科学会(JSAPS)専門医、日本形成外科学会(JSPRS)専門医。国際美容外科学会(ISAPS)正会員、日本抗加齢医科学会(JAAM)専門医。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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