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フェイスリフトの「選択」は価値観で決まる、十分な納得が大前提 長期にわたってクリニックと関わる意義 ドクタースパ・クリニック院長・鈴木芳郎氏に聞く Vol.4

カレンダー2026.1.16 フォルダーインタビュー
鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏
ドクタースパ・クリニック院長

  • 糸と切る治療の位置づけ→ 糸と切る治療は対立関係ではなく、それぞれの利点を理解し、必要に応じて組み合わせることが重要とされる。
  • 選択を左右する価値観→ 定期的な施術を許容できるか、1回でしっかり治したいかなど、人生観や考え方によって選択は分かれる。
  • 説明と対話の重要性→ 本当に治療が必要かどうかは、マンツーマンで悩みを聞かなければ判断できない。

──スレッドリフトが増えていますが、糸からフェイスリフトへ移る人は思ったほど増えていない?

鈴木氏: スレッドリフトだけで満足している人が多いのだろうと考えています。

 私は切る治療も糸も両方やってきましたから、両方の利点と欠点が分かっています。その上で、糸の良いところは活かし、必要なところは切る、組み合わせる、という使い方をするのが大事だと思っています。

 糸リフトは施術に関わるクリニックの裾野が広い分、正しくない方法が広がると治療自体の評判が悪くなることを心配しています。そのため一定レベルの基準をつくって合併症を減らすために、日本糸リフト協会を設立し、私が理事長として活動しています。

──それに対してフェイスリフトは敷居が高い?

鈴木氏: それはあると思います。合併症のリスクがありますし、ダウンタイムも取らないといけない。費用も高額になりやすい。数百万円の支払いになることもあり、及び腰になるのは仕方がない部分がある。だからといって「価値がない」という話ではなく、最終的にはその人が何を望んでいるか、どんな人生観や価値観を持っているかで決まってくると思います。

──スレッドリフトを選ぶかどうかを左右する?

鈴木氏: その人それぞれの考え方で決まってきます。毎年1回くらいのペースでスレッドリフトの施術を受けることが苦にならない人もいるし、何度も来るのは避けたいので「1回でしっかりやってほしい」という人もいる。

 他の美容施術も似たところはあり、スキンケアを毎日行うのか、施術である程度まとめて対応しようとするのかというのも、それらの選択肢はその人に合わせて決まってきます。

 どのケースでも最も重要な前提です。「どこで、どう悩んでいるか」をこちらから聞くことです。

──話を聞いていくと「そこまで悩む必要はない」ケースもある。

鈴木氏: あります。マンツーマンで話していくと、「そこで悩む必要はないのでは?」という結論になることもある。逆に「今の状態なら手術した方がいいんじゃない?」となる場合もある。

 そのコンプレックスが本当に正しいコンプレックスなのかという問題はあります。本人は強く気にしていても、客観的に見るとそこまでではないこともある。しっかり話を聞かないと分かりません。

 どんな治療であっても、宣伝文句だけで決めてしまうのは危ういと考えています。

 「ダウンタイムがない」「仕事を休まずにできる」といった言葉だけで、十分な説明もなく受けてしまって困る人はいる。現実に説明義務違反が争点になって裁判に発展するケースもあります。

──説明は「リスクも限界も全部」伝えるべき。

鈴木氏: そうです。全部説明した上で、それでも「メリットの方が大きいからやります」と本人が納得できることが重要です。その上で治療を行うのが安全で、一番いい方法だと思います。

 フェイスリフトを受ける人は結果的に、美容医療についての知識をしっかりと理解している人が多い印象があります。年齢的にも社会経験がある程度あり、下調べをして来る方々です。そうした意味からトラブルも少ない面があると思います。

  • 意思決定の慎重さ→ フェイスリフトは後戻りできない要素のある大きな手術であり、十分に調べ、理解した上で決めることが前提となる。即決を求めず、他院の意見を聞いたり、時間をかけて納得してから選ぶ姿勢が重要とされる。
  • 不可逆性への責任→ 注射治療のように時間とともに戻る施術とは異なり、フェイスリフトは待っても元に戻らない。そのため、医師にはリスクや限界を含めた十分な説明と、結果に対する強い責任が求められる。
  • 長期視点での美容医療→ 美容医療は単発ではなく人生設計に近い側面を持つ。糸で老化を抑え、必要な段階で切開に移るなど、長期的に同じ医師が履歴を把握しながら診ることで、安全で現実的な選択肢を組み立てやすくなる。

──受診から手術まで、意思決定のプロセスも重要になる。

鈴木氏: 私のクリニックに来る方は、受診前に「ここでやる」と決めて来る人が従来多いです。十分に調べてノート1冊持って来る人もいます。私のキャラクターを見て、話をして、信頼できそうだと感じたらそこで決める人もいます。

 単に興味があって来ただけで、まだ決め切れていない人もいる。その場合は私の意見を話して、疑問があればまた相談してもらえばいいし、他の先生のところを回ってもいい。場合によっては紹介もする。そこでいったん別の先生の話を聞いて、また戻ってくる人もいます。

 結局、十分に理解した上で手術を受けるのが大前提です。フェイスリフトは後戻りがきかない要素がある大きな手術だから、慎重になるのは当たり前です。

 例えば、ボツリヌストキシン注射で眼瞼下垂のような副作用が起こった場合であれば、それは時間が経てば戻ります。その際には説明した上で「少し我慢しましょう」と対応できる。

 それとは異なり、フェイスリフトの場合には待っていれば元に戻るタイプの治療ではありませんから、責任を持って説明し、責任を持ってやることが重要です。

──長期で診ることにもつながる。

鈴木氏: 美容医療は、結局その人がどういう人生を送り、どういう価値観を持っているかが大きく影響します。私のクリニックには、30年近く通い続けている方もいます。必要に応じてリフトを追加し、「なぜそんなに若いの?」と言われ続けることが、その人のモチベーションや生きがいになっているケースもある。そうした人は、「何歳頃にフェイスリフトを行い、その後どう継続していくか」といった人生設計のような視点で、美容医療と向き合うことができます。

 糸で老化を抑えながら周囲より若く見える状態を維持して、必要になったら切開に移る、という組み立ても現実的にあります。

 また、再手術の時に、その前の施術の影響が出ることもありますから、その点でも一人のドクターが長期で診ていく意味が出てきます。「この施術をやったから、次はここは危ない」「次はこの方向で考えよう」と、履歴を踏まえて安全な選択肢を組み立てられるからです。

 例えば、大きくはがすフェイスリフトの手術を一度やると、次に同じ領域をはがしにくくなります。はがした組織が再び接した際に癒着して瘢痕化し、組織が正常な構造ではなくなるからです。神経の走行が変わる可能性もあります。「一生に1回しかできないんですか」と聞かれることもあるけれど、私は「やり方を変えればまたできることもある」と答えます。ただ、その時は別の方法でやらないといけない場合もあります。(続く)

プロフィール

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏。ドクタースパ・クリニック院長。(写真/編集部)

鈴木芳郎(すずき・よしろう)氏
ドクタースパ・クリニック院長

1957年生まれ。1983年東京医科大学医学部卒業。東京医科大学形成外科教室入局後、国立東京第二病院で研修・勤務。マイクロサージェリー(切断指再接着術など)を日常的に行うなど形成再建外科の技術を習得し、顔面外傷治療の経験を通じて顔面解剖・構造への理解を深めた。1990年日本形成外科学会認定医取得。1992年東京医科大学形成外科助手、1993年医学博士取得。1995年同講師。1996年海老名総合病院形成外科部長。米国など海外の著名医師に師事し美容外科の研鑽を積む。2001年サフォクリニック副院長。日本のスレッドリフト黎明期から糸による引き上げ治療に取り組み、中顔面若返り手術であるケーブルスーチャー法を国内で早期に導入した医師として知られる。2006年ドクタースパ・クリニック新宿美容外科・歯科院長、2010年ドクタースパ・クリニック開業。2014年東京医科大学形成外科学分野 客員講師。日本糸リフト協会理事長、日本美容医療協会理事長、日本美容医療総合学会理事。千葉大学形成外科客員講師、滋賀医科大学形成外科客員講師。日本美容外科学会(JSAPS)専門医、日本形成外科学会(JSPRS)専門医。国際美容外科学会(ISAPS)正会員、日本抗加齢医科学会(JAAM)専門医。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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