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世界初「スキン・ロンジェビティクリニック」、慢性炎症に着目し酸化ストレスやマイクロバイオームの乱れに対処 スキンケアと美容医療を組み合わせ CIBLE SKIN創業者のアクニン氏とジネフリ氏に聞く

カレンダー2026.3.18 フォルダーインタビュー
CIBLE SKIN創業者のラファエル・アクニン(Raphaël Aknin)氏。(写真/編集部)

CIBLE SKIN創業者のラファエル・アクニン(Raphaël Aknin)氏。(写真/編集部)

ラファエル・アクニン(Raphaël Aknin)氏
CIBLE SKIN(サイブル・スキン)創業者

ジャン・ジネフリ(Jean GINEFRI)氏
CIBLE SKIN社長兼共同創業者

  • 慢性炎症が老化の原因→ 目に見えなくても細胞機能の低下やコラーゲン分解を引き起こし、シワやたるみにつながる。
  • 3つの要因に同時アプローチ→ 慢性炎症に加え、酸化ストレスとマイクロバイオームの乱れにも対処する設計。
  • 統合的ケアで長期改善→ 診断・スキンブースター・機器・ホームケアを組み合わせ、継続的に肌の状態を整える。

──CIBLE SKINが掲げる「スキン・ロンジェビティ」とは。

アクニン氏: 私たちは、皮膚のロンジェビティの問題を、慢性炎症の問題として捉えています。慢性炎症は、必ずしも目に見えるわけではない。しかし時間をかけて皮膚に影響し、老化を加速させる因子になり得る。

 慢性炎症が皮膚に与える影響は大きく2つあります。

 第一に、皮膚細胞を継続的なストレスにさらし、細胞の機能を低下させる。

 第二に、皮膚の構造を形作っている細胞外マトリクスのコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを徐々に破壊していく。

 結果として、シワ、ハリの低下、シミが進みやすくなる。私たちにとって「ロンジェビティ」とは、まずこの慢性炎症に向き合うことです。

──慢性炎症にどのような対処を?

アクニン氏: 私たちは慢性炎症を下げるために、ロンジェビティを目的としたスキンブースターを開発しました。

 狙いは、慢性炎症そのものに加え、炎症を増幅しやすい2つの要因にも同時に対処することです。

 1つは酸化ストレス、もう1つはマイクロバイオームの乱れです。

 作用のイメージは3段階です。

 第1段階は、慢性炎症=慢性的なストレスから皮膚を守ることです。

 第2段階は、酸化ストレスとマイクロバイオームの不均衡に対処すること。

 第3段階は、細胞のエネルギーを取り戻す方向で、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を後押しし、皮膚防御に関わる要素(抗菌ペプチドなど)にも関与しながらマイクロバイオームを再調整し、さらにメラニンバランスにも働きかけること。

 最終的に、私たちが主にターゲットとして説明しているのはシミ、シワ、ハリです。

ジネフリ氏: いま「ロンジェビティ」という言葉は、あまりにも広く使われています。正直に言えば、何でもロンジェビティになってしまう状況がある。私たちはそこに違和感がありました。

 私たちが言う「皮膚のロンジェビティ」は、精密な専門領域です。慢性炎症、酸化、マイクロバイオームという炎症の全体像に対し、軸を明確にし、そこに特化して取り組むものです。だからこそ「スキン・ロンジェビティクリニック」を名乗っています。ここには特許化された技術も関わっています。

──クリニックでは何をするのでしょうか。

アクニン氏: 私たちが最初に行うのは皮膚診断です。見える問題だけでなく、見えにくい問題も把握します。

 画像による評価に加え、プローブなどで、皮脂量、水分量、コラーゲン、酸化レベル、炎症レベルなどを測ります。さらにマイクロバイオームの状態も確認します。

 その上で、顔に特化したケアを個々の状態に合わせてケアを行います

 私たちのクリニックは外科的な治療は行いません。ケアは月単位のサイクルで、細胞のターンオーバーに合わせて継続する設計としています。洗浄などのケアに加え、軽いラジオ波などの技術を併用しつつ、スキンブースターとホームケアを組み合わせます。私たちはこれを統合的(integrative)な考え方として整理しています。

CIBLE SKINクリニックでは美容施術も提供している。(写真/編集部)

CIBLE SKINクリニックでは美容施術も提供している。(写真/編集部)

──美容医療(注入・レーザー)や美容外科との関係を、どう位置づけますか。

アクニン氏: 私たちは競合ではなく、役割分担だと考えています。私はよく時間軸で説明します。

 スキンケアや私たちのケアは、毎日、定期的に繰り返す。

 美容医療は、半年〜1年単位で行うことが多い。

 外科は、もっと長いスパン、例えば10年単位で取り組む。

 置き換えるのではなく、同じゴールに向けて時間軸の違う手段が協力する。レーザーや注入、リフティングを行っても、慢性炎症が皮膚構造を徐々に損なっていく以上、皮膚の質を支える取り組みは常に必要になり得る、という考え方です。

──医師にとっては、メディカルコスメを組み合わせていく統合的な考え方はどんな価値がありますか。

アクニン氏: 医師がより良い結果を得るためには、施術前に皮膚をできるだけ「バランスの取れた状態」に整えることが重要だと考えています。指標としては、炎症ストレスが下がっていること、マイクロバイオームが均衡していること、酸化への対策ができていること、これらの3点です。

 私たちのプロダクトは、日常使用だけでなく、医師のプロトコルにも組み込まれることを想定しています。施術の前に整え、施術後の回復を支え、日々は炎症ストレスから守る。医師の治療を「よりよく機能させる」ための補助線として設計しています。

CIBLE SKIN創業者のラファエル・アクニン(Raphaël Aknin)氏。(写真/編集部)

CIBLE SKIN創業者のラファエル・アクニン(Raphaël Aknin)氏。(写真/編集部)

  • 臨床と開発が直結→ 自社クリニックで患者の声を直接収集し、すぐに研究や製品改良に反映できる。
  • スピードと柔軟性→ 小回りの利く体制で、最新技術を取り入れながら迅速に製品開発を進められる。
  • 投資で研究を強化→ 資金調達により高度な人材や技術を確保し、革新的な製品開発を加速している。

──フランスは大手化粧品企業が強い国です。CIBLE SKINはスタートアップですが、その強みは?

ジネフリ氏: 大企業の強みは言うまでもなく明白です。

 長年にわたる市場での実績があります。また、豊富な経験、高度に組織化された人材、確立された業務プロセス、強固な財務力、広範な流通ネットワークを持っています。

 しかし、CIBLE SKINのようなハイテク企業の強みは大企業には欠けがちな部分にあると考えています。というのも、私たちはクリニックを自ら運営し、その場所で実際の臨床的な観察ができ、しかも施術を受ける人たちと直接対話をできます。こうしたやり取りから即時のフィードバックを受けることができる。得られたフィードバックはほぼ即座に研究開発に反映されます。そして治療の手順や製品の処方を迅速に改善して、可能な限り最良の結果を生み出します。

 こうした全体の統合が私たちの中心的な強みになります。科学的でありながら、戦略的に機敏な対応を取れることで、施術を求める人たちの現在のニーズにぴったり合う製品を開発できます。

 科学技術が極めて急速に進化する分野で、臨機応変であること、スピーディーに対応すること、高度な技術力は、極めて重要だと考えています。私たちはイノベーティブな製品を市場に投入しようとしていますが、そこで数年かかるような長期の開発期間は許されません。

 こうした体制の下、最先端の原料を選定し、最も高度な処方を開発することで、最高の成果を達成することができます。

──投資会社から資金を受けている。

ジネフリ氏: パートナーとなり得るところから多くの申し出を受けました。その後、ある時点で、私たちは資本を開放することを決定しました。

 それまでは、そのような提案を一貫して断ってきたのです。しかし、科学研究、技術開発、新たな特許取得を伴うイノベーション創出をさらに推進したいという段階に達したのだと考えています。科学研究にはコストがかかります。研究自体にかかる費用だけでなく、最高水準の研究を成し遂げる上では人的な資源のためのコストもかかります。

 これが、私たちが価値観を共有する投資家を招き入れることを決めた主な理由の一つです。その資金調達により研究開発のステージを大幅に高めることが可能になりました。一流の科学技術者を引き付けることも可能になりました。

 例えば、私たちは現在、市場にまだ存在しない光防御技術を統合した、ロンジェビリティの実現につながる日焼け止め化粧品(SPF配合)の発売準備を進めています。このプロジェクトのため、世界有数のSPF専門家を既に採用したのです。

 私たちにとって資本は、常識を破るような製品を生み出していく研究開発リーダーの地位を強化するための手段だと考えています。

──海外への展開もしている。

ジネフリ氏: 私たちは米国と中国では自社が直接参入して展開しています。大きな市場ですから、チームも体制も自分たちで持ちます。一方で、すべてを自社で抱えるのではなく、より小さな市場では販売を委託するディストリビューターと協業します。

 日本については、知名度が高いとは言えないと認識しています。私たちはコロナ前に東京と京都を訪れていて、日本は「専門性」や「技術の価値」を理解する文化があると感じました。その点は、私たちの価値観と合う可能性があると思っています。

プロフィール

「Cible Skin」正面とウィンドウディスプレー。

シャンゼリゼ周辺にあるロンジェビティ・クリニック「Cible Skin」。(写真/編集部)

ラファエル・アクニン(Raphaël Aknin)氏
CIBLE SKIN(サイブル・スキン)創業者。薬学博士号を取得し、皮膚免疫学と炎症の制御・軽減に関する研究を専門とする。CIBLE SKINでは、同社の科学的方向性を統括。研究開発戦略、製品の処方、特許技術の創出と開発を手掛けている。

ジャン・ジネフリ(Jean GINEFRI)氏
CIBLE SKIN社長兼共同創業者。会社のコミュニケーション戦略とブランドポジショニングを主導。事業の成長と国際展開を手掛けている。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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