医療脱毛の大手だったアリシアクリニックの運営2社が経営破たんしたことで、多くの契約者が未施術分を消化できず、返金も受けられない事態になっている。
そうした中で、複数の医院やエステが救済措置を打ち出している。
一方で、救済の動きに対しては賛否両論の声が上がっている。状況を見ていくと、昨年の銀座カラー倒産時よりも、被害者にとって不利である可能性がある。
値引きなどのプランが多い
ウェブサイトやSNSでは、アリシアクリニック運営2社の経営破たんに伴う救済措置のお知らせを見つけることができる。本来ならアリシアクリニックで施術を受けられたはずの多くの契約者が、施術を受けられない状況に陥っている。そうした人にとっては、脱毛を引き続き希望する場合、ほかの医院やエステでの施術に当たって出費を抑えられるのはメリットになる。
ウェブ上にある動きについて、以下にいくつかの事例を順不同で挙げる。
- 大手医療脱毛クリニックの倒産に関する声明と救済措置について【美容皮膚科 Willbe Clinic(ウィルビークリニック)】
- アリシアクリニック倒産の被害に遭われた方を対象とした救済プランのご案内(表参道スキンクリニック)
- 【脱毛サロン倒産に伴う救済措置のお知らせ】(ゆうスキンクリニック)
- 日本全国の元アリシアクリニック会員様限定-最大3回まで施術無料!救済キャンペーン-先着1,000名様限定「元会員様向け脱毛救済企画」白金ビークリニック本院にて開始
- アリシアクリニック(旧じぶんクリニック)被害者の方へ(ジャガークリニック)
- アリシア救済措置(Xクリニック恵比寿院、大阪院)
- 【アリシアクリニック救済プランのご案内】(恵比寿ブライトスキンクリニック)
- ミラクリニックは「アリシアクリニック」利用者様を対象に脱毛施術を特別価格でご提供
- 株式会社テルズ&クイーン、「アリシアクリニック」契約者へ「救済メニュー」開始
これらはあくまで一部であり、このほかにも、救済プランを提示するクリニックやエステは多数存在すると考えられる。それらの救済の内容を見ると、アリシアクリニックで契約をしていた人が、1回の施術を低価格で受けられたり、値引きを受けられたりする内容が多い。無料をうたっていても、実際には一部無料にとどまっている。筆者が見た範囲では、完全無料で受けられる救済プランは確認できていない。
出費を求める救済に厳しい声も
こうした救済の動きについては、SNSで賛否両論の声が上がっている。救済を前向きにとらえて、その情報を知らせようという動きがある一方、救済措置を打ち出す動きに対して違和感を示す声もあるのだ。被害者にさらなる出費を求めることは倫理的に問題があるのではないかと指摘されている。さらに、 「救済プランには注意が必要。新たなコースを契約させられて、さらなる出費につながる可能性がある」など、クリニックの営業にすぎないと疑う意見も見受けられる。
こうした賛否の声が上がる状況は、昨年、銀座カラーが倒産し、同様に多数の被害者が発生し、救済策が示された際にはあまり見られなかった。その理由は、昨年の救済では、複数回を無料で受けられるという提案が中心だったからではないかと推定する。契約書などの資料を持ってくれば、出費なく、本来受けられたはずの施術を受けられるという内容が多く見られた。完全に追加費用なしで施術を受けられる救済策が見当たらず、出費負担が求められる内容が中心となったことで、反発を招いた可能性がある。
背景を考えると、医療脱毛やエステ脱毛の運営会社が、競争が激しくなる中で、昨年よりも厳しい状況に置かれていることも関連している可能性はあるだろう。ヒフコNEWSで伝えているように、24年はエステ脱毛の倒産が過去最高を更新する可能性がある。そうした中で、他社の倒産を救済している余裕がなくなっても不思議ではない。
施術を契約していた人にとっては、昨年の銀座カラーよりも不利ともいえる。被害者の人数が多いだけに、状況を好転させるような動きが新たに出てくることが望まれる。