
相談が急増している。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
2024年12月、東京都に寄せられた消費者からの相談のうち、医療サービスに関する相談が急増したことが分かった。増加幅は、前月と比べて3倍を超えた。
同月、医療脱毛大手のアリシアクリニックが経営破たんしており、その影響と考えられる。
アリシアクリニック経営破たんで相談が急増

2024年12月10日、アリシアクリニックは破産手続開始決定を受けたと発表した。(写真/編集部)
2024年12月10日に、アリシアクリニックを運営していた法人2社が破算手続開始決定を東京地裁から受けた。このためアリシアクリニックの医院は全国で一斉に予告なく閉鎖され、利用していた人たちは施術を受けられない状況に陥った。それどころか、未施術分の返金も受けられない状況となった。
この影響で、東京都に相談を寄せる人も多数寄せられていた。東京都が公表した資料によると、2024年に寄せられた消費者からの相談のうち、医療サービスに関連した相談は185件となり、前月の51件から3倍を超える262.7%増となった。名指しこそしないが、「破産手続きを開始した事業者があったことによるもの」と説明されている。この時期にほかに大きな経営破たんはないことから、アリシアクリニック破たんが原因とみて間違いない。
都によると、「一年半前、約30万円で医療脱毛の契約をして今まで半分程度の施術が終わっている。先日、クリニックからのメールで破産したことを知った。未施術分の費用を返金してほしい」といった相談が多く寄せられたという。
12月の相談の総数は2411件で、前年の2276件を上回ったが、23年の医療サービスに関連した相談は55件だったため、アリシアクリニックの経営破たんの影響で医療サービスの相談が増えた分が、全体の増加分の大半を占めている。
脱毛の受け方が変化

トイトイトイクリニックの特徴だった100円体験脱毛。写真を改変。(出典/PRTIMESに掲載されたトイトイトイクリニックの宣伝記事)
なお、23年12月は脱毛エステの相談が60件だったが、24年12月は上位10位には脱毛エステの相談が見られなくなった。23年12月下旬に銀座カラーの経営破たんがあったことも影響したと考えられる。
24年12月以降は、25年2月に東京都内で展開したトイトイトイクリニックの運営法人が経営破たんした。これにより、医療脱毛に関連した相談は再び増加したことが予想される。
医療脱毛の破たんが相次いだことで、国内の脱毛の脱毛の受け方にも変化があったとされる。複数の回数をまとめて契約する形態は、その後、サロンの運営会社が破たんした場合に、経済的な被害を受ける可能性があり、選ばれづらくなった。一回一回契約をする都度払いの形態が好まれるようになっている。
一方で、都度払いになり、競争が落ち着くことで、医療脱毛を受けるための費用は高くなる傾向にある。国内の脱毛クリニックはこれからさらに変化することが予想される。