
拡大する美容医療市場。(出典/矢野経済研究所)
美容医療の市場が拡大を続けている。
矢野経済研究所が2025年6月に報告した最新調査によると、2024年の国内美容医療市場は前年比6.2%増の6310億円に達した。
非外科的施術に人気続く

非外科的治療の人気続く。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 非外科的施術の主流化→
美容医療では非外科的な施術が中心となり、対応する医療機関が皮膚科、美容皮膚科、形成外科などにも広がっている。- 注目される業界の動き→
再生医療の施術増加、一般社団法人による施設開設、有名大学での美容外科外来の設置、大手クリニックの米国市場への上場がトレンドとして挙げられる。- 市場拡大の背景→
女性の心理的ハードルの低下、20~30代男性の利用拡大、訪日外国人によるインバウンド需要の増加が市場拡大を後押ししている。
矢野経済研究所によると、美容クリニックの倒産のようなネガティブな動きがある一方で、美容クリニックの新規参入が続き、市場は拡大傾向を維持した。美容医療は非外科的な施術が主流となり、対応する医療機関も増加している。施術の実施は、美容外科にとどまらず、皮膚科、美容皮膚科、形成外科などにも広がっている。
同社が注目する美容医療業界の動きは、再生医療の施術増加、一般社団法人による施設の開設、有名大学での美容外科外来の設置、大手美容クリニックの米国株式市場への上場などが挙げられる。
ヒフコNEWSでも、こうした動きについては報じている。再生医療の施術増加や一般社団法人による施設については、美容医療を身近にすることにつながる一方で、トラブルを引き起こすケースもあるとされ、問題解決が求められるところだろう。
同研究所は今後も市場拡大が続くと見ている。女性の美容医療に対する心理的ハードルの低下に加え、20~30代男性の利用拡大や、訪日外国人によるインバウンド需要の増加も、市場拡大の一因となっている。
若返り志向が美容医療市場を後押し

美容クリニックへのニーズも変化。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- アンチエイジングへの関心→
「ロンジェビティ(長寿)」や「フラーリッシング(心身の繁栄)」などの概念が浸透し、内面からの若さを保つことへの関心が高まっている。- 外見と内面の相乗効果→
外見の改善に加え、身体内部の若返りにも注目が集まり、内面と外見の両面からのアプローチが求められるようになっている。- 消費者ニーズの変化→
安全性、価格の透明化、個別ニーズへの対応など、より高品質なサービスの提供が美容医療クリニックに求められている。
美容医療は、施術トラブルなどを通じて社会的な問題として取り上げられることがあるが、一方で利用者層の拡大が進み、市場は着実に成長を続けている。
アンチエイジングに対する関心の高まりは見逃せない。医療分野では「ロンジェビティ(長寿)」や「フラーリッシング(心身ともに健やかな繁栄)」といった概念が注目されており、健康的かつ豊かに年齢を重ねたいと願う人が増えている。身体の内側を若々しく保つという価値観が浸透する中で、外見の若々しさにも関心が高まりつつある。
美容医療クリニックの主な施術は外見の改善に焦点を当ててきたが、近年では身体内部の若返りを目指す治療にも注目が集まっている。内面の健康維持が重視される一方で、それに連動して外見への関心も再び高まるという、双方向的な相乗効果が生じつつある。
市場拡大の流れを受けて、美容医療の提供者には、安全性の確保や価格の透明化に加え、個々のニーズに応じた高品質なサービスの提供がいっそう求められるようになっている。消費者の目は年々厳しくなっており、医療機関の選別が本格化する時代に突入している。
