
美容クリニックを取り巻く状況は変化。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
美容クリニックが増える中で、クリニックの明暗は分かれ、今後淘汰が進む可能性がある。
一方で、美容医療の利用は拡大しており、変化する状況に対応した美容クリニックはますます強くなっていくことも考えられる。
東京商工リサーチが2025年6月に分析を発表した。
全体の7割近くは比較的小さなクリニック

美容クリニックの売上高や利益は増加。(出典/東京商工リサーチ)
- 市場規模の拡大→
2024年の国内美容クリニック248法人の売上高は、前年より29.9%増の3137億5900万円となり、2022年からの3年間で約1.5倍に拡大。- 利益の増加と日常化→
利益は22.6%増の82億6500万円。SNSの普及やマスク生活の終息が追い風となり、美容医療が日常的な選択肢として浸透している。- 競争激化→
新規参入の増加、広告宣伝費の膨張、円安による輸入資材の高騰などが競争を激化させ、退出につながっている。
同社が対象としたのは、国内の美容クリニック248法人。2024年の売上高は前期比29.9%増の3137億5900万円になり、同社によれば、売上高は2022年からの3年間で約1.5倍の規模に拡大した。
利益も22.6%増の82億6500万円と好調で、SNSの普及やマスク生活の終息を背景に、美容医療を利用する人が増え、日常的な選択肢になりつつある。
同社によると、美容クリニックの売上に対する利益率は2.6%とされ、経営効率は必ずしも高くないと分析されている。
背景には、施術の単価が低下しているほか、広告費の増加、立地コスト、最新設備への投資、人件費の高騰などが経営を圧迫しているという。
同社によれば、美容クリニックの休廃業・解散、倒産が過去10年で最多となったという。2024年は「休廃業・解散」が3件、「倒産」が4件と合計7件の退出が記録された。2015年以降、美容クリニックの退出件数は概ね1~5件で推移したが、近年では新規参入の増加による競争激化や、広告宣伝費の膨張、円安による輸入資材の高騰といった要因が重なり、影響を及ぼす。
美容クリニックの中では売上高5億円未満の中小零細が73.7%を占める。こうした中小規模の美容クリニックの継続が大きな課題となっている。
トレンドがクリニックを左右?

美容クリニックの休廃業・解散、倒産は過去10年間で最多。(出典/東京商工リサーチ)
- 明暗の分岐→
市場全体は拡大しているが、経営難に陥る施設もあり、美容クリニック間で明暗が分かれる構図が生まれている。- 専門特化のリスク→
専門性を高めたクリニックは差別化できる一方で、トレンドの変化に対応できず、多様なニーズに応じにくくなるリスクがある。- 生き残り戦略→
変化する市場に柔軟に対応し、最適な施術を提供できるクリニックは、より強い競争力を持つ可能性がある。
美容クリニックをめぐっては、2024年12月、アリシアクリニックの経営破たんが大きな注目を集めた。ヒフコNEWSでは、この影響もあり、金融機関が美容クリニックへの貸し出しに慎重になっているという状況を聞いていた。今回の東京商工リサーチの報告でも、同様な指摘をしており、今後、借り換えや運転資金の調達に失敗した美容クリニックの淘汰が起こる可能性が高いと見ている。
全体の市場が広がる中で、苦境にある施設もあるということで、美容クリニックの明暗が分かれている可能性がある。
東京商工リサーチの指摘で気になるのは、専門特化した美容クリニックがトレンドの変化で、多様なニーズに対応できなくなる可能性があるという点だ。美容クリニックは、差別化のために専門性を高める必要があるとされる。韓国などでも、同様の傾向が指摘されている。美容クリニックは強みを磨きつつ、変化するトレンドに柔軟に対応する必要がある。そうした点は、生き残りの難しさを感じさせる。
一方で、美容クリニックの市場拡大が続いているのも確かであり、状況を見ながら、最適な施術を提供できた美容クリニックは、一層強くなっていく可能性もある。
利用する美容クリニック選びでは、経営の安定性にも目を向ける必要がある時代に入ったともいえる。
