
歯のホワイトニングでトラブルの相談が寄せられている。(出典/国民生活センター)
「無料体験」や「キャンペーン価格」をうたう歯のセルフホワイトニング施術をめぐって、契約を巡るトラブルが増加している。
国民生活センターは2025年7月22日、こうした事例を公表し、消費者に対して冷静な判断を促すとともに、契約内容の確認を強く呼びかけた。
SNS広告から思わぬ契約へ

悩む人が増えてる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- セルフエステが拡大→若年層を中心にセルフエステの利用が拡大しており、中でもセルフホワイトニングの相談件数が急増している。
- 契約トラブルが多発→無料体験をきっかけに高額契約を結ばされ、違約金を請求されるケースが報告されており、契約者の約半数が20代女性。
- 不十分な説明→契約前の説明が不十分で、消費者が実態を理解しないまま契約させられていたことが問題視されている。
自身で施術を行う形式の「セルフエステ」が若年層を中心に急速に広まりつつある。
手軽さや低価格を背景に支持を集める一方、トラブルの件数も増加の一途をたどる。とりわけ「歯のセルフホワイトニング」に関する相談が顕著であり、国民生活センターに寄せられる相談件数は、2023年度まで一貫して増加してきた。
相談の中には、無料体験をきっかけに勧誘を受け、高額な契約を結ばされた上、解約を申し出ても違約金を請求されたといった事例が含まれる。中には100万円を超えるケースも存在したと報告されている。契約者の約半数が20代、また女性が9割を占めた。
今回の注意喚起において国民生活センターは、セルフホワイトニングに関する具体的な相談事例を示しつつ、契約時のリスクと制度的な限界を明らかにした。
例えば、ある20代の女性は、SNS広告を見て「無料体験」のつもりでサロンを訪れたが、店頭では「無料は当日契約者のみ」と告げられた。体験のみは有料と告げられ、やむなく月額契約を締結し、その場でクレジットカード決済を行った。しかし決済後に、クーリング・オフの対象外であることや中途解約では違約金が発生する旨の説明を受け、不信感を抱いたという。
また、別の30代女性は、美容アプリで予約したセルフホワイトニングの体験後、「今日だけのキャンペーン価格」として10回分3万円の回数券を提示され、即時契約を迫られた。冷静な判断ができないまま契約に至ったものの、帰宅後に解約を申し出たところ「解約不可」と告げられたという。
いずれのケースも、事前説明が不十分であり、消費者が実情を理解しないまま契約へと導かれていた点が共通している。
「セルフ」の名のもとにクーリング・オフ適用外

解約が難しい。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- セルフ施術ゆえの規制外→セルフ施術は利用者自身が機器を操作するため、特定商取引法、医師法、歯科医師法の適用外となりやすく、制度の保護が及びにくい。
- クーリング・オフが効かない→セルフ形式の契約は「特定継続的役務提供」に該当せず、無条件の解約ができない。
- 相談体制の整備が重要→不安を感じた際には消費者ホットライン「188」など、公的窓口に早期相談することが被害防止につながる。
これらの問題の背景には、セルフエステが「自ら行う施術」であるがゆえに、特定商取引法や医師法、歯科医師法という規制の枠外に置かれている現状が考えられる。
例えば、エステティックサロンにおいては、特定商取引法により一定の条件下でクーリング・オフが認められている。契約期間が1カ月を超え、かつ金額が5万円を超える場合、契約書面の交付を起点として8日間は無条件で解約が可能とされる。
しかし、セルフホワイトニングは、機器の操作を利用者自らが行うという形式を取るため、法的には「特定継続的役務提供」に該当しない場合が多い。その結果、クーリング・オフ制度の適用外とされ、契約書の交付義務や中途解約に関するルールも適用されぬまま、解約できなくなる事例が後を絶たない。
「今日だけの特典」「今決めれば割引適用」といった販売手法により、冷静な検討を行う余地が与えられぬまま契約に至る例も報告されている。契約締結にあたっては、利用期間や違約金の有無といった契約条件の確認が欠かせない。とりわけ長期契約や回数券の購入に際しては、継続の可否や解約の柔軟性を十分に考慮すべきだ。
また、今回の国民生活センターの注意喚起には示されていないが、医師法や歯科医師法に関しても、他者に対する施術であれば法的制限が課される医療行為に近い手法であっても、「セルフ」であることを理由に規制を免れている可能性がある。そもそもセルフホワイトニングは、歯科医によって運営されていないケースがほとんどと見られる。いわばグレーゾーンとなっている。この法規制の抜け穴については、ヒフコNEWSでも以前に報じている。
万一の不安が生じた場合には、速やかに消費生活センター等の公的相談窓口に助言を求める体制を整えておくことが望ましい。疑問や不安が生じた際には、ためらうことなく消費者ホットライン「188(いやや)」へ相談し、専門機関の助力を得ることが、早期対応と被害の最小化につながる可能性がある。
