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ミュゼプラチナム、ついに経営破たん、業界最大級の規模、利用者は分割払い停止や中途解約の手続き必要に、破産管財人が8月18日付で破産手続開始を公表

カレンダー2025.8.18 フォルダー 国内

ポイント

  • 「ミュゼプラチナム」を運営していたMPHが2025年8月18日に破産手続開始決定を受けた。
  • 債権者の数や負債総額において過去最大規模の脱毛サロンの経営破たんになると見られる。
  • 分割払い契約をしていた利用者は「支払停止の抗弁」や中途解約の手続を自身で行う必要がある。
ミュゼプラチナム。(写真/編集部)

ミュゼプラチナム。(写真/編集部)

 大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム(ミュゼ)」の運営元であったMPHが、2025年8月18日、東京地方裁判所より破産手続開始決定を受けた。各種の手続を進める破産管財人が破産手続開始決定の通知と併せて、今後の手続きに関する情報公開を行っている。

 利用者にとっては、施術・返金ともに実施の見通しが立たたない状況であり、破産開始手続決定でより厳しい状況が強まる。また、分割払いを選んでいる場合は、口座からの引き落としが続く可能性があり、停止のための手続を取る必要がある。

 ヒフコNEWSでもかねて脱毛サロンの前受金の問題について伝えているが、今回の破産は、エステや美容関連サービスにおける「前払い契約」のリスクをあらためて浮き彫りにした形となる。

過去最大規模の脱毛サロン破たん

破産。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

破産。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 経営破たんの規模→ミュゼは脱毛サロン業界で過去最大級。負債総額や債権者数など全容はまだ明らかになっていない。
  • 現状→破産会社によるサービス提供は停止。関連会社のサービス提供は調査中。
  • 分割払いの注意点→信販会社・クレジットカード会社との契約は破産手続きと無関係。自動停止されないため利用者による手続きが必要。

 ミュゼ経営破たんは脱毛サロン業界では債権者数や負債総額のおいて過去最大と見られるが、全容については、まだ明らかになっていないことが、各社の情報がばらつくところからうかがえる。

 同社の経営問題を継続的に追跡し、記事を公開していた東京商工リサーチによれば、負債総額を約260億円、未施術の顧客を含め、債権者数は約20万人としている。

 一方、同様に信用調査大手の帝国データバンクによると、債権者の申し立てに基づくと、負債は約21億円で、少なくとも数十万人の債権者が存在していると説明しているが、ミュゼ運営の情報では、債権者数が123万3000人に対して負債は260億円としている。帝国データバンクは、このうち施術回数が残る有償債権者数は123万2370人、未消化金額は約124億円と伝えている。

 発表元により数字に差異はある状況だが、脱毛サロン業界で最大級の経営破たんである点に変わりはない。

 現在、破産会社によるサービス提供は停止。関連会社の提供は調査中となっている。

 同社はかねて経営の混乱が報じられてきたが、現在も、他社への業務委託により一部施術継続を試みた「どこでもミュゼプラチナム」や、別の新会社でのサービス提供が可能だとされていたが、破産管財人はその真偽や詳細を把握しておらず、調査の上で公表する方針を示している。

 会員が支払った前受金の返金の見込みも現時点で立っていない。

 こうした中、特に重要な点の一つが「分割払い」に関する対応となる。

 国民生活センターなどの案内も参考にすると、 「ミュゼプラチナム」のサービス利用にあたり、信販会社やクレジットカード会社と分割契約を交わしていた利用者も多いが、これらの契約は破産手続とは別個のものであるため、破産が開始されても支払いは自動では停止されない。

 これに対して、利用者側の手続きが必要になる。

 破産管財人は、未施術であった場合やサービスが受けられなくなった場合には、「支払停止の抗弁」を信販会社へ申し出ることができると案内している。

 また、信販会社によっては、支払停止の申し出に先立ち、サービス契約の「中途解約」が必要だとされることもある。この点について、破産管財人は専用のお問い合わせフォームを設置しており、そこに必要事項と共に「解約します」と記入し送信をもって中途解約の手続は完了したものと扱われる。

過去の破たん事例が示す共通課題

チャージバックの仕組みを示した図。カード発行会社(イシュア)が加盟店の契約管理会社(アクワイアラ)にチャージバックを請求する。出典/日本クレジット協会 内閣府の資料より

チャージバックの仕組みを示した図。カード発行会社(イシュア)が加盟店の契約管理会社(アクワイアラ)にチャージバックを請求する。出典/日本クレジット協会 内閣府の資料より

  • 分割払い問題→MPH破たんでも大きな課題。過去の医療脱毛クリニック破たん時にも繰り返し指摘。
  • 過去事例→2023年ウルフクリニック、2024年アリシアクリニック、2025年トイトイトイクリニックでも「支払停止の抗弁」やチャージバックが問題に。
  • 返金の可能性→カード会社により対応は異なるが、契約書・施術記録など証拠資料を揃えて申請することで返金の道が開ける可能性。

 今回のMPHの経営破たんに当たって問題となる分割払い問題は、過去の医療脱毛クリニックの経営破たん時にも繰り返し指摘されてきた課題だ。

 ヒフコNEWSでは、2023年6月に突然閉鎖されたウルフクリニックでも、施術を受けられなかった利用者がクレジットカード会社に「支払停止の抗弁」を申し出ることで、請求を止められる可能性があると伝えている。一部の利用者は、クレジットカード発行会社を通じて「チャージバック」の仕組みを用い、返金を受けられる可能性についても伝えている。

 2024年12月に破産したアリシアクリニック、2025年2月に営業を停止したトイトイトイクリニックでも、同様の問題が指摘された。

 いずれにおいてもカード会社によって対応は異なるが、契約書や施術記録などの証拠資料を揃えて申請することで、返金の可能性が開ける。そうした書類の保管や確認が重要だ。

 これら一連の事例は、脱毛サロンの構造的な問題をあらためて世に示した。大勢の被害者の発生が予想され、今後の続報が引き続き注目されることになる。

参考文献

MPH株式会社(脱毛サロン ミュゼプラチナム)破産管財人ホームページ
https://www.mph-kanzai.jp/

MPH(株)(東京商工リサーチTSR速報)
https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/detail/1201669_1521.html

MPH株式会社(帝国データバンクレポート)
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/flash/5159/

契約中のエステサロンが破産した!(国民生活センター)
https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2020_11.html

男性医療脱毛ウルフクリニック突然閉鎖、女性も知っておきたいクレジット返金ルール
https://biyouhifuko.com/news/japan/1952/

アリシアクリニック経営破たんでクレジット分割払いの停止や返金対応は?ウルフクリニック破たんの際の教訓を生かす、契約書や施術回数などの資料の準備は欠かせない
https://biyouhifuko.com/news/japan/10326/

トイトイトイクリニック、クレジット分割払いは止められる?契約者が今すぐ確認すべき「支払い停止」手続きの流れ、脱毛倒産の際にさらなる被害を避けるための注意点
https://biyouhifuko.com/news/japan/11171/

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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