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「エクソソーム」「セクレトーム」国際ルール作りへ、日本発ルールが発展へ、再生医療の安全性が関心を集める中で動き、日本再生医療学会と国際細胞外小胞学会が連携

カレンダー2025.8.31 フォルダー 国内

ポイント

  • 応用が進むエクソソームを含む細胞外小胞(EV)やセクレトームのルール作りが本格化している。
  • 日本再生医療学会(JSRM)が、国際細胞外小胞学会(ISEV)と連携することを発表した。
  • 日本発のガイダンスを国際的なルール作りに生かす方向で、安全につながることが期待される。
エクソソームとセクレトームで国際的な連携。(出典/日本再生医療学会)

エクソソームとセクレトームで国際的な連携。(出典/日本再生医療学会)

 再生医療の分野で国際的なルール作りが進む中、日本の専門家らがその中心に加わろうとしている。

 日本再生医療学会(JSRM)が、国際細胞外小胞学会(ISEV)と、細胞外小胞(EV)とセクレトームに関連する国際的な連携の覚書を締結した。

 両学会が2025年7月20日に締結し、日本再生医療学会が8月29日に発表している。

 EVにはエクソソームも含まれ、その価値が世界的に注目されている。一方で、国内では、未承認の状態で応用されている状況にあり、ルールの整備が追いついていない。今後、国際的なルールに基づいた利用が進むことが考えられる。

日本のガイドラインが国際ルールの出発点に

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 課題→品質評価や安全管理の国際基準が未整備、日本でも未承認のまま利用されている点が問題。
  • 日本の取り組み→日本再生医療学会が2021年に製造指針、2024年に臨床応用ガイダンスを公表し、世界に先駆けたルール作りを実施。
  • 国際連携→日本の指針が国際的議論の出発点として共有され、国際共同研究やガイドライン作成へ進展。

 EVやセクレトームは、いずれも細胞から分泌されるもので、EVはカプセルのような粒子になったものであり、セクレトームは水に溶ける物質のことをいう。細胞同士の情報の伝達や組織の修復などに関わる。

※美容医療を含めた自由診療でエクソソームが使用されているが、これは細胞外小胞の一種となる。細胞外小胞とは、細胞から分泌される膜構造を持った粒子のこと(エクソソームをもっと理解するための9つキーワード、「EVs」「ISEV」「miRNA」「CQA」……日本再生医療学会の講演から振り返る)。

 現在、EVを中心に病気の診断や治療に使われる可能性が示され、世界的に試験が行われている。

 日本国内では、EVの一種であるエクソソームや幹細胞培養上清が、自由診療の中で、アンチエイジングなどの目的で使用されている。

 ただし、国際的に見ると、品質をどう評価するか、安全管理をどうするかといった基準が整っていない課題がある。また、国内での利用は承認を受けていない状態での使用となっているのも問題視されている。

 そうした中で、日本再生医療学会は、2021年に「エクソソームなどの調製・製造に関する考え方」を公表し、2024年には「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」を公表し、世界に先駆けてルール作りを進めてきた。

 これらのガイドラインは、安全性や有効性を向上させるための考え方を示したものとなった。

 今回、日本の学会と国際的な学会が連携を進めることで、日本発の指針が、国際的な議論の出発点として共有される方向となった。

 両学会は今後、国際共同研究や情報共有、国際的なガイドライン作りなどを進めていくことになる。

 今後のルール作りは国内の再生医療分野にも影響を及ぼす可能性が高い。

日本初の指針で有効性と安全性を支える

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)

  • 現状の問題→エクソソーム製剤の品質にばらつきがあり、実際にはエクソソームを含まない製剤が使われているケースも指摘されている。
  • 国際ルールの必要性→内容の伴わない応用が広がらないよう、国際的なルール整備が不可欠。
  • 今後の展望→日本発の指針を契機に、より有効で安全な治療につながるルール形成が期待される。

 ヒフコNEWSでは、EVやセクレトームに関連したガイダンスの中身を伝えているが、ポイントは、エクソソームの品質の中心的な要素「CQA」を決めて、その品質を一定に保っていくという考え方だ。その上で、ルールに従って製造することを重要視している。

 現状では、エクソソームが利用されているといっても、その品質はばらついているとされる。エクソソームと称して使用されているのに、実際にはエクソソームが含まれていない製剤が使われているといった問題点が指摘されることもある。

 そうした中身を伴わない応用が広がることを避けるためにも、国際的なルールが整備されて、それに従ったEVやセクレトームの利用が進むことが重要だ。

 再生医療をめぐっては、この8月に外国籍の人物が細胞移植の後に死亡したという事故が報告され、安全性への関心が高まっている。EVやセクレトームも再生医療の一環として自由診療で活用が進んでいるが、安全性への懸念や事故の報告もある。

 本当に有効で安全な治療が広がることが重要であり、今後、日本発の指針をきっかけにより良いルールにつながることが望まれる。

参考文献

日本再生医療学会と国際細胞外小胞学会(ISEV)による国際連携に関するMOU締結について
https://www.jsrm.jp/news/news-16674/

未承認エクソソーム対応へ、美容医療などでの使用に推奨事項を示す、日本再生医療学会が新ガイダンス、国の新たなルールへの一歩にも
https://biyouhifuko.com/news/japan/7097/

エクソソームをもっと理解するための9つキーワード、「EVs」「ISEV」「miRNA」「CQA」……日本再生医療学会の講演から振り返る
https://biyouhifuko.com/news/japan/6338/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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