
メイクアイテムが多様に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
化粧品の使い方のバリエーションが多様化し、より複雑になっている。
背景には、スキンケアやヘアケアでのステップ数増加、高機能志向、さらには韓国コスメや外資系ブランドなどの海外ブランドの存在感の高まりがある。
富士経済が2025年10月に最新調査の結果を発表した。
「プラスワン使い」や「美髪課金」注目

メイクが回復。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- メイク市場 → マスク着用緩和によりメイク需要が回復。特にベースメイクへの回帰が顕著。
- ステップ数増加 → 「化粧水+美容液+シートパック」など多段階ケアが定着し、高機能・高価格アイテムへの関心が高まっている。
- ヘアケアトレンド → SNS発の「美髪課金」ブームにより、高価格帯のヘアケアアイテムの需要が増加。
同社によれば、2024年の国内化粧品市場は3兆2246億円とコロナ前を上回り、2025年以降も拡大を続ける見込みとなっている。
コロナ禍を過ぎてマスクを外すようになり、メイクへの関心は高まり続けているといっていい。
中でもベースメイクへの回帰は象徴的な動きとなっている。
富士経済は2026年の高価格帯ベースメイク市場を1488億円(2024年比13.1%増)と予測している。
注目は、「ファンデ美容液」と呼ばれるスキンケア効果を併せ持つ高機能ファンデーションや、薄型のプレストパウダー(Pressed powder)。
猛暑でメイク直しの需要が高まり、持ち運びやすいプレストタイプがヒット商品となっている。「仕上がり」と「肌ケア」を両立する商品群が市場をけん引している。
一般的な価格上昇の動きもあり、化粧品の高価格帯も上昇している。高価格帯の中でも、富士経済によると4500円以上7000円未満の「プレステージ」より価格の高い平均価格7000円以上の「ハイプレステージブランド」の構成比が高まっている。
化粧品が伸びている背景には多様化する美意識の変化もある。
例えば、スキンケアでは、「化粧水+美容液+シートパック」といった複数ステップの習慣化が進んでおり、より念入りなケアを楽しむ傾向が強まっているようだ。
特に高価格帯では、機能性の高いアイテムをより効果実感につながる形で使いたいというニーズが高まっている。
ヘアケアではSNSを中心に「美髪課金」と呼ばれるトレンドが注目され、ヘアスプレーやヘアオイルなど高価格帯のヘアケアアイテムの需要が高まっているという。成分比較や使用動画の拡散により、製品を吟味して選ぶことが当たり前になった。
韓国コスメのアイテムが多彩に

美意識の高まりも?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 韓国コスメの拡大 → 韓国ブランドが中価格帯へ進出し、成分を訴求したスキンケア商品で存在感を強めている。
- 低価格帯の韓国コスメ → リップティント、リッププランパー、束感マスカラ、アイブロウコンシーラーなどがSNSを通じて人気上昇。
- 消費行動の変化 → ミニサイズのリップやアイシャドウなど、「小さく買って楽しむ」需要が拡大。
一方で、韓国コスメが存在感を拡大しているのも注目される。
中価格帯では、従来マス向けであった韓国ブランドのスキンケアアイテムが、成分を訴求しながら低価格帯から中価格帯へ移ってきている。
低価格帯でも韓国ブランドのポイントメイクが存在感を増している。色落ちしにくいリップティント、リッププランパー、まつげの束感を演出するマスカラ、アイブロウコンシーラーなど、トレンドのメイクをかなえられるアイテムとしてSNSの後押しもあり人気を集めている。
このほかミニサイズのリップやアイシャドウなど「小さく買って楽しむ」という細分化された消費行動が広がっている。
メイクの多様化で、美意識の高まりにつながると考えられる。これは美容医療への関心にもつながる可能性がある。今後、化粧品と美容医療の関係がどのように発展していくかも注目される。
