
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)
医療法上、医療機関は「営利目的」で運営できないが、登記だけで設立できる一般社団法人がクリニックを開設するケースが増えている。これは美容クリニックを運営するところも多い。
従来、実態が見えづらいとされたが、厚生労働省は、一般社団法人が開設する医療機関の監督を強める方針を打ち出している。
なぜ一般社団法人が焦点に

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)
- 増加の実態→ 一般社団法人による医療機関数が2009年の312から2023年の783へと約2.5倍に。
- 監督体制の課題→ 医療法人とは異なり、一般社団法人には設立認可や定期的な監督の仕組みがない。
- 制度見直しの動き→ 「2040年頃に向けた医療提供体制改革」の中で、各種事項の届出義務を新たに求める方向性。
厚労省「第124回社会保障審議会医療部会」の資料によると、一般社団法人などが開設する医療機関は増加傾向にある。
同資料の集計では2009年の312から2023年の783へとほぼ2.5倍に伸びた。2008年12月の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」施行以降に、一般社団法人が「簡便に設立できる非営利法人」として、医療機関の開設にも利用されることになったことがあるとされる。
一方、この一般社団法人は、医療法人のように都道府県が設立認可を行い、事業・経営実態を定期的に確認する仕組みがない。結果として、資料では非営利性が疑われる事例があると指摘されている。
このような問題意識の下で、「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見」(2024年12月取りまとめ)では「新たに各種事項の届出を求めるべき」とされた。
違法クリニック減らすことにつながる可能性

摘発された「美滴+クリニック」のウェブサイト。名称は変更されている。(出典/BITEKIPLUSウェブサイト)
第124回社会保障審議会医療部会では、医療法施行令を改正し、医療機関を開設する一般社団法人(公益社団法人を除く)に対して毎年度の決算書類の届出を求める方針が示された。
対象は「令和8年度(2026年度)事業分から」とされ、実際の届出は翌年度(令和9年度)になる想定であることも明記された。
※毎会計年度の「事業報告書」「貸借対照表」「損益計算書」を都道府県知事等へ届け出ることを義務付ける方針となる。届出制度の創設に合わせ、自治体が一般社団法人立医療機関の非営利性を確認する際の「ポイント」や、立入検査時の留意点を整理して示す方針も盛り込まれた。
一般社団法人による医療機関の中には、医師の名義貸しの問題が多く存在していたり、医師不在のクリニックが存在していたりすることが問題になっていた。
実際、2025年2月には、兵庫県警が、一般社団法人による無資格者運営の偽クリニックを摘発した。
違法および不適切な運営を行うクリニックを減らす上で、一般社団法人クリニックの改革は効果を上げる可能性がある。
参考文献
第124回社会保障審議会医療部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69350.html
兵庫・無資格の美容施術を摘発、「名義貸し」「法律違反」…“偽クリニック”手口明るみに、摘発の波は全国へ広がるのか、行政指導や処分も無視する厚顔無恥な実態【編集長コラム】
https://biyouhifuko.com/news/column/11333/
