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都市部のクリニックに異変? 保険診療の新規開業に条件、美容クリニックは逆に増える? 地域医療への協力要請に従わないと保険医療機関指定に期限 厚生労働省が3月通知

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東京などの外来の医師が多い地域でクリニックに変化の可能性。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

東京などの外来の医師が多い地域でクリニックに変化の可能性。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 東京や大阪などの都市部では、クリニックの開業が相次いでいる。

 ただ、今後は外来の医師が多い地域(外来医師過多区域)で新たにクリニックを開く場合、保険診療を始めるための手続きや条件がこれまでとは変わってくる。

「開業すれば終わり」ではなくなる

厚生労働省に要望書。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省に要望書。(写真/Adobe Stock)

  • 地域医療への協力が前提に→ 都市部での開業でも、不足する医療への対応が求められる。
  • 指定期間が短縮される可能性→ 協力しない場合、保険診療の指定が6年から3年・2年に短縮。
  • 更新手続きの負担増→ 自動更新がなくなり、都度申請が必要になる。

 厚生労働省は2026年3月19日、改正医療法などの施行に伴う通知を出し、外来の医師が多い地域で新たに無床診療所を開き、保険診療を始める際の取り扱いを明らかにした。無床診療所とは、入院用のベッドを持たない診療所のことで、いわゆる外来中心のクリニックを指す。

 こうした地域では、新たに開業する医療機関に対し、都道府県が地域で不足する医療を担うことや、医師不足の地域での医療への協力を求める。ここでいう外来とは、入院ではなく、通院による診療のことだ。

 これに応じない場合、保険診療の指定は期限付きとなる。保険医療機関とは、保険診療を行うための指定を受けた医療機関で、この指定がなければ保険診療はできない。

 具体的には、通常、保険診療の指定は6年が基本となる。通常は、特別な手続きをしなくても更新される。しかし、都道府県からの要請に応じなかった場合や勧告を受けた場合には、指定の期間はまず3年に短くなる。その後も勧告に従わない状態が続けば、3年の指定が繰り返され、さらに続く場合には2年になる。

 期限付きの指定になると、自動更新はされず、その都度あらためて申請しなければならない。こうした仕組みは、医療機関の経営の安定にも影響するおそれがある。

クリニック新設のハードルになる可能性

クリニックの変化が予想される。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

クリニックの変化が予想される。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 事前手続きが必要に→ 開業6カ月前までの届け出が必要となる。
  • 開業ハードルが上昇→ 準備不足の場合、保険診療開始が遅れる可能性。
  • 美容医療にも波及→ 保険診療を行う美容クリニックは影響を受ける可能性。

 この制度は、医師が都市部に偏って集まる状況を見直すことを目的としている。ただ、その変化は美容医療にも波及する可能性がある。

 美容クリニックは自由診療が中心だが、中には保険診療も行っている施設がある。もともと都市部に集まりやすい分野でもあるため、今回の見直しの影響を受けるケースも出てきそうだ。

 今後は、都市部でクリニックを開くだけでなく、その地域でどのような医療に関わるのかも、これまで以上に問われることになる。地域医療への協力が重視されるようになれば、自由診療を中心としてきた美容クリニックの開業のあり方にも変化が及ぶ可能性がある。

 今回の制度は2026年4月に始まるが、実際に影響がはっきり出てくるのは10月以降になりそうだ。

 というのも、外来の医師が多い地域で新たに無床診療所を開き、保険診療の指定を受けようとする場合には、開設の6カ月前までに都道府県へ事前に届け出る必要があるからだ。

 このため、10月以降に開設する診療所では、開業前の手続きが新たなハードルになる可能性がある。必要な準備が整っていない場合、保険診療の開始がスムーズに進まないおそれもある。

保険医療機関の院長に経験求められる

院長の条件が注目される。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

院長の条件が注目される。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 院長に経験要件→ 一定の診療経験や専門医資格などが必要になる。
  • 直美ルートに制約→ 初期研修後すぐの院長就任は難しくなる。
  • 自由診療は影響限定的→ 保険診療を行わない場合は条件の適用外。

 今回の通知では、都市部での開業ルールだけでなく、保険診療を行う医療機関の院長に求められる条件も示されている。

 狙いは、保険診療を担うクリニックを適切に運営できる医師を確保することにある。具体的には、院長になるには保険医であることに加え、一定の診療経験や専門医の資格など、決められた条件のどれかを満たす必要がある。

 日本国内では、医学部卒業後2年間の初期研修を終えて、すぐに美容医療に進む、いわゆる「直美」が課題になってきたが、保険診療を担うクリニックの院長になるには、初期研修後の3年間の診療経験などが求められることになる。

 また、今回の通知には、オンライン診療を受ける施設と薬局の関係を見直す内容も含まれている。薬局と施設が一体のように運営されたり、患者を特定の薬局に誘導したりすることはできなくなる。

 今回の見直しは内容ごとに狙いが異なるが、全体として医療の仕組みをより適切に運用しようとする流れの一つといえる。

 こうした見直しによって、外来の医師が多い地域で新たに保険診療のクリニックを開く場合は、これまで以上に地域医療への関わりが問われることになる。

 一方で、自由診療が中心のクリニックは、制度の直接の影響を受けにくいという見方もある。保険診療の指定を受けない場合には、今回の通知で示された院長の条件もそのまま適用されない。結果、場合によっては、規制に影響されない自由診療だけを行う美容クリニックがむしろ増えるという可能性も想定される。

 初期研修を終えたあとすぐに美容医療に進む、「直美」の問題も、自由診療だけのクリニックには直接の対象とはならない。

 さまざまな状況は考えられるが、10月以降、開業に何らかの変化はあると予想され、都市部を中心にクリニックに変化が出てくる可能性がある。

参考文献

医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等について(健康保険法関係)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/000456149.pdf

改正医療法が順次施行 美容医療の監視と情報公開が制度化へ 美容クリニックは安全管理体制の報告必要に 医師偏在解消へ開業規制も導入、オンライン診療が法律で位置付け
https://biyouhifuko.com/news/japan/15832/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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