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婦人科形成、女性の自己肯定感高めるフェムゾーンのケア、小陰唇縮小術と膣ヒアルロン酸注入の実際、第112回日本美容外科学会(JSAS)シンポジウム

カレンダー2024.6.11 フォルダー 国内

 小陰唇形成術と膣ヒアルロン酸という婦人科形成は、女性の悩みを解決する施術の一つ。トラブルを防ぎ、満足度の高い施術をするための工夫が施されている。2024年5月30日に第112回日本美容外科学会(JSAS)のシンポジウムでその実際が議論された。

改善したいポイントを明らかに

第112回日本美容外科学会(JSAS)の講演会場。(写真/編集部)

第112回日本美容外科学会(JSAS)の講演会場。(写真/編集部)

  • カウンセリングの重要性→ 解消希望のポイントを明らかにすることが重要。黒ずみ、大きさ、左右差に関する希望の確認が必要。
  • 手術後の黒ずみ→ 手術後も黒ずみが残る可能性があるため、最も治したい点を明確にすることが大切。
  • 尿の飛び散り→ 手術後も尿道の特徴により改善しない可能性があることを理解する必要がある。
  • 外陰部の認識→ 手術前に外陰部の特徴を確認し、手術後に気になる点を事前に把握しておくことが重要。

 ルーチェクリニック銀座院(東京都中央区)院長の佐野仁美氏は、「満足度の高い小陰唇縮小術と合併症回避のコツ」のタイトルで実例を交えながら解説した。

 佐野氏は最初にカウンセリングの重要性について述べた。小陰唇縮小術では、何の解消を希望するかを明らかにすることが重要と指摘する。ポイントは、黒ずみ、大きさ、左右差。すべて解決したいという希望があっても、黒ずみが目立つ場合、手術してもどうしても黒ずみが残ることはある。手術をする際には、どの点を最も治したいのか明らかにしておくことが大切になる。手術による改善の可能性についてコンセンサスを取るのが重要になる。

 もう一つ、尿の飛び散りもポイント。手術によって飛び散らないようにしたい希望がある場合でも、尿道などの特徴により、尿が飛び散りやすい場合もある。この場合には手術をしても解消しないことがある。事前に、手術により改善しない可能性は理解しておく必要がある。

 外陰部についての認識を高めておくことも大切だ。手術前には、自分自身の外陰部を見る機会は少ないが、手術を受けた後は観察する機会が増えがちだ。よく観察することで、これまで気になっていない点に気が付くこともあるという。事前に、外陰部の特徴について確認しておくことが欠かせない。

 このほか講演では、実例を示しながら、過剰に切除するなどの問題を避けるために、手術の際に適切に計画を立てることの重要性が示された。手術をした後に、小陰唇の形が適切でない場合に摩擦で痛みを起こすことがあり、修正を必要とするケースもあるようだ。そのほかにも手術手技のポイントが述べられた。

注入の場所を最適に

第112回日本美容外科学会(JSAS)が都内で開催。(写真/編集部)

第112回日本美容外科学会(JSAS)が都内で開催。(写真/編集部)

  • あっこ式膣ヒアルロン酸→ 効果と安全性を重視し、自ら工夫している施術。アンケート結果に基づき、注入場所を調整。
  • 注射時の注意点→ 血管や直腸を傷つけないように注意。時計の0時と6時の位置に注入。術後、ガーゼで5時間止血。
  • 合併症事例→ 直腸周囲にうみがたまる、人工肛門の必要、膣粘膜の外はみ出しなどが発生することがある。慎重な計画や施術が必要。
  • 施術の効果→ 女性の湿潤、オーガズム、性交時痛の改善。男性の性的関係満足度の向上が確認された。

 スワンクリニック銀座(東京都中央区)の宮本亜希子氏は、膣ヒアルロン酸注入術の実際を解説した。

 宮本氏は、「あっこ式膣ヒアルロン酸」と名付け、効果や安全性を意識して自ら工夫している施術に取り組んでいる。一般男性にアンケートを取った上で、膣との密着度が高まると良い場所などを聴取。「美顔器ローラーのような形で、吸い付く膣が良い」という意見を踏まえ、ヒアルロン酸注入の場所を調整している。

 膣ヒアルロン酸を注射するときには、血管を傷つけないよう、また直腸に注射を突き刺さないなどのポイントに注意している。仰向けに寝てもらって膣を正面に見たときに、時計の0時と6時の位置に注入していく。ヒアルロン酸が出てこないように配慮することも重要になる。手術の後はガーゼを膣内に5時間ほど入れておいてもらい止血する。実例を示したが、3カ月後にも注入したヒアルロン酸が残っていた。持続期間は短くない。

 同氏は、合併症の事例も紹介。別のクリニックにおいて手術を受けた事例で、直腸の周囲にうみがたまったという。そのクリニックでは、同様な合併症で一時的に人工肛門になった人もいたと説明した。一方で、膣の粘膜が外にはみ出てくる事例も発生していると解説した。閉経後にホルモンの影響で膣が縮みヒアルロン酸を入れすぎるなど、注意すべき問題があるという。合併症を起こさないよう、慎重な計画や施術が欠かせない。

 宮本氏は膣ヒアルロン酸注入術による効果についての調査を実施した。それによると、女性では、湿潤、オーガズム、性交時痛が改善することが確認された。男性でも性的関係の満足度が高まるなどの効果が確認された。

 宮本は、「フェムゾーンは第二の顔と言われるが、フェムゾーンのケアで自己肯定感の向上につながる」と述べた。ヒフコNEWSで伝えているが、美容医療の施術数の中で女性器の施術は多くはないが、今後、満足度の高い施術として評価が高まれば、一層広がりを見せてくる可能性がある。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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