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つけ爪で使う瞬間接着剤、発熱によりヤケドの原因に、1カ月の通院のケースも、ティッシュなどに染み込むと170度になる可能性も、国民生活センターが注意喚起

カレンダー2024.6.20 フォルダー 国内
つけ爪で使われる瞬間接着剤が問題に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

つけ爪で使われる瞬間接着剤が問題に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 国民生活センターは2024年6月19日、つけ爪(ネイルチップ)用に使われている瞬間接着剤を原因としたヤケドが発生したとして、その危険性について注意喚起している。

つけ爪接着剤の特性とその危険性

ヤケドの程度はI度からIII度に分類される。(写真/国民生活センター)

ヤケドの程度はI度からIII度に分類される。(写真/国民生活センター)

 国民生活センターによると、23年11月につけ爪用の接着剤が手指にたれて、ティッシュペーパーで拭き取った10代女性にII度のヤケドが発生するトラブルが起きた。ヤケドはI度からIII度に分かれII度は真皮までダメージを受ける状態を言う。この人は1カ月以上の通院を必要とする状況になった。同様な瞬間接着剤によるヤケドが19年から7件寄せられ、2024年5月には大阪府で子どもがつけ爪用接着剤によるやけどを負う事故も発生している。

 このようなヤケドが発生する原因は、主成分である「シアノアクリレート系物質」の特徴にある。瞬間接着剤が接着する理由は、空気中や接着面の水分と反応して固まるから。このときに反応熱が発生する。問題になるのは、ティッシュペーパーや布に染み込んだ場合で、水分との反応が起こりやすくなり、短時間で急速に熱を発生させること。この場合に、ヤケドを引き起こす恐れがある。

 国民生活センターによる再現テストでは、ティッシュペーパーや衣類に瞬間接着剤が染み込んだ場合、十数秒で最高170度近くまで温度が上昇することが確認された。液状で粘度の低い接着剤が染み込みやすく、発熱しやすい傾向が確認された。瞬間接着剤は速やかに固まるため、発熱時に接着部分を簡単にはがせないことも問題となった。

 なお、モノ同士を接着する用途の接着剤の表示について調べたところ、6銘柄すべてに発熱についての注意が示されていた。一方、つけ爪用の接着剤では、モノ同士を接着させる接着剤とは異なり、家庭用品品質表示法で定められた表示がなく、成分名が適切に表示されていない問題も判明した。

セルフネイルが一般的になり注意が必要に

ティッシュペーパーで瞬間接着剤を拭くことで急速に発熱する。(写真/国民生活センター)

ティッシュペーパーで瞬間接着剤を拭くことで急速に発熱する。(写真/国民生活センター)

 国民生活センターでは、つけ爪用接着剤を安全に使用するために、ティッシュペーパーや布などの染みこみやすい繊維質のものに染み込むと短時間で発熱し、やけどをする可能性があるため注意すること。手などに誤って付いた際は、大量の水をかけるか、ぬるま湯の中でもんではがすこと、また、こぼしたときにはポリエチレン手袋をして布などで拭き取ることを求めている。

 コロナ禍の期間に自宅で過ごす人が増えてセルフネイルのアイテムの人気が高まり、価格が手頃でデザインも増えてセルフネイルが一般的になったとされる。そうした中で瞬間接着剤が使われることも増えており、注意が必要だ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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