AGA(男性型脱毛症)の治療に、自分自身の血液から成長因子を抽出して、注入する──。上場企業が医院に協力することでこうした方法の導入が進む見通しとなった。
上場企業であるWaqoo(ワクー)が2024年6月26日、男性専門の美容医院「ゴリラクリニック」を運営する医療法人社団十二会の21院に、AGA治療分野の「血液由来加工受託サービス」を導入すると発表した。
AGA治療に血液を使う
AGAは男性に一般的な脱毛症で、薬を使った治療が広く行われている。最近では血液を使った治療も注目されている。ヒフコNEWSで伝えているが、血液の中にある血漿成分を分離して、これを頭皮に注射する治療が行われている。これはPRP(多結晶版血漿)と呼ばれる治療で、血小板という成分から出る成長因子の効果を発毛に生かす治療となる。
そうした中で、今回、Waqooは、AGAの本人から血液を受け取り、ここから成長因子を抽出して、ろ過した上で治療のために提供するサービスをゴリラクリニック向けに開始する。成長因子が自己組織修復や抗炎症作用につながると考えられている。
ゴリラクリニックは、男性専門の医療脱毛を提供するほか、他の美容施術も手掛けている。Waqooはオリジナルブランドの化粧品を展開するほか、湘南美容外科などを添加する美容医療チェーンSBCメディカルグループの代表、相川佳之氏が筆頭株主であり、再生医療関連のサービスに力を入れている。
上場企業が美容医療に影響力
美容医療に経営の安定した上場企業が関係を深めることで、安全と安心を向上させていくことが期待される。
AGAは、東京都の調べでは、「AGA・育毛・薄毛治療・増毛等の相談件数」が年々増加。18年に32件だったものが、22年には2倍以上の89件に増えた。主に契約トラブルと見られるものの、健康に被害が及ばないのは前提となる。AGAに関連するPRPも国内で健康被害により訴訟に発展しており、安全で安心な施術は欠かせない。
美容医療に上場企業が協力しているケースが増えている。大手の製薬企業では、ロート製薬が細胞培養などの事業を展開。美容医院などに幹細胞関連の製品を販売している。また、セルソースはエクソソーム関連の製品を販売している。この6月には、建設業などを展開する創建エースが美容クリニックの事業を拡大していくことを発表している。
今後、美容医療分野で上場企業の動きが注目される。