東京都が消費者からの相談の2023年度の実態を報告した。美容医療に関する相談件数が大幅に増加し、2023年度の相談件数は1878件。前年度比1.7倍となった。
若者の関心とトラブル増
美容医療に対する関心が高まる中、特に若者の相談件数が増加している。29歳以下の割合は全体の42.4%を占め、特に20代が714件で全体の38.0%を占める。
契約当事者の男女別割合では、女性が62.9%を占める一方で、男性の割合も増加傾向にある。相談内容別では、特に「解約一般」「返金」「連絡不能」「約束不履行」「クレジットカード」に関する相談が急増した。前年度比200%以上の増加を見せている。
これは、医療脱毛や歯科矯正等の一部事業者が破産手続きを開始したことが報道された影響で、解約や返金トラブルの相談が多く寄せられたためだった。
医療脱毛の相談急増
急増しているのが医療脱毛に関する相談件数。東京都は「激増」と表現するが、23年度の相談件数は875件で、前年度の2.6倍となった。若者の割合が高く、29歳以下が53.1%を占める。年代別では20代が416件で全体の47.5%。
契約当事者の男女別割合では、男性が55.5%を占め、女性を上回る結果となった。
前述のように、一部の事業者が破産手続きを開始したことが報道された影響で、解約や返金トラブルの相談が増加したことが主な要因。従来は女性が多数を占めていたが、男性の相談件数が急増し、全体に占める割合が5割を超えた。東京都では、23年にウルフクリニックの突然の閉鎖が問題になった。これが関連していると見られる。
美容医療に対する関心の高さとともに、事業者の信頼性や契約内容に対する不安が増していることを示している。トラブル回避に巻き込まれないよう、十分慎重に検討する必要がある。