バイオスティミュレーターやECM製剤と呼ばれる注射による施術が国内外で人気を高めつつある。
今回、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、PLLA)を使用したコラーゲン生成促進の製剤の効果が証明された。
欧州のクリニックの研究グループが2024年9月に美容皮膚科の医学誌で研究結果を報告している。
顔以外のECM製剤の効果を検証
美容医療では注射による施術が、老化に伴う皮膚のたるみやシワ改善を目的に広く用いられている。そうした中で、ポリ乳酸(ポリ-L-乳酸、PLLA)を使用して、コラーゲン生成を促進し、長期的なボリューム効果を持つ製剤が使われている。
これまでは主に顔への使用だったが、近年では首やデコルテ、上腕などの体の部位にも応用されている。今回の研究は、製剤を体の様々な部位に適用した際の安全性と有効性を9カ月間にわたって評価した。
欧州の研究グループは22年6月から24年11月まで欧州の6つのクリニックで40~65歳の男女70人を対象に、首、上腕、手、太もも、デコルテの5つの部位に対してポリ乳酸の製剤(商品名Lanluma)を注入し、9カ月後に効果と安全性を評価した。治療は1回目の注射後、3カ月と6カ月後にも行った。3回目の治療は結果次第でオプションとした。
デコルテや首の満足度が高い
結果として、治療部位の皮膚の引き締めや質感の改善が多くの参加者で確認された。
特にデコルテや首の治療に対する満足度は高く、デコルテでは93.3%、首では87.9%が治療結果に満足していると報告された。また、シワの減少効果もデコルテや首で確認された。一方で、上腕や太ももの治療ではやや満足度が低かったが、約70%の参加者が効果を実感した。
副作用としては、軽度のしこりが首、手、太ももなどで報告された。いずれも重いものではなく、ほとんどの場合は自然に解消された。特にデコルテの治療では、副作用は確認されなかった。
ECM製剤が日本国内でも関心を高めているが、顔だけではなく、首や体への施術がこのような研究結果を受けて広がりを見せる可能性もある。